予告 「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.1」

2006年 日本 カラー スタンダード
構成・編集/松江哲明    出演/佐々木ユメカ

 構成・編集・松江哲明、撮影・カンパニー松尾、出演・佐々木ユメカという布陣でピンク映画特集上映の予告編という、ドキュメンタリーやAVやピンク映画や映画という境界を決めることを無効にしてくれる胸の高鳴る予告編。現在でも35mmでの作品製作が頼もしいピンク映画もやがてはHDカメラが導入されていくような時期が到来するのではないかと思うが、やがてはこういった組み合わせで本編を観ることができるかもしれないという予感にも満ちている。
 既にネットで公開されているが、新文芸座の大きなスクリーンで初めに観た方が良いだろうという判断で待っていた。
 東京を、新宿を、夜の新宿を撮らせれば最早他の追随を許さない世界観を作り上げてしまったカンパニー松尾の撮影が素晴らしい。新宿からポレポレ東中野までのナビになっていて、西新宿を闊歩する佐々木ユメカの姿や、JR新宿駅、中央線車内、東中野駅での姿を捉えた美しいショットに満ちている。比べるものではないが、日本映画専門チャンネル内でのミニシアターナビでの劇場へのルート説明映像とは雲泥の差だが、日本映画専門チャンネルでこれを流せば、行き方がわかるかと文句出そうな気も。
 佐々木ユメカは、林由美香亡き後ピンク映画の芯となる大きな存在だと思うし、今後への期待も大きいが、フトこの予告編、林由美香が生きていれば林由美香主演で製作されたのだろうかと思う。松江哲明×カンパニー松尾×林由美香という組み合わせが実現できないのかと思うと辛い。 
 それにしても、「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.1」は良いラインナップだなと思う。アテネフランセユーロスペースを経て、ポレポレ東中野での「花井さちこの華麗な生涯」「ビター・スィート」「かえるのうた」で劇場に定着してきた感があるが、そこに来て今回の特集上映は嬉しい。しかも2本立てというのが良い。今回のプログラム中、『Bプログラム:オタクとヒモの愛し方』以外は、2本立ての内1本は既に観ていたりDVDを持っていたりするのだが、どの作品も再見に十分耐えるし、フィル映えする作品ばかりなので通うことになるだろう。
 又、年明けに「映画秘宝」で告知が載っていたのを目にして以来期待していた林由美香の全仕事をアーカイブした書は夏頃出るようで、出演全映画評、AV評も掲載されるとのことで楽しみだ。そして、遂にと言うか、ようやくと言うか、林由美香が亡くならないと出ないなんておかしいとしか思えないが、「由美香」のDVDがやっと出るようだ。大体、「白 THE WHITE」が公開された後に、三部作セットにした自転車箱がリリースされると踏んでいたので、5年以上待たされてようやくである。因みに「白 THE WHITE」は未だ一切のソフト化がなされていない。今回のDVDは書籍版「自転車野宿不倫ツアー」もセットにしたものだそうで、この書を買い逃していた身としては有難い。漫画版の「由美香」は持っているのだが。

→予告編はコチラから。
http://pink2000s.cocolog-nifty.com/meikemitsuru/2006/04/r18_1f9a.html