雑誌 「nobody Issue22」

47)「nobody22」 

 蓮實重彦×黒沢清リチャード・フライシャー追悼対談が読み応えあり。フト思い出したが、「文藝別冊 追悼特集黒澤明」で原田眞人が「虎虎虎」をめぐって書かれた一文で黒澤擁護のあまりリチャード・フライシャーに暴言を吐き、その前後の日記で、自身の「狗神」が海外で「犬神家の一族」と混同されったことに腹を立てたのか、「狗神」という凡作の極みを作ったことは棚に上げ「犬神家の一族」をトンマな映画と書いたことで、原田眞人は最低だと確信したことを思い出す。以降、監督と作品は分けて原田作品に接している。そんなことはどーでも良く、充実したリチャード・フライシャー対談だった。これを企画したのがnobodyだけとは。
 その他、吉田喜重インタビューなど。吉田喜重木下恵介を明確にホモセクシャルと明言しているのを目にしたのは初めて。以前から言っていたなら、何時ごろから言い出したのだろうか。木下の死後のことだとは思うが。それにしたって、淀川長治にしても木下にしても、ゲイなのは周知の事実なのだから今更何を言うでもないにも係わらず、死後になってからでも『ホモだと言う人がいるがとんでもない』的なことを言う側近者が居るが、あれは何だ。逆に死者に対して失礼ではないか。現世の対面上を気にした差別的発言で、ゲイならそれで良いではないか。それによって彼等の評価が下がることはないのだし、優れた仕事を遺した偉大な監督と評論家なのだから。