雑誌 『TITLe (タイトル) 2007年 02月号』

103)『TITLe (タイトル) 2007年 02月号』 文藝春秋

TITLe (タイトル) 2007年 02月号 [雑誌] 
 『BRUTUS』や『TITLe』は、まあ、映画特集以外にも買うことがあるが、映画特集でもそれなりに色んなヒトが動員されているので、読み物として気軽に読むには申し分ないこともあり、買うことが多い。
 今回は特集『史上最愛のDVD大作戦!』とのことだが、それよりも・ジョニー・トー×黒沢清の対談が目を引き、他は何が載っているかも知らず購入。同時期公開の『エレクション』と『叫』についての対談で、もっと長く読みたい内容だったが、他の頁をパラパラとめくると、小林信彦×中原昌也が、作家と映画狂についてと、DVDのバカ買いについてを語り合うという、そんな面白い企画が実現するわけもなく、夫々別頁で登場しているのだが‥
 500円DVDのオススメみたいな頁が見開きであった。フンと思ってやり過ごそうとしたら、それを解説していたのが小林信彦だったので呆然とする。一応、たぶん絶対入れろと言われたんだろうが、<僕は、ワンコインDVDについては、パブリックドメインであるがゆえに、画質の悪さとスーパーの翻訳に間違いが多い、一種の欠陥商品であることははっきり言っておきたいですね。その上で、珍しいものが出ているのは確かです。>と断ってはいるものの、文春のコラムでは買って見たけど捨てたとか書いてあったのに、どーゆーことかと。大体、そこで紹介されている『救命艇』にしても正規版が安価で出ているものが多いので、こんなものを、それも小林信彦が何で紹介しなければならないのかと思う。せいぜい『モーガンズクリークの奇跡』とか『高慢と偏見』とか『雲流るるままに』とか確かにパブリックドメインでしかDVDが出ていないものはあるので、そういった面で有り難いこともあるのだが。実際自分もマイケル・カーティスとかB級の正規で出そうにないものは買ったりしているが。ただ、安価で正規版が出ているものも同じように紹介するのは如何なものかと思う。
 先般発売された『映画が目にしみる』が、突如DVDガイドブックのような扱いになっていて驚いたが、どうもこの書の中で言及されている芝山幹郎の『映画一日一本』の影響が濃いのではないかと思う。『コラム〜』シリーズと言っても、信奉しているのは一部のサブカル方面だけで、一般的には全く評価もされていないのは、品切れのままになっている現状からして明らかだが、だから小林信彦は、DVDガイドとして単行本化することで目先を変えたのかとも思う。今回の500円DVD解説なんかに、いくら文藝春秋とは言え出てくるところからして思えてしまう。
 中原昌也は自室のDVD棚公開という、何じゃそりゃという内容で、小林信彦といい、中原昌也といい、何ちゅう扱いなんだろ。
 ただ、中原昌也の溢れかえった棚を眺めると、実に安心して、自分はまだまだ大丈夫だと思う。賞金をDVDに費やすとこうなるという見本みたいなもの。棚の並び的に愛着のない不要な作品を買い込むというのも実に分かる。全く好きでもない、どーでもいい作品を廉価版なら兎も角、それなりの価格のものを棚の並び的に買わされるのは実に辛い。