映画 「亀も空を飛ぶ」「インサイド・ディープ・スロート」

molmot2005-11-25

223)「亀も空を飛ぶ」〔Lakposhtha ham parvaz mikonand/Turtles can fly〕(岩波ホール) ☆☆☆★★★

2004年 イラク・イラン カラー ビスタ 97分
監督/バフマン・ゴバディ    脚本/バフマン・ゴバディ     出演/ソラン・エブラヒム ヒラシュ・ファシル・ラーマン アワズ・ラティフ アブドルラーマン・キャリム サダムホセイン・ファイサル

224)「インサイド・ディープ・スロート」〔Inside Deep Throat〕(ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ ) ☆☆☆★★★

2005年 アメリカ カラー ビスタ 90分
監督/フェントン・ベイリー ランディ・バルバート    出演/ジェラルド・ダミアーノ ハリー・リームス リンダ・ラヴレイス ロン・ヴェルテイム アラン・ダーショウィッツ

 作品の中身に触れる前に周辺状況のことを2つ程。
 第1点は、実に2年ぶりに映画料金定価1800円を払ったことが特筆すべきことで、熊切和嘉の「アンテナ」以来ではないか。その時も確か上映最終日でチケットが入手できず、仕方なく1800円払ったのではなかったか。基本的に通常は1000円〜1200円、高くて1500円で観ているので、1800円を払うのは2,3年に一度程度なので、映画料金の高さを改めて感じる。これにパンフが700円したから2500円だ。何軒かチケットショップを周ったが全てなかった。各店で、姉ちゃん達にディープ・スロートと言わせるのも何だか恥ずかしい気分だった。 
 第2点は、ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ について。ま、そう頻繁には来ない。ここでかかっているメジャー映画は近所で観ればコトが足りる。深夜までやっているのが良いなと思うくらいで、後はシネコンの癖に21時以降も割り引かないとか、混んでるとか思うくらい。それでも来るのは、ココでしかやっていない作品があるからで、それも「シティ・オブ・ゴット」とか凄い大傑作をやっていたりするから来ないわけにはいかない。ただし、その際の座席指定については不快だった。2人とかで来るとそう問題ない席になるのだが、1人で来ると何も言わなければ勝手に決められていて、それも一番端になっていたりする。一時間以上前に来て、未だ席に十分余裕があるのに。後でチケット買った奴が真ん中に座っていたりした。
 で、今回はいつものアートシアターの方ではなかったせいか、上映1時間前に着いたので、真ん中辺りというこちらの指定に従業員が、ではココでと席を決め、ゆったりと上映を待つばかりとなった。
 ここで少し話が転調するが、関係があるので書いておく。
 大学時代を大阪の天王寺に住まいを持って過ごしたせいだろうか、所謂ホームレスというものに拒否感とか嫌悪感というものは持っていない。それまでそういった人たちを目にする機会が少なかったのが、天王寺に住むと途端に日常の視界に常時入ってくるし、色々な無茶をやるのを見せられたせいもあるのだろう。
 大阪城公園に住む方々の中にはコンクリートで土台をしっかり作り、なかなか堅実な作りの家まで勝手に建てているヒトも居て、パラボラアンテナまで立っている。呆然と眺めていたら、『ヒトの家覗かんといて!』としっかり作られた網戸が閉まり、次にガラス窓がピシャリと閉められたことがある。最近では大阪城公園だか長居公園だかに遂に2階建てを勝手に建てたとか聞いた。是非見たいものだ。耳にするエピソードでも、天王寺公園横の小劇場で芝居やってたらダンボールが足りなくなったので、直ぐに周りのダンボールを大量に持っている方々に言ったら貰えたとか、終電を逃して、ダンボールハウスに泊めて貰った上に金借りたとか、豪快なものが多い。
 だから、個人の家や商店の前で寝泊りや火を使われては困るが、公共スペースで邪魔にならない程度なら寝泊りぐらい大目に見たらどうかと思っていた。せめて冬の夜だけでもと。景観を損ねるとか急に言い出して強制排除したりするのは馬鹿げている。そういった人々が発生してしまう原因を棚上して、目の前だけを綺麗にする目くらましではないかと。又、中学生などが暴行を加えたりするのにも心を痛めた。
