文庫 「誘拐」

17)「誘拐」 本田靖春   ちくま文庫

誘拐 (ちくま文庫)
 一時期吉展ちゃん事件に興味があり、幾つか読んでいたのだが、最も読みたかった本田靖春の「誘拐」が文春文庫が絶版で、その後単行本の全集には納められたのだが、文庫で読みたかったので、ようやくの再販と聞き購入。
 高度成長時代の歪な事件として興味は尽きない。どうも海外の猟奇犯罪にはさほど興味は沸かず、国内の土俗性に満ちた犯罪が良い。「スパイゾルゲ」のCGの使い方は酷いが、「Always 三丁目の夕日」程度の見せ方ができるなら、あんなどうでも良いハナシではなく、あの時代を背景に吉展ちゃん事件を見せて欲しい。或いは80年代を再現して、阪本順治の監督で「かい人21面相」とか。