映画批評家・田山力哉

 亡くなって9年が過ぎた映画批評家田山力哉のことを、今や話題にするヒトは少ない。
 嘗て毒舌で知られた映画批評家だ。テレビにも割合出ていたし、キネ旬の連載『シネマ・ア・ラ・モード』は短いながらも、ちょっと引くぐらい強烈な毒舌でヒトを作品を斬りまくっていて痛快だった。杉浦孝明を名指しで批判したり、宣伝部の怠慢に怒ったり、TVタックルで、大島渚北野武と論戦を張ったり、北野からも目の敵にされ何かと双方批判しあっていた。
 中学・高校の頃は、田山力哉のファンで、『シネマ・ア・ラ・モード』の連載前半分を纏めた『田山力哉の辛口シネマ批評 これだけは言う』が発売された時は、未読の分が読めるとあって発売されると書店を何軒も回って探した。
 今となっては、田山力哉の映画への接し方に完全に賛同しかねる部分もあるのだが、こういう蛮人が居なくて、杉浦が幅を効かせているだけでは面白い筈がない。
 と言うようなことを、フト思い返したのは、脚本家・守屋文雄の日記に田山力哉のことが書かれていたからで、「映画界には怖い人がいる。おいそれと映画を作ってはいけない、と思った。そしてもし作ることができたら、田山力哉には誉めてもらいたいと思った。」という一文が泣かせる。
http://pink2000s.cocolog-nifty.com/meikemitsuru/2006/11/post_c056.html

これだけは言う―辛口シネマ批評  さよなら映画、また近いうちに