2006年上半期 日本映画・外国映画 極私的BEST5/WORST5
昨年に続き恒例上半期のベストとワーストを覚書的に挙げておく。ようは前半の印象が薄れないように。
とは言え、何を観たかと並べてみたら、新作がかなり少ないので参った。新作旧作は平行して観ていくという信条とは言え、もっと新作を観なければイケナイ。下半期にある程度は挽回したい。殊に外国映画の新作が壊滅的に観ている本数が少なく、どう考えても不味い。大体、見逃し作品が日頃から多過ぎるので、下半期はもう少し解消したい。まあ、本数だけ見るとある程度観ているような錯覚に襲われるが。実際は短篇や再見作が多いので、長編のみで再見作を1本換算すると、110本前後か。
日本映画
■BEST5 1 「ヨコハマメリー」 2 「嫌われ松子の一生」 3 「間宮兄弟」 4 「かえるのうた」 5 「子宮で映画を撮る女」
以下順に「童貞。をプロデュース」「インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ」「犯罪学会」「ヒモのひろし」「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」「闇打つ心臓」「三年身籠る」「ドラえもん のび太の恐竜2006」あたりが圏内か。
下記一覧に新作旧作と便宜上分けたが、これほど無意味なものはない。厳密に言えば、「かえるのうた」や「子宮で映画を撮る女」は昨年の作品だし、本来ならば、上位にneonoe坐で観た「いつもでない一日 北見北斗高校の強行遠足」や「人間列島『18歳男子』」を据えたかったが、別格として扱うことにした。「セキ☆ララ」も昨年のベストに挙げたので外した。
「THE 有頂天ホテル」や「博士の愛した数式」「カミュなんて知らない」を観て、今年は日本映画が元気だなどと聞かされると、白けた冗談を言われているようにしか思えない。そりゃ駄作とは言わないにしても、あの程度で日本映画が力を取り戻したなどと平気で言うのは、犯罪的言動だ。
ベスト1はダントツで「ヨコハマメリー」に。今年はこれを越える作品が出るかどうか。街と場を見事に描ききってそこからメリーさんを浮かび上がらせる手法は見事で濃密な時間を過ごせた。
「嫌われ松子の一生」は不満点はありつつ、見せ方の巧みさに引き込まれたが、明日友人に付き合うのを幸いに再見する予定なので、印象が変わるかもしれない。
以下佳作群は順番を付け難く、思い切って並べた。ココあたりに来る日本映画が充実していると、かなり面白いだけに、上半期は楽しめる作品が多くて安心した。
■WORST5 1 「好きだ、」 2 「転がれ!たま子」 3 「映画監督って何だ!」 4 「小さき勇者たち ガメラ」 5 「るにん」
ゴミみたいな酷い作品を順番に並べただけなので、これはスンナリ悩むことなく酷い順に。
どうも、句読点や!の付いている作品は危ないという法則が出来るのではないかと思うくらいだが、「好きだ、」の非映画ぶりには呆れたり怒ったりを通り越して、ただのゴミでしかなかった。
「転がれ!たま子」もやりたいことに演出力が全くついていかなかった好例で、期待している監督だけに残念だ。
「映画監督って何だ!」は、祝祭映画として無視しておけば良いものだが、伊藤俊也の新作として考えるなら、無視してはいられない。観客の程度を低く考えるにも程がある。
「小さき勇者たち ガメラ」はかなり評判が良いのが衝撃的で、こんな手抜きな作品はジュブナイルとしても怪獣映画としても駄作でしかない。
