古本 『きょうのシネマは―シネ・スポット三百六十五夜』『映画だけしか頭になかった』

48)『きょうのシネマは―シネ・スポット三百六十五夜』 山田宏一 (平凡社) 
49)『映画だけしか頭になかった』植草甚一  (晶文社 ) 

きょうのシネマは―シネ・スポット三百六十五夜 映画だけしか頭になかった (1973年)
 48)600円。この本の存在は全く知らず、山田宏一だし、600円だし、中身は確認できなかったが、買って損なしと判断して購入。開けてみると、テレビ放送の映画から作品を取り上げて解説するというもので、和田誠の『ブラウン管の映画館』と同じ趣旨のもの。
 BS放送開始、レンタルビデオ全盛期前後を知っているので、地上波の吹き替え・カット版であっても放送を楽しみにしていた最後の世代ではないかと思う。この後の世代なら、物心ついた時から、WOWOWなりレンタルビデオで、ノーカット・字幕でのテレビ放送が当たり前だったと思うが。だから、小中学生の頃は、『テレパル』を購入していたが、この雑誌は地上波の映画放送に愛着があり、何度も細かな特集を組んでいた。今から思うとかなり異様なぐらい細かな特集で、カット放送の基準や吹き替え収録について、しつこく誌面を割いていた。又、毎週の放送作のリストにも、放送時間とオリジナルの時間を併記して、何分カットされているかを一覧でわかるようにしていた。だから、ノーカットであれば(それでも当然吹き替え、CMは入るわけだが)録画したり、或いはカット時間が短ければ見るとかしていた。
 そういう意味で、本作のような、テレビ放送作から作品を選んで解説してあるような作りの本は好きである。少し中身を読んで驚いたのは、連載中に毎週のように激励の手紙を送ってくる「老ターザン」と名乗るヒトの手紙も掲載されていることで、本当なのかどうか、単行本化に当たっては、山田宏一はこのヒトの手紙に励まされたのだから、併載できないと嫌だと言ったとかで、編集者が本名も住所もわからないながら、消印を頼りに探し当てたと言う。だから連載終了から単行本化まで数年をかかったのかも知れないが、ネット以前の書き手よ読み手の関係を考えさせる面白い試みだと思った。山田宏一の凄さを改めて感じる。
 49)一部内容が持っているものと被っている部分もあるのだが、千円だし買っておく。