映画 「真昼ノ星空」「恋は足手まとい」

molmot2006-07-26

169)「真昼ノ星空」 (ユーロスペース) ☆☆☆

2004年 日本 ホリプロ/USEN カラー ビスタ 92分
監督/中川陽介    脚本/中川陽介    出演/鈴木京香 ワン・リーホン 香椎由宇 柳沢なな 中川知也 幸野善之

 
 中川陽介に興味があるわけではなく、香椎由宇を観に行こうと思って、ユーロスペースに入った。
 この監督については全く知らない。現在レイトで「Fire!」という本作の次回作も同時上映されているので、塩田以降の出し皿の弊害的にデビュー作&2作目同時公開の憂き目に遭っているのかと思いきや、既に「青い魚」「Department」が公開されていると聞いて、そーいえばそんな作品あったなと僅かに記憶が甦ったものの、何にしても観ていないので、中川陽介はこの作品が初対面ということになる。
 既に完成から3年近くたっているらしく、鈴木京香が出ていてもそんな扱いなのかと、日本映画の公開問題を改めて思う。それに、そこまで遅れるとなると、酷い愚鈍なゴミ映画ではないのかという危惧もなきにしろあらずな心境でスクリーンを見詰めていたが、取り立てて傑作などと言う気はないが、悪い作品ではない。少なくとも雰囲気だけの物真似映画ではない。
 物真似とは、ようは観ればわかる通り、ウォン・カーワィから侯孝賢からツァイ・ミンリャンからジャ・ジャンクーなどを容易に想起させる本作の構造についてで、開巻の中国語のモノローグから、殺し屋、プール、弁当屋の女、監視員、コインランドリー、料理‥といった記号が反復されていくので危うさを持ったものの、演出でブレないので安心して画面を見詰めることができた。
 公開順序がかなり異なってしまったので今更感はあるものの、本作が香椎由宇のデビュー作になるそうで、それを聞いて観に行く気になったのだが、驚くのが『水の女優』としての香椎由宇が既に存在しており、プール監視員として水面を見詰め続ける。中盤では夜のプールの水面に浮く姿もあり、水との相性の良さをデビュー作から見せている。もっとも自分は「ローレライ」「リンダリンダリンダ」しか観ていないので、以降の作品がどうなのかは知らないし、別に水探しをして一人喜ぶ気は更々ない。単に水が介在した時に香椎由宇が特別な魅力を発していると思うだけだ。
 沖縄の空気感が心地良いし、鈴木京香ワン・リーホンが食事するシークエンスも美しい。
 ただ、終盤にワン・リーホンにとって鈴木京香の存在が何かを明かしてからは、心象的描写に終止してそれまでの魅力的箇所が生かされたとは思えず、萎んでいった感があり残念だった。

170)「恋は足手まとい」〔Un fil à la patte〕 (シアターN渋谷) 不完全鑑賞につき評点なし

2005年 フランス カラー ビスタ 80分
監督/ミシェル・ドヴィル    脚本/ロザリンド・ドヴィル    出演/エマニュエル・ベアール シャルル・ベルリング ドミニク・ブラン ジャック・ボナフェ マチュー・ドゥミ

 大体が納品を終わらせ、開放された気分になって、さて映画でもと思うのは良いのだが、そこに至るまで2日ほど寝ていないのに映画館に入るのは危険性を伴うと最近になって思うようになったのは、少し前までは、1日や2日ぐらい一睡もしなくても平気で映画をハシゴできたし、そのままオールナイトに行っても全く寝なかった。ところが最近は油断すると寝てしまう。「SPL 狼よ静かに死ね」や「SPIRIT」がそうで、後者は入れ替えなしだったので、後の予定を潰してでも意地のようにもう一度観たが、前者は最終日最終回だったので、どうにもならず。どんなつまらない映画であろうと寝そうになったことがなかったので、ショックである。
 で、今回も同様。「真昼ノ星空」が大丈夫だったので安心していたが、やはりミニシアター系やフランス映画を選んだのが不味かったか。見事に寝る。これ観たかったのに。しかし、少々寝てないぐらいで映画を観ている最中に寝るようになるとは、どういうことか。トシか‥
 結局夜にネイキッドロフトの『切通理作presents「物書きが自分をさらすということ」切通理作×森達也×雨宮まみ』に行くつもりだったが、翌日からの仕事に影響出そうなので帰って寝る。