金子修介新作3本公開ー「神の左手悪魔の右手」「デスノート」二部作

 金子修介にはいつも期待しているが、近年の不調振りが辛い。「恋に唄えば」でミソをつけて以来、デビュー以降年1本は新作を撮っていた恵まれた状況が一変し、3年に渡って新作が途切れた。金子修介も同年輩の他の監督同様、一線からは退くかと思いきや、一年の空白を経て、2004年にまずテレビで「スカイハイ2」を2話分、「ウルトラQ Dark Fantasy」を2話分監督している。そこから勢いが再びつき始め、昨年は、現場でのトラブルを抱えた上に作品も凡作だったが「あずみ2」が公開され、テレビでは「ウルトラマンマックス」を6話分、更に同時期の「ホーリランド」で5話分監督している。その他DVDリリースの「ウルトラQ怪獣伝説」「ウルトラマン怪獣伝説」を手掛け、ネットムービー「希望の党」(http://www.y-choice.jp/ ←金子以外にも子宮で映画を撮る河瀬直美ドラゴンヘッドで沈没した飯田譲治、ショボイ方面に進んでいく林海象など、並びも面白い)も撮っている。
 今年は、「神の左手悪魔の右手」、先頃発表された「デスノート」二部作と計3本の劇映画が公開される。年間3本と言うのは、デビューした1984年以来のことであり、本数が多ければそれだけで単純に喜ぶ自分にとっては、殊の他嬉しい。又、「デスノート」は20億の大作とのことで、金子修介には是非、プロとして踏ん張って欲しい。本人がそう思っているかどうかは知らないが、仮想敵・樋口真嗣の「日本沈没」を粉砕してくれることを期待したい。特技監督としての樋口は大好きだが、「ローレライ」程度の出来で得々として、「日本沈没」でドラマ要素をどの程度捌けるのか。「日本沈没」製作発表時に「ローレライ」は急いで作らされたから云々という恐ろしい発言もあったが、樋口真嗣が大味大作監督の道を歩むことを良しとは思えないし、安易に大作をこの系統の監督に任せる風潮に賛同しかねるので、そういう意味でも金子修介には、今度こそ奮起して欲しい。