読了 「黒沢清の映画術」

16)「黒沢清の映画術」 黒沢清 (新潮社) ☆☆☆☆

黒沢清の映画術
 読み始めたら、あまりの面白さに止まらなくなり直ぐ読了。
 70年代終盤から現在にかけての日本映画断面史としても面白い。自主映画、長谷川和彦相米慎二、ディレカン、伊丹映画、Vシネ、ホラー、8mmから35を経て24Pへ。黒沢清の多様さと変わって行くものと全く変わらないモノ。何故量産していけるのかの一端は分かったものの、真にはまだわからない。
 とりあえず、全作観返したくなる本で、先日のシネマヴェーラにやはり通っておけば良かったと思うが、文句を言って悪いがあの特集、初秋あたりがベストだったのでは?「黒沢清の映画術」が出て、「映像のカリスマ」の増補版が出て、初期8mmも上映されて、新作「LOFT」が公開されるその間が、『絶対に成熟しない』クロサワを皆が感心を持って見詰める機会だったように思うが‥ただ、そう軽快にラインナップを決められるわけではなく、出版や上映の予定もズレるものだし、愛すべきシネマヴェーラに無理を求めるのは酷だが。現在の小津、次のアニメに続いては、奇形系統の作品が大量上映される素晴らしい劇場である。
 なので、個人的に黒沢清を観返していこうかと。幸い、Vシネは全作中古で100円〜300円で入手済みなので、「打鐘」とか軽く流してしまっていたので、再見が必要だ。