「るにん」のような支持したいスタイルの作品であっても監督の独りよがりな自己陶酔な作品を見せられては困る。
今年は、この5本ぐらいしか積極的にワーストに押したい作品がないという状況に下半期がなることを祈りたい。
■旧作日本映画(順位なし) 「玉割り人ゆき 西の廓夕月楼」 「留学生チュアスイリン」 「NHKスペシャル 『戦争を記録した男たち ファインダーの中のベトナム戦争』」 「いつもでない一日 北見北斗高校の強行遠足」 「人間列島『18歳男子』」 「黄金の弾丸」 「明日の太陽」 「ロスト・ヴァージン やみつき援助交際」 「闇打つ心臓」[8mm版]」 「わいせつステージ 何度もつっこんで」 「モダン道中 その恋待ったなし」 「徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑」
再見作も多いが、ここでは初見作で印象的だった作品のみ挙げる。
下半期も映画都市っぷりを遺憾なく発揮する作品の上映が控えているので、旧作を追いかけるだけで一苦労だが、あくまで新作と旧作は並立化して観て行きたい。
外国映画
■BEST5 1 「ブロークン・フラワーズ」 2 「スティーヴィー」 3 「キング・コング」 4 「マンダレイ」 5 「送還日記」
例によって、5本では収まりきらない。ただ、上記5本は突出した傑作だったので、迷わず挙げたが、それ以外にも秀作はある。以下6〜10に該当する作品として、順に「ミュンヘン」「隠された記憶」「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」「夜よ、こんにちは」「ホテル・ルワンダ」があり、これでまだ半年分でしかないのだから、いかに充実した作品が多いかが判る。
ベストの5本の順序は迷いに迷ったので順不同でも良いぐらいで、いづれも質の高い作品ばかりなので、順番など決められない。
「ブロークン・フラワーズ」は音楽に流されてという意見も聞くが、やはり演出の確かさには唸る。この作品と比較すべきは「カレーライスの女たち」で、殊に一人目、二人目の元カノの家を訪ねて、飯食って、寝るという反復は、三十年後の「カレーライスの女たち2」と考えても良いぐらいだったが、ビル・マーレイがジャージ着て、座っているだけで最強なのだから、文句無く上半期ではベスト1に。
「スティーヴィー」「送還日記」といった心震える傑作にめぐり合えたことが、ひたすら嬉しい。
「キング・コング」「マンダレイ」は共にリメイクや続編といった方法論においては真新しさが全く無いが、それでいて、一瞬たりとも緊張感が緩まない傑作だった。観終わって直ぐにDVD購入が決まるタイプの作品と言うべきか。
■WORST5 1 「ドッグ・デイズ」 2 「PROMISE」 3 「プラハ!」 4 「シリアナ」 5 「ブロークバック・マウンテン」
「ドッグ・デイズ」は、悪趣味故にワーストなのではなく、本来ワーストとはこういった作品を先頭に掲げて楽しむものではないかという気がする。単に不出来な作品を論うもではなく、ワーストに相応しい作品として製作され、観ていて積極的にワーストに挙げようという気分にさせられる、最悪で幸福な作品だ。
以下は単に出来が悪いと思った作品を順に並べただけで、「PROMISE」には呆れ果てた。何度も敢えて笑わせようとやっているんだよな、と画面を見入っても、どうやらそうではないらしいと分かった時の驚きや恐れは、それは大変なものじゃったそうじゃ。
