無理矢理鑑賞・映画の夏

 角川春樹×森田芳光×織田裕二の「椿三十郎」が東映京都撮影所ではなく、やはり東宝撮影所を使用することや、東宝角川春樹が参入するのが、「天と地と」の配給問題が拗れる以前、「花の降る午後」以来となることや、これで東映・松竹・東宝との関係を取り戻した角川春樹と、興行的苦戦が続く角川歴彦側との問題や、森田芳光が両角川で夫々作品を連続して作ることやら、「ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い」で、監督が寺本幸代なのも凄いが、脚本が真保裕一であることの驚きと、「のび太の恐竜2006」と比して、既にオリジナル版の質が高いものをリメイクする必然性と、真保裕一が付け加える要素に問題がないのかどうか、今後リメイク路線を進むのか、等諸々書きたいことはあるが、今夏の特集上映の多さに驚くばかりなので、とりあえずこれだけは観るという最低限のモノだけ忘れそうなぐらい多いので、覚書的に書いておく。


溝口健二50周年プロジェクト
 既にサイトは出来上がっているが→http://www.kadokawa-herald.co.jp/mizoken/index.html
 今日、チラシを入手したら、より詳細情報が載っていた。
 既にサイトに載っているシンポジウムも楽しみだが(むしろその中で特別上映される「朝日は輝く」を観ることができるのが嬉しい。同時上映される「東京行進曲」はフランスの「cinéma 05」の付録にDVDで収録されていたので今回の上映は同じバージョンらしいし、先日日本映画専門チャンネルで国内現存版の「東京行進曲」が放送されたので、2つを見比べれば、違いや最長バージョンを組み立てることができる)、他にもフィルムセンターでの特集上映、恵比寿ガーデンシネマでの19作品上映、BS2で12作品が放映など、そこかしこで溝口がスクリーンに映写されている幸福な状況が訪れる。そして、遂に出るDVD。国内で発売されている溝口のDVDは「愛怨峡」のみで(これはこれで快挙と言うべき凄いコトなのだが)、来月に紀伊国屋から「雪夫人絵図」が出る。
 東宝から9/22に「西鶴一代女」「武蔵野夫人」が発売。
 松竹からは、11/22に「浪華悲歌」「祇園の姉妹」「残菊物語」「元禄忠臣蔵 前篇」「元禄忠臣蔵 後篇」「名刀美女丸」「歌麿をめぐる五人の女」「夜の女たち」。
 角川ヘラルド映画からはBOX2つ出る。Vol.1は10/27に「お遊さま」「雨月物語「祇園囃子」山椒大夫」「噂の女」。Vol.2は12/22に「近松物語」「楊貴妃」「新・平家物語」「赤線地帯」。
 これで、一気に21作品がDVD化されることになる。未だビデオ化されている作品全てがDVD化されたわけではないが、今後更新されていくことを願う。何より、余りにも多すぎる溝口の失われた作品が1本でも良いから出てきて欲しい。「血と霊」「紙人形春の囁き」「狂恋の女師匠」「日本橋」などいつか観たい。又、ソフト化された作品も不完全であるという認識を持たねばならず、松竹から出る作品は欠損しているものが多い。「浪華悲歌」「祇園の姉妹」など20分以上は公開時よりも欠けているので、数分ずつでも埋まっていくことを願う。



■「映画・日常の冒険」(東京造形大学
http://zokeizo.zouri.jp/index.html
 かわなかのぶひろ定年退職記念行事としての上映だが、これまで造形大で、彼の教えを請うた監督達の初期作を観ることが出来る。個人的には、何度も観る機会を逃している矢口史靖の「雨女」を捕まえたいが。
『「雨女」7月21日(金)●13:30〜 4-E教室
プログラム15 矢口史靖1990
雨女/矢口史靖/8ミリ/72分/1990年』

 


■「盛夏納涼 和製ホラームービー・コレクション」(ラピュタ阿佐ヶ谷
http://www.h2.dion.ne.jp/~mizurin/joho.htm
 未見作でレア度が高く、これだけは逃せないという作品に絞って「怪談色ざんげ 狂恋女師匠」「生首情痴事件」。



■「日本映画史横断① 日活アクション映画の世界」(フィルムセンター)
http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2006-08-09/kaisetsu.html
 NECOや一般の劇場でかかる作品が多いので、そうそう通うこともないが、観たかった古川卓巳の「麻薬3号」と、5・15事件前後を背景とする右翼テロリスト集団に属していた男の物語「昭和のいのち」は観る。



アテネ・フランセ文化センターの狂い咲き
 アテネが夏は諸々やるので、アテネ通いしなければいけない。

 
●まずは、『「黒沢清の映画術」発刊記念 KIYOSHI KUROSAWA EARLY DAYS』
http://boid.pobox.ne.jp/contents/kurosawa2.htm
 「映像のカリスマ」を近年古本で買った身には、腹立つ感じもあるが、諸々追加されているらしいので、まあいいかと。それよりも、何故かこれまで悉くタイミングが合わなかった8mm作品を今度こそ。上映作品は、Aプログラム:「白い肌に狂う牙」「SCHOOL DAYS」「SCHOOL SOUNDS」。Bプログラム: 「東京から遠くはなれて」「しらがみ学園」「逃走前夜」。
 8/5は蓮實重彦青山真治黒沢清トークがあるので、エライことになる。これ、前日でABやって、翌日もトーク付きでABやりゃ良いのにねえ。混雑を嫌がる層もあるだろうに。
 「しがらみ学園」には森達也が、「SCHOOL DAYS」には蓮實重彦が出演しているので、蓮・青・黒の並びに圧迫を感じるヒトも、森達也出演作として観たら良いかと。

 
●今月は「『LEFT ALONE1』『LEFT ALONE2』一挙上映+井土紀州最新3部作プレミア上映」がある。
 http://www.athenee.net/culturalcenter/schedule/2006_07/leftalone01.html
 「LEFT ALONE1」「LEFT ALONE2」は公開時に観たのでパス。松田政男が「恋愛レボリューション21」に合わせて踊る戦後左翼史が吹っ飛ぶ面白映像を見ることが出来るので未見の方は是非。つんくを見直した。
 「百年の絶唱」は近年再見したのでパスで良いかなと。「ねじ式女優 私は女優?」は、レンタルしている店があることに以前驚いたことがあるが、大阪のPLANET+1でよくやってた。「ある党員の履歴書」は未見なので、観たい。プログラムが一つ入れ替わっていて、「略称・ロリータ」という作品が中止となり「100万ドルを抱いて死ね!」に。タイトルに惹かれて「略称・ロリータ」観たかったのだが。
 そして、最も楽しみなのが、井土紀州監督最新作三部作一挙上映で、「蒼ざめたる馬」「複製の廃墟」「朝日のあたる家」を観ることが出来る。


黒沢清繋がりで、古澤健の特集上映「“ジャパニーズ・ホラー”の行方」
 まだチラシのみだが、8/19(土)に「オトシモノ」公開記念イベントが行われる。黒沢清×古澤健トーク他、「home sweet movie」「怯える」「ロスト★マイウェイ」が上映。古澤健の旧作を纏めて観たいと思っていたので幸い。

 
 アテネは、『アルメニア・フィルム・セレクション』とか未だあるし、特集上映は、他にもまだまだあるのだが、終わらないので、続きはまた後日。