『女優 林由美香』本日発売

『女優 林由美香』 監修:柳下毅一郎/編集:直井卓俊、林田義行  (洋泉社)

女優 林由美香 (映画秘宝COLLECTION (35))

 関係者でもないのに、どういうわけか『女優 林由美香』を出版界の妙なルートを回りまわって戴いてしまった分際でありながら、ヌケヌケと出演作で抜けてる作品を指摘したりしているだけでは感じ悪いので、改めて本日が発売日なのでご紹介する。ただ今私が読んでる最中の本で、読んでて無茶苦茶面白いから。
 本当は自腹で買ってから、高いケド面白い、あるいはその反対の場合はその旨書こうと思っていたので、説得力に欠ける上、普段は自分に向かってしか書いていない独りよがりなブログ上で言うのも何だが、全く関係者じゃないし、利害関係もないので正直に書けるが、絶対に買って損しない凄い本である。理由は、書店で手に取って何ページか眺めるだけでわかってもらえると思う。
 はっきり言って、税抜3800円と高いのである。映画本とか買い慣れていないヒトには明らかに高すぎるだろうが、値段に見合う、あるいはそれ以上の濃密な内容は、実際に読んで貰うしかない。大半のヒトは納得する筈である。ここ数年の『映画/革命』『昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫』『遊撃の美学―映画監督中島貞夫』『争議あり―脚本家・荒井晴彦全映画論集』といった、ちょっとコレは凄いと質量共に圧倒させた映画本に、林由美香も入ってしまった。内容の構成が全く違うものの、越えないと思っていた『女優 中島葵 もう一人の「或る女」がここに生まれる』すら越えてしまった。
 何が怖いって、そこそこ映画を観ていると、観ていないにしてもタイトルに覚えがあるという作品が大半になってくる。しかし、『女優 林由美香』は違う。書かれているピンク映画やAVの大半が観たことも聞いたこともない作品ばかりなのだ。それを各執筆者が細かく解説している。自分の全く知らないところにこれだけの数の作品が生まれて流通していることに呆然とし、そして観たいと思わせる。今後ピンク映画館の三本立ての1本としてなり、一般館の特集上映で林由美香の作品がかかったなら、直ぐにこの本を取り出し、解説を熟読し、観る作品を選ぶ参考にできる。
 又、インタビューやエッセイなども、ちょっと驚くくらい充実しているので、林由美香の作品を知らないヒトはここから読み始めると良い。
 そして、この本を読み終わる頃には、映画『由美香』が、遂にと言うかようやくDVDで『由美香〈コレクターズ・エディション〉』として発売される(12月下旬発売予定)。
 林由美香は生きている。これだけ未だ観ていない作品を遺しているのだから。更に今後発見、発掘が続いていくと思う。数十年後には、溝口・山中・由美香の幻の作品が同時多発的に発見されているに違いない。


『女優・林由美香』硬式BLOG http://blog.livedoor.jp/yumika0627/
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〈「公式」が「硬式」なのは、林由美香の初期AVに『硬式ペナス』という作品があるんですよと野暮を承知で一応書いておこう。〉
           


『女優 林由美香
監修:柳下毅一郎/編集:直井卓俊、林田義行/洋泉社/ 3800円(税抜)

☆1970-2005、全力疾走女優の生涯、全記録。
☆最後のロング・インタビュー、雑誌連載コラム、200本以上のピンク映画全出演作とビデオ作品完全解説ほか収録。
☆寄稿:井口昇いまおかしんじ大林千茱萸香山リカ切通理作、しまだゆきやす、東良美季、永江朗中野貴雄福間健二藤木TDC前川麻子、m@stervision、松江哲明、松島政一ほか