映画 「やわらかい生活」「世界」

molmot2005-11-23

第6回東京フィルメックス (有楽町朝日ホール) 
221)「やわらかい生活」〔It's Only Talk〕(有楽町朝日ホール) ☆☆☆★★

2005年 日本 カラー ビスタ 126分
監督/廣木隆一    脚本/荒井晴彦     出演/寺島しのぶ 豊川悦司 松岡俊介 田口トモロヲ 妻夫木聡

 素晴らしい佳作。「ヴァイヴレータ」より好きだ。今回は35だし。蒲田の風景に魅せられる。荒井晴彦による無駄のない凝縮された脚本と、廣木隆一のプロとしての技量をさりげなく見せる演出、そして出演者達のやりすぎない演技で、紛れもないプロの大人の映画が存在している。「NANA」みたいなアップだらけのゴミ映画を良いという連中は、この作品を観ろ(しかし、案外荒井晴彦やら小林信彦やら「NANA」を駄目な部分もあるとしつつも好意的なのは解せない)。
 愚にもつかないことを言えば、京急のシナリオコンクールに送る方は必見だ。審査員の荒井晴彦による京急電車並びに京急沿線を作品に介在させるお手本として最上だと思う。先日のアテネフランセ荒井晴彦トークショーの時、観客が自分は電車に乗れない(そーゆー体質らしい)から、そんな京急電車が作品に介在するような脚本は書けないと、全く馬鹿としか言いようがないと言うか、荒井晴彦に失礼極まりない阿呆な発言をしていたが、何も電車が主舞台でなくともここまで豊かな作品が作れるのだ。
 後日詳細を書きたい。又、映画におけるカラオケまたは歌うシーンの在りかたについて、本作以前から気になっていたので、それについても。果たしてフルで歌い切ることがミュージカル、歌謡映画以外で可能なのかということを。「さよならみどりちゃん」や「のど自慢」「パッチギ」「3-4X10月」の『唄う』シーンに耐久性があるか、ないか。または「ラブ&ポップ」や「あんにょんキムチ」等で、あおりの画角で唄うシーンが、単に引きや寄りで唄うシーンを捉えるよりも遥かに耐久度があるように思えるのは何故かといったことを。(続く)

222)「世界」〔世界 The World〕(銀座テアトルシネマ) ☆☆☆★

2004年 日本 フランス 中国 カラー シネスコ 133分
監督/ジャ・ジャンクー    脚本/ジャ・ジャンクー     出演/チャオ・タオ チェン・タイシェン ワン・ホンウェイ ジン・ジュエ チャン・チョンウェイ