書籍 「女優 林由美香」「実録マフィア映画の世界」

14)「女優 林由美香」 柳下穀一郎/直井卓俊/林田義行  (洋泉社)

女優 林由美香 (映画秘宝COLLECTION (35))

 本当は、今度のロフトでの出版記念イベントで買えば何かくれるらしいので(ところで、そのロフトのイベントは大丈夫なのだろうか?と言うのも何かとんでもなくヒトが押し寄せるような雰囲気が既に各サイトやブログからも漂っているのだが)、そこで買う気だったから申し訳なく思いつつ、ちょいとアレなのだが、友人から頂戴する。

 それにしても分厚い。封を開けて驚いた。ここまで厚い本になっているとは。それに中身がちょっとパラパラとめくって見るだけでも予想を遥かに超える濃密さで、夏前に出ると言ってたのに遅れてるんだな、とか夫々の方の日記でエライ事になってる風なことは分かっていたとは言え、そりゃここまでの本出すなら、少々予定より遅れようが当然で、むしろよくこの期間でここまでの本が出来たことに圧倒される。普通なら2、3年も過ぎて忘れた頃に薄いメモリアル本が出るぐらいのもので、ここまでの本が短期間で出来てしまうことが、それだけの魅力を持つ林由美香の凄さであり、彼女についての本を作りたいと奔走した携わった方々の執念を感じさせる。

 兎に角分厚く重いので、寝ているヒトの頭にでも落せばリアル林由美香になりかねない凶器的重みに満ちた中身は、


『女優 林由美香
監修:柳下毅一郎/編集:直井卓俊、林田義行/洋泉社/ 3800円(税抜)

☆1970-2005、全力疾走女優の生涯、全記録。
☆最後のロング・インタビュー、雑誌連載コラム、200本以上のピンク映画全出演作とビデオ作品完全解説ほか収録。
☆寄稿:井口昇いまおかしんじ大林千茱萸香山リカ切通理作、しまだゆきやす、東良美季、永江朗中野貴雄福間健二藤木TDC前川麻子、m@stervision、松江哲明、松島政一ほか


 上記にあるような、ピンク映画全出演作とビデオ作品完全解説にまずは圧倒される。いかに自分がピンクやAVやその他で観て来た林由美香が氷山の一角であり、あまりにも知らなさ過ぎることに呆然となる。リストがついているだけではなく、一本一本懇切丁寧な解説が付されているのだから読み飛ばせない。
 この本は林由美香を知っているヒトだけの為の本ではない。むしろ未だ一本も観たことがないヒトが、この本を頼りに林由美香を発見していくのだと思う。自分もあまりにも多すぎる、知らない、観ていない作品をこの本を元に観ていくしかない。
 それにしても凄いのは、余りにもあらゆる情報が詰まっていることで、ちょっと信じられなかったのは、裏ビデオ出演リストまで書いてあったことだ。公式本なら無視したって不思議ではないような事も全て包み隠さず曝け出してしまうのは、林由美香っぽくて良い。
 AV出演リストの膨大さに圧倒されていたら、『あくまでも暫定版であり、完全版にはほど遠い』と書いてあることにまた呆然とする。この出版を契機に、様々な情報がもたらされて補間されることで、より完全なリストが出来ていくだろうし、まだまだ知らないところに林由美香が居るのだと思うと嬉しい。
 そういう意味で、自分なりの視点からここはどうなんだろうかという箇所を二つ書いておく。個人的にまだパラパラ見ただけなのに言うのは失礼ながら、ちょっと気になったのは、細かいところだが、P351の「GAMERA1999」は、「ガメラ3 邪神覚醒」DVDに収録とあるが、そうだっけ?というのと、P352の「ドキュメンタリスト」シリーズの平野勝之篇への出演が書かれているのは良いとして、このシリーズの「森達也 〜自分であることの表現」にも林由美香は出演しているが、その点は書かれていないようだ。日本映画学校のドキュメンタリーの授業風景の中で生徒達がインタビューを行っているのだが、インタビューされているのが林由美香だったので観ていて驚いた。本当に唐突にどこにでも出てくるなと。それが亡くなった後の上映だっただけに予想外の登場で随分驚いた、続けて林由美香が安岡卓治を語るというシーンもあり、出演時間の長さで言えば「GAMERA1999」よりも長い。まあ、日本映画学校の授業に参加というのは略歴に書かれているので、その辺の兼ね合いなのかもしれないが。
 ともあれ、しばらくはずっとこの本を読み続けることになりそうで、楽しみだ。

15)「実録マフィア映画の世界」 山田吐論  (洋泉社)
実録マフィア映画の世界
 自分からは買いそうになかったので、貰ったんで幸い。