書籍 「『八つ墓村』は実在する」

24)「『八つ墓村』は実在する」蜂巣敦  (ミリオン出版)

「八つ墓村」は実在する
 義務的に購入。「漫画実話ナックルズ」に掲載されたものを単行本化。筑波昭の「津山三十人殺し」を大参考にしながら、事件現場の現在をルポしている。
 かくいう自分も高二の夏、この手のものが好きな同級生の女子と、津山三十人殺し現場を見に行ったことがある。当初の予定では村を検分してから例の都井睦雄が自害した山の上まで行くつもりだったが、本書のような便利なものやネットがあれば簡単だったが、ガイドになるのが前述の「津山三十人殺し」だけだったので、現場の詳細位置すら覚束ない形で出発し、かろうじて村まで行って引き返してきた。
 だから、この手の胡散臭い本を一概に否定できる立場にないのだが、パラパラと目を通した限り、どうも横溝正史の「八つ墓村」と、実際の津山事件並びに岡山の伝承を繋げて考えすぎで、「金田一耕助のモノローグ」等を参照すれば分かるが、そこまで横溝が事実を忠実に取り入れていたかというと疑問が残る。ま、本書をじっくり読んだ上で。
 因みに、その高二の夏の津山三十人殺しツアーは、休み明けに学校で夫々夏休みにどこへ行ったといったハナシに花が咲く中、自分は当然様々な観点から語るべからざると決め込んでいたが、同行した方はデカイ声で、『津山の、30人殺された村へ‥』と喋り、クラス中にドン引きされたのは言うまでもない。