映画(TV/VIDEO/LD/DVD)「その男、凶暴につき」「3-4×10月」「あの夏、いちばん静かな海。」「ソナチネ」
61)「その男、凶暴につき」(VIDEO) ☆☆☆★★
1989年 日本 松竹富士 カラー ビスタ 103分
監督/北野武 脚本/野沢尚 出演/ビートたけし 白竜 川上麻衣子 佐野史郎 芦川誠 吉澤健
北野武の作品はリアルタイムでフィルモグラフィーに沿って観てきたので、系統だって語ることができる数少ない映画作家だが、一度まとめて再見したいと思いつつ5,6年前に中古ビデオで全作揃えながら実現していなかった。「TAKESHIS'」公開が迫ったこともあり、良い機会なので、「その男、凶暴につき」から「座頭市」までを再見することにする。「Dolls」までが中古ビデオ、「座頭市」はDVDとなる。
第1作となり「その男、凶暴につき」は、再見と言う意味では最もよく再見している。「HANA-BI」の受賞記念凱旋上映で、本作と「3-4×10月」「ソナチネ」の3本立てというのも観に行ったし。
暴力描写の凄まじさは全作の中でも際立っていて、常に日常に転がっている小暴力と、時として発生する大暴力のコントラストが魅力だ。
何度観ても好きなのは、やはり映画館前で白竜の撃った弾が外れて通行人の2人連れの女性の片方の頭に当たり、倒れこむシーンで、日常の中で全く関係ない女、子供に危害が及ぶシーンを冷静に撮れるヒトは素晴らしい。そしてヤク中を車で追うシークエンスの素晴らしさ。
「歩く映画」の秀作。
62)「3-4×10月」(VIDEO) ☆☆☆★★★
1989年 日本 バンダイ 松竹富士 山田洋行ライトヴィジョン カラー ビスタ 96分
監督/北野武 脚本/北野武 出演/小野昌彦 石田ゆり子 井口薫仁 飯塚実 布施絵理 ビートたけし
北野武第2作。この作品は、彼の作品中、再見の度に評価が上がる作品で、最初観た時は、「その男、凶暴につき」より良いとは思ったが、その後の作品を観ていくと「あの夏、いちばん静かな海。」より落ちると思っていたが、前述の凱旋上映で再見した際にこんな傑作だったかと驚いた。その思いは今回の再見でも同様で、益々傑作だと思った。
沖縄パートの神憑り的な凄さに改めて震撼する。
63)「あの夏、いちばん静かな海。」(VIDEO) ☆☆☆★★★
1989年 日本 オフィス北野 東通 カラー ビスタ 101分
監督/北野武 脚本/北野武 出演/真木蔵人 大島弘子 河原さぶ 藤原稔三 寺島進 小磯勝弥
北野武第3作。初の監督のみに専念した作品だが、本作は10年程再見していなかったので、どうかと思ったが、やはり素晴らしく、ラストにはまた泣いた。
科白はなくとも、映像と音で饒舌に語ってくれる。久石譲の音楽が饒舌過ぎるが、それが泣かしてくれる後押しになっているので、悪いとは言えない。
64)「ソナチネ」〔Sonatine〕(VIDEO) ☆☆☆☆
1989年 日本 バンダイビュジュアル 松竹第一興行 カラー ビスタ 94分
監督/北野武 脚本/北野武 出演/ビートたけし 国舞亜矢 渡辺哲 勝村政信 寺島進 大杉漣
北野武第4作にして空前絶後の奇跡的大傑作。
ヤクザ達が時間を持て余して過ごすシーンの数々がエンドレスで続いていて欲しいと願わずにはいられない。北野武自身が何の気もなく作ってしまった作品だけに、本人も二度とこれだけの傑作を作ることができないという唯一無二の作品。