何にしても、「亡国のイージス」ラストの真田広之を真俯瞰で捉えられた手旗信号と共に、本作の真田広之が胴上げされる真俯瞰の映像の間抜けさをして、真田広之真俯瞰撮影禁止条例を発令すべきだと思うが。
「プラハ!」は悪くないのだが、シネミュージカルとしての躍動には欠けたのが残念だった。
「シリアナ」は手法が先行してそれに演出が追いついていない。
「ブロークバック・マウンテン」は、悪いものではなかったし、自然の美しさも魅力ではあるのだろうが、同性愛であろうが、異性であろうが、コトが起きる瞬間には、やはり繊細な視線の交錯があって然るべきにも係わらず、ガツガツし過ぎていて、美しさに欠ける。それに、美しい自然の映像にギターを掻き鳴らせば、叙情性が出るなんてことはないんだから、安易にああいうことは、もうそろそろ止めた方が良いと思う。
■旧作外国映画(順位なし) 「フープ・ドリームス」 「ヨシワラ」 「マザー、サン」 「セブンスコンチネント」 「ベニーズビデオ」 「たそがれの女心」 「赤い風船」 「陽気なドン・カミロ」 「立派な詐欺師」 「虎は新鮮な肉を好む」 「のらくら兵」 「スパイ」
こちらも今回初見だった旧作を。
フィルムセンターとユーロスペースが殆どを占めたが、これらは旧作ではなく現在の新作と同義的に観て、素晴らしいと感じた作品ばかりだ。
一覧
■日本映画新作 るにん ☆☆★★★ かえるのうた ☆☆☆★ 男たちの大和 YAMATO ☆☆☆ 童貞。をプロデュース ☆☆☆★★ 犯罪学会 ☆☆☆★★ 南の島にダイオウイカを釣りにいく ☆☆☆ 私の志集 三〇〇円 ☆☆☆ 三年身籠る ☆☆☆★★ THE 有頂天ホテル ☆☆☆ 博士の愛した数式 ☆☆☆★ 転がれ!たま子 ☆☆ エリ・エリ・レマ・サバクタニ ☆☆☆★★ ドラえもん のび太の恐竜2006 ☆☆☆★★ 好きだ、 ☆☆ ブラックキス ☆☆☆★ 映画監督って何だ! ☆☆ ヘイズ ☆☆☆★ 闇打つ心臓 ☆☆☆★★ 子宮で映画を撮る女(再) ☆☆☆★★ 南の島にダイオウイカを釣りにいく(再) ☆☆☆★ 童貞。をプロデュース(再) ☆☆☆★★ 私の志集 三〇〇円(再) ☆☆☆ 小さき勇者たち ガメラ ☆☆★ かもめ食堂 ☆☆☆ ヨコハマメリー ☆☆☆☆ 草叢 ☆☆☆★ ヒモのひろし ☆☆☆★★ 立喰師列伝 ☆☆☆ ゲルマニウムの夜 ☆☆☆★ 言い出しかねて(再) ☆☆☆★ インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ ☆☆☆★★ 嫌われ松子の一生 ☆☆☆★★★ 間宮兄弟 ☆☆☆★★ 童貞。をプロデュース(再) ☆☆☆★★ ■日本映画旧作 玉割り人ゆき 西の廓夕月楼 ☆☆☆★★ カレーライスの女たち ☆☆☆★★★ 佐賀県 ☆☆☆ ドキュメント路上 ☆☆☆★ 留学生チュアスイリン ☆☆☆★★★ 水俣一揆 ☆☆☆★★ 回想川本輝夫 ☆☆☆★ 二胡在新宿 ☆☆★★★ 子宮で映画を撮る女 ☆☆☆★★ 虹を渡る ☆☆★★ 野球人間 ☆☆★ 現代の映像『ベトナム帰休兵』 ☆☆☆★★ NHKスペシャル 『戦争を記録した男たち ファインダーの中のベトナム戦争』 ☆☆☆★★★ いつもでない一日 北見北斗高校の強行遠足 ☆☆☆☆ 人間列島『18歳男子』 ☆☆☆☆ 廃船 ☆☆☆★★ 稲田の草庵 ☆☆ 新潟県魚沼川の悲惨時 四つの魂 ☆☆☆ 黄金の弾丸 ☆☆☆★ 小さな冒険旅行 ☆☆☆★ 明日の太陽 ☆☆ 日本の夜と霧 ☆☆☆★★★ こちら葛飾区亀有公園前派出所 ☆☆★★ 秘)湯の街 夜のひとで ☆☆☆ 痴漢夜行列車 ☆☆★★ 痴漢電車 下着検札 ☆☆☆★ はしたない妻の蜜壷 ☆☆☆ ロスト・ヴァージン やみつき援助交際 ☆☆☆☆ 星のセレナード 田中路子独唱会 ☆ 闇打つ心臓」[8mm版] ☆☆☆ 暗くなるまで待てない! ☆☆☆★ 100%の女の子 ☆☆★★ 闇のカーニバル シャッフル ☆☆☆★ ミスピーチ 巨乳は桃の甘み ☆☆☆ 援助交際物語 したがるオンナたち(再) ☆☆☆★★ 欲情ヒッチハイク 求めた人妻 ☆★ わいせつステージ 何度もつっこんで ☆☆☆★ 人妻を濡らす蛇 −SM至極編− ☆ 恋の画集 ☆☆☆★ モダン道中 その恋待ったなし ☆☆☆★ 玉割り人ゆき ☆☆☆☆ 変態家族 兄貴の嫁さん ☆☆☆★★★ 絶倫絶女 団地の奥さん、同窓会へ行く ☆☆☆ 悶絶!!電車男 ☆☆ 痙攣 ☆☆☆★★ カレーライスの女たち ☆☆☆★★★ あんにょんキムチ ☆☆☆★★★ キャバレー日記 ☆☆☆★★ 徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑 ☆☆☆★★ 三味線とオートバイ ☆☆☆ 圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録 ☆☆☆★★★ 恋の片道切符 ☆☆☆★ 韓朝中在日ドキュメント セキ☆ララ ☆☆☆★★★ 東シナ海 ☆☆ ポルノの女王 にっぽんSEX旅行 ☆☆☆☆ 白い指の戯れ ☆☆☆☆ 狂った野獣 ☆☆☆☆ ピラニア軍団 ダボシャツの天 ☆☆★★★ ■外国映画新作 ロード・オブ・ウォー ☆☆☆★★ SAYURI ☆☆☆★ ミュンヘン ☆☆☆★★★ 愛より強い旅 ☆☆☆★ キング・コング ☆☆☆☆ PROMISE ☆★★★ スティーヴィー ☆☆☆☆ ジャーヘッド ☆☆☆★★ 僕のニューヨークライフ ☆☆☆★★ ある子供 ☆☆☆★ ホテル・ルワンダ ☆☆☆★★★ フライトプラン ☆☆☆★★ メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 ☆☆☆★★★ ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! 日本語吹き替え版 ☆☆☆★★ シリアナ ☆☆☆ 送還日記 ☆☆☆☆ SPIRIT ☆☆☆★★ SPL 狼よ静かに死ね 力道山 ☆☆☆★★ 君とボクの虹色の世界 ☆☆☆★ ククーシュカ ラップランドの妖精 ☆☆☆★ マンダレイ ☆☆☆☆ 変態村 ☆☆☆ ラストデイズ ☆☆☆★★ ニュー・ワールド ☆☆☆★★ 隠された記憶 ☆☆☆★★★ 夜よ、こんにちは ☆☆☆★★★ ファザー、サン ☆☆☆★★ グッドナイト&グッドラック ☆☆☆★★ ブロークバック・マウンテン ☆☆☆ ドッグ・デイズ ☆★★ ポセイドン ☆☆☆★★ ブロークン・フラワーズ ☆☆☆☆ プラハ! ☆☆★★★ ■外国映画旧作 フープ・ドリームス ☆☆☆☆ ヨシワラ ☆☆☆★★★ ヒトラーのためのソタナ ☆☆ ペテルブルグ・エレジー ☆☆★ マザー、サン ☆☆☆★★ セブンスコンチネント ☆☆☆★★ ベニーズビデオ ☆☆☆★★ ゲアトルーズ ☆☆☆★ チューブ博士の狂気 ほほえむブーデ夫人 バレエ・メカニック 幕間 純粋映画の五分間 貝殻と僧侶 塔 パシフィック231 ☆☆☆★ たそがれの女心 ☆☆☆★ 赤い風船 ☆☆☆☆ 陽気なドン・カミロ ☆☆☆☆★ 立派な詐欺師 ☆☆☆★★ 虎は新鮮な肉を好む ☆☆☆★★ のらくら兵 ☆☆☆★★★ スパイ ☆☆☆★★