フィルムセンター「追悼特集 映画監督 今村昌平と黒木和雄」

2007年4月17日(火)―5月9日(水)、5月17日(木)―6月10日(日)
http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2007-04-05/kaisetsu.html
 
 
 今村昌平黒木和雄の追悼上映は各地で既に散々されているし、FCには近作が無いので、そう特筆すべき上映でもないかと思いきや、観る機会が少ない作品が含まれているので要注意である。
 殊に、昨年東京国際映画祭で上映された、今村昌平が監督した横浜放送映画専門学校(現日本映画学校)の第1回実習作品と第3期研究科の実習作品である、『あほう』と『凍りついた炎』が上映されるので、絶対に観に行った方が良い。ただの実習向けのどうという作品でしかないならそこまでは言わない。今村昌平フィルモグラフィーを語る上で、観ておかなければ大きな欠落になってしまう秀作なので、是非観て欲しい。この上映は、怪作『西銀座駅前』も併映されるので豪華3本立てだから是非。


第19回東京国際映画祭  特集上映 今村昌平追悼特集『あほう』『凍りついた炎』 感想

04/17(火) 7:00pm   05/05(土・祝) 1:00pm


あほう
(13分・16mm・白黒)
人間がいかに滑稽で愛すべき存在かを学生一人一人に自分なりの視点で見出してほしいという今村昌平が、1975年に創立した横浜放送映画専門学校(現日本映画学校)の第1回実習作品。主演の日野利彦はかつて『赤い殺意』の主人公の息子役を演じた。

’75(横浜放送映画専門学校)(脚)我妻正義(撮)田畑哲治(出)日野利彦、京谷道子、木村隆


凍りついた炎
(37分・16mm・カラー)
横浜放送映画専門学校の第3期研究科の実習作品。理髪店を経営する夫婦と姑、姑と懇意の男の間の激しい関係のもつれが描かれる。夫が狂気の沙汰になるラストは衝撃的。

’80(横浜放送映画専門学校)(脚)田村浩太郎、清水信行(撮)幸田守雄(出)山本龍二猪俣光世、渡辺とく子、北村和夫


西銀座駅
(52分・35mm・白黒)
『盗まれた欲情』製作のためにやむを得ず撮ったと今村が述懐する本作は、“SP(シスター・ピクチャー)”と呼ばれる1時間弱の中篇。フランク永井の同名の歌を中心に構成されたものだが、西銀座駅前にジャングルを現出させるなど、美術面ではかなり骨の折れる作品だった、と美術監督中村公彦は回想する。

’58(日活)(原)(脚)今村昌平(撮)藤岡粂信(美)中村公彦(音)黛敏郎(出)フランク永井、柳沢真一、堀恭子、西村晃山岡久乃初井言栄小沢昭一、山根恵子、神戸瓢介