予告 「おじさん天国」

おじさん天国』予告編【おやすみなさい編】

http://youtube.com/watch?v=HhmQg0SP8Oo

おじさん天国』予告編【おじさんインタビュー編】

http://youtube.com/watch?v=7fkPKeSYbW0

おじさん天国』予告編【ランニングホームラン編】

http://youtube.com/watch?v=vqMARBOpqN0

おじさん天国』予告編【監督vs女優編】

http://youtube.com/watch?v=HndYlDbfFmo
2006年 日本  カラー 分
監督/松江哲明



 松江哲明の新作予告編は、今年ピンクチェーンで公開された、いまおかしんじの新作「絶倫絶女」が12月にポレポレ東中野で「おじさん天国」の題で一般公開されるに当たって製作されたもので、何と全4パターンある。一応正式採用されたのは一つのようだが、全部公開してしまうおうという有り難い計らいの御蔭で観ることができることになった。現在ポレポレ東中野で行われている「ドキュメンタリードリームショー」で合間に一本ずる上映されているらしいので、元々行くつもりであったとは言え、予告は全作観ることができるかどうか不安だったので嬉しい。しかもYOU TUBEで公開。とりあえず2回ずつしか観ていないが、印象を軽く書いておく。
 【おやすみなさい編】は、防波堤横で日光浴をしているおじさんをロングのFIXで撮り、通行していく人々を画面に入れ込んだ、ゆるゆるな雰囲気が素晴らしい。正におじさん天国な雰囲気が漂う、作りこんで撮れるものではない空気感を予告篇という作りこみでしかない場に持ち込んで成立させているのが凄い。
 【おじさんインタビュー編】は4作中最も好みな作品。おじさん天国な時間を過ごしているおじさんに藍山みなみ平沢里菜子が「おじさん天国」の内容を説明するというもの。こういう作りには弱くて直ぐに喜んでしまう。「ラブ&ポップ」の最初期特報で、偶々ロケハン中の庵野秀明に話し掛けてきた男が居て、それを樋口真嗣が撮影していた。会話の内容は、『今度確か実写をやると聞きましたけど』『ハイ、「ラブ&ポップ」です。村上龍さん原作の援助交際モノです』というものだったが、それがそのまま作品の解説になっているからということで、特報に音声のみインサートされていた。この作品を観てもそれが思い出されたが、無防備な一般人相手に映画の内容を説明しようとするという行為が、やはり面白い。藍山みなみ平沢里菜子のキャラクターが短い中で出ているし、無作為の中で予告編を成立させているのには徹底して参ってしまう。
 【ランニングホームラン編】は、完成度としては最も高いのではないか。叙情性があって、吉岡睦雄の茫洋とした朗読が魅力的だった。
 【監督vs女優編】は、いまおかしんじという監督を直接なり作品なり、ジョナサン日記を愛読していたりすると、とても面白いが、知らないヒトにはやや内輪気味に感じるかもしれないが、藍山みなみ平沢里菜子とのやり取りが心地良い。
 個人的オススメは、【おじさんインタビュー編】と【ランニングホームラン編】だが、【おやすみなさい編】も捨て難い。
 というわけで、自分は「絶倫絶女」公開時に観に行ったものの頭数分を見逃しているので公開を心待ちにしているが、11月下旬から同じくポレポレで『R18 LOVE CINEMA SHOWCASE〜いまおかしんじ特集』が行われるそうで、こちらもラインナップ発表が楽しみだ。