 だからと言って勝手と言われようが、コチラに迷惑をかけられるのは困る。具体的に言えば電車に乗ってくる方が居るが、別に乗るのは構わないがニオイがたまらない。そういう場に遭遇したら直ぐに車両を変えるようにしているが、強烈な悪臭を放たれるのは困る。
 ここでヴァージンシネマズ六本木ヒルズに戻る。開場を待つ間、シートに「ビッグ・リボウスキ」のデカイオッサンみたいなのがポップコーンを派手に食い散らかしているのが一瞬視界に入ったが関係ないので注意していなかったが、開場時間となり、自分の決められた席に着こうとすると、隣にそのビッグ・リボウスキが座っている。一瞬おやと思ったが、その時はわからなかった。
 で、座って直ぐに分かった。
 臭い
 とは言え、大人だからもう一度落ち着いて息をしてみた。
 非常に臭い。
 その時遅まきながらようやく気付いたわけである。その手のヒトであることを。よく見たら御馴染みな荷物があるし袖が破けている。そこで、これが我慢できるレヴェルかどうかもう一度息をしてみた。これはISSUE(異臭)だと。BIG ISSUEだと。直ぐに立ち上がり、チケットカウンターに向かった。
 後から思えば、浅草東宝新文芸坐などの入り口の看板に泥酔・異臭の方お断りと書いてあるように、退場を求めることもできた筈である。今回の場合は極端なクラスの発臭とまでは言わないまでも隣に座って2時間は無理無理というレヴェルである。しかし、金を払って入っている観客に対して従業員にアイツを摘み出せと言いに行くというのは、映画館を不必要なまでに神聖視気味な自分にはハナからなかった発想で、自分の席を他に換えてもらおうと思っていた。幸い座席は7割程の埋まり具合だったので、ま、勝手に変われば良いのだが一応それとなく異臭者が居るのにその対応はどーやねんというヴァージンシネマズ六本木ヒルズ側への自覚を促したいという気持ちがなかったかと言えば嘘になる。大体、浅草東宝のオールナイトへ行くとケッコー入り込んできているが、心得たものでそれらの方々は端の座席に付き、一般観客への迷惑が及ばないようにしている。これは自由席だからできる芸当で、シネコン特有の全席指定となると、逃げようがない。満席だったらどうしていたことか。
 結局、チケットカウンターが混んでいたので、もう上映が始めるので戻ることにし、ビッグ・リボウスキからはニオイが来なくて離れた席に座った。しかし、前から3列目ぐらいなので見上げる形になり、せっかく1時間前に来て真ん中の席を取ったというのにという思いだった。
 ま、何故ヴァージンシネマズ六本木ヒルズという場所も場所なのにあんなのが入り込んだのかとか、映画代もポップコーンも買えるぐらいの金は持っているだとか思うところはあるが、かなり女性も入っていたというのに、そういった方達が、やはりこの手の映画はそーゆー客が居ると思われて足が遠のくと不幸だ。
 ホームレスが映画を観てはイケナイと言う気は毛頭ない。ホームレスが寝泊りしている浅草東宝のオールナイトに自分は気にせず行っている(但しあの劇場は広大なので、そういった方と席を極端に離れて座ることが可能)。問題なのはホームレスに限らず悪臭を放たれた場合だ。じゃあキツイ香水は、とか体臭は、とか言われるだろうが個人差があるので一概には言えないが、隣で2時間ニオワされるニオイが、キツイ香水と数ヶ月風呂に入っていない例のニオイならどちらを取るか。自分は間違いなくキツイ香水を取る。気分が悪くなって吐き気や体調にまで影響を及ぼしてくるのは間違いなく例のニオイの方だ。
 今回の場合のような座席指定をした場合、その隣や前後に当たってしまったヒトはどうなるのか。ヴァージンシネマズ六本木ヒルズは、その点をどう考えているのか。
 久々に1800円払った上に悪臭とロクなことがなかったが、唯一にして最大の救いが「インサイド・ディープ・スロート」が素晴らしい秀作だったことだ。それにしてももう千回以上映画館に行っている筈だが初めての経験だった。
 因みにここまで具体的に劇場名まで書いてしまったので、不要な問題を避ける為、上記事例が発生した時間を記しておく。
・11/25(金)21:30の回 スクリーン④E-7 
 上記が自分の当初の席だったので、スクリーンに向かって左隣が問題のニオイの元である。

 周辺状況については書き終わったので、肝心の作品について触れたい(続く)。