映画 『HAZARD』 『市川崑物語』『おじさん天国』
296)『HAZARD』 (UPLINK FACTORY) ☆☆★★★
2002年 日本 カラー ビスタ 103分
監督/園子温 脚本/園子温 出演/オダギリジョー ジェイ・ウエスト 深水元基 椋名凛 萩原明子 池内博之
こないだ30%OFFで買ったアップリンクDVDに半額券がついてたんで、500円で観る事が出来て幸い。上映が始まっても自分ひとりだったので、UPLINK FACTORYの椅子ならではの横に寝そべって、菓子食いながら気ままに眺める。終映後、明るくなると後方に客が一人居るし!いつ入って来たのか。申し訳ない。
公開までに4年かかったのが惜しまれる。オクラになるのがわからない、真っ当な作品だった。
凄いと感嘆する描写と、そうでもないと思える描写が混成した作りに困惑しつつ、魅力的に思ったり、そうでもないと思ったりを繰り返しながら観ていた。『夢の中へ』と併せて再見したいし、『紀子の食卓』に到達した園子温が今後は見せない作りの映画だろうから、この作品をどう観て、園子温のフィルモグラフィーの中でどう位置づけるかは、園子温のフィルモグラフィーが完結するまでは、判断できないような気さえしてしまう。『紀子の食卓』のような否応なく凄い作品は、単独で観ても素晴らしいのだが、園子温という得体のしれない巨大な作家を前にすると、どうにも、自分の感じる凄いと思う以上の存在であるように思えてならず、そう簡単に凄いと言ってしまって良い物かと思う。『男痕 −THE MAN−』 『性戯の達人 女体壺さぐり』みたいなピンク映画も含めて、 園子温をどう観て良いのかと考えると分からなくなるが、その分からなさを抱えたまま、貯まっていた新作の一斉放流が始まる今、観続けていくことが、心地良くもある。
(続く)
297)『市川崑物語』 (新宿ガーデンシネマ) ☆☆☆☆
2006年 日本 ロック・ウェルアイズ カラー ビスタ 分
監督/岩井俊二 脚本/岩井俊二
岩井俊二が『市川崑物語』という作品を製作すると聞いただけで、興奮した。
完成した作品は、岩井俊二の市川崑への敬愛と、そして和田夏十を主役に据えた、二人の深い愛情を描いた傑作だった。
和田夏十を想う市川崑に泣き、岩井俊二が“僕のオリジナル”だと言う市川崑への限りない尊敬の念と、歳の離れた友情に涙し、いくら何でもちょっと不味いんじゃないかと思えてしまう3人しか居ない観客の中で、自分はひたすら嗚咽していた。
はっきり言って、他人には奨めない映画だ。と言うよりも、奨めて良い物か迷う。市川崑への愛情と敬愛とを岩井俊二に負けないぐらい持っているなら兎も角、そうでなければ、かなり退屈に映ってしまうのではないかという不安が拭えないからだ。
(続く)
298)『おじさん天国』〔成人館公開題:絶倫絶女〕 (ポレポレ東中野) ☆☆☆★
2006年 日本 カラー ビスタ 分
監督/いまおかしんじ 脚本/守屋文雄 出演/下元史朗 藍山みなみ 吉岡睦雄 松原正隆 平沢里菜子 佐々木ユメカ 伊藤猛