プログラムピクチャーとしての「NANA2」

http://www.sanspo.com/geino/top/gt200608/gt2006080401.html
 
 既報通り、宮崎あおいの降板と代役の市川由衣の抜擢、更には松田龍平姜暢雄に交代と発表されたが、注目は9月中旬のインで公開が今年の12月9日という期間の短さで、ま、日本映画の正月映画というのは元来ギリギリまで撮影していたもので、往年の週1で2本立て量産時代は体感していないので知らないが、その頃よりはマシなんだろうが、10年程前までは平成ゴジラシリーズが年1本製作になって以降は5月末インで10月の東京国際映画祭出品というスケジュールのキツさが質を下げる一因になっていたり、「男はつらいよ」は11月末にインしてクリスマス過ぎまで撮影して、年末公開という流れだったりした。現在の、完成から半年、1年と待機している作品が多いことを考えると、近年撮影から公開までが早かったのは、「NANA2」同様東宝の「電車男」があるが、まあ、こういった芸当は撮影所、現像所を管轄に持つ会社でないと、そうスムーズにはいかない。とは言え、9月インで12月公開といのは凄いことではないものの、正月映画に苦戦しがちの東宝が今年は「犬神家の一族」と「NANA2」で当てに行こうとしている点は興味深い。
 しかし、大谷健太郎は今月公開の「ラフ」に続いて年2本東宝で手掛けるという、少し前までは考えられない程だが、せっかく当たっていることだし、先日観た自作自演の「私と、他人になった彼は」の才気迸る出来を思えば、「NANA」のあまりの凡作具合を挽回してもらわなければ困る。
 個人的には「NANA」にはウンザリさせられたタチだし、鑑賞動機の筆頭にあった、宮崎あおい松田龍平が降板とあっては益々観に行くのが億劫だが、それでもいかにプログラムピクチャーとして成立しているか、またはいないか、同様に「ラフ」はどうなのか、といった点からも大谷健太郎には注目したい。