雑誌 「シナリオ 2006年 09月号」

60)「シナリオ 2006年 09月号」 シナリオ作家協会

シナリオ 2006年 09月号 [雑誌]
 「日本沈没」(成島出加藤正人)、「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」(大森寿美男)掲載。尚、誌面上は「日本沈没」は加藤正人の単独クレジットだが、本誌中の対談・加藤正人×桂千穂でも成島出の名は出さずに諸事情で単独クレジットとされているが、わかりきったことだし、あの程度のことでクレジットから外させる愚かさに同調しない為にも個人的には成島出の名前を出しておく。それに加藤正人が全く五分五分で書いたと語っているし、ゴーストライラーや実は第一稿はコノヒトが、といったものとは明確に違うので。
 それにしても、加藤正人×桂千穂対談で、桂千穂は「日本沈没」そこまで褒めるかと。最近も「嫌われ松子の一生」を絶賛して、まあ、賛同しないわけではないが、あれも妙な持ち上げ方をしていて、明快な娯楽映画を第一に評価したいから無理から伊丹映画を過剰に褒め上げていたりしたこともあったし、荒井晴彦言うところの『ご老体、ご乱心!』が続いているなとしか思えないのだが、8mm出身者を嫌うあまりの持ち上げ方にはクビを傾げざるをえず、20分に1回さあラブストーリー・パート始めますよという声が聴こえて来そうな判りやすい始まりから、ココまで!という声がこれまた聴こえて来そうなショットの後、やりたかった特撮パートに入り、それが延々繰り返されるという、まるでカラミに興味のない監督がピンク映画を撮りましたみたいな映画を、何でそう持ち上げるかなと。とは言え、脚本を読みたい作品だったので読むのが楽しみだが。桂千穂が何度も『樋口さんが特撮を担当した「ゴジラ」や「ガメラ」』と言う物だから、ここぞと突っ込みたくなるのだが、樋口は84「ゴジラ」に造形助手で就いているので確かに間違いではないのだが‥
 『私のシナリオ作法』は、いまおかしんじ。先月の向井康介に続き、そこまで自分を晒して言うかと言うくらい面白い。親分荒井晴彦が個人情報の文章内での効果的な出し方を添削してあげてるじゃないかというくらい、そんな面白くもなかったこのコーナーが俄然活気づいて、妙な感動を覚えさせる場になってしまっていることに驚く。偶々現在最もノッてる才あるヒトが続いているからなのか何なのか。