映画の断片 「CASSHERN」チラ観

1)「CASSHERN」(テレビ朝日)

2004年 日本 カラー 「CASSHERN」パートナーズ シネマスコープ 141分
監督/紀里谷和明 出演/伊勢谷友介 麻生久美子 唐沢寿明
CASSHERN [DVD]

 キリやんが再編集して20分程切って、ソコソコ手を入れた特別篇とのことだったので、後日録画したものを劇場版と比較して詳細を見比べようと思いつつ、リアルタイムでチラ観。とりあえず、ブロードキャストカラーにどれだけ耐えられるのかと。
 公開時に観て、失敗作と言いつつ、DVD発売直後に購入して二度程再見している。だからと言って、観返す度に評価が上がるということは全く無く、相変わらず不味い箇所がより際立つのだが、文句言いつつ何故か再見してしまう類の不思議な失敗作。
 この作品と手塚眞の「白痴」は共通項が多い。
 友人で自主映画を撮り続けているヒトが露骨に絶賛していたが、夢の自主映画的という意味では、確かにこの枠組みで中学生じみた青い科白と世界観を平然とかましてしまうところが、妙に引っ掛かっているというか執着してしまう理由になるのかもしれない。言われてみれば、自分でも初めて作った自主映画の青臭さに後で気付き、こんなことはしてはイケナイんだという反省を持ってその後、そういった失敗はしないように気をつけていたのに、キリやんは平気でやっていることの驚きと憧れみたいなものがあるのかもしれないと思う。それに新宿で観たら、「キル・ビルVol.2」とコヤが入れ替えられていて、大きいコヤで「CASSHERN」をやっていてそれでも満員だったことの衝撃もある。
 作品としては長過ぎることが欠点の一部でもあったので、ドリームワークス配給でアメリカで公開されるヴァージョンは2時間になるとか聞いていたので、今回の放送版も2時間に切ってあるので、少しは観やすくなるかと思いきや、そんなことは全くなかった。長々とした説明科白をズラして画にWらせて短縮を図った箇所がかなりあったというぐらいか。しかし、ラストのシークエンスに宇多田の「誰かの願いが叶うころ」を被せて科白一切を消してしまい、よりPV的に再編集してあることに驚く。椎名林檎 の「茎(ステム)」は殆ど切ってしまっていたが、ま、 宇多田はフルで流すだろうという予想は当たったが、ここまで宇多田の曲ありきで再編集してあることには呆れるのを通り越して感心する。それに、十分過剰に映像で説明しているから、そこに青臭い科白が乗っていた劇場版よりも、宇多田のPVの為にこれまでの2時間があったという扱いにしてしまった方がむしろ潔い。又、宇多田の中では確かにもう一つな「誰かの願いが叶うころ」も、公開時にエンドロールで流れてくるとイベント映画的なぐっと来る高揚感が味わえて好きだったから、今回の改編は悪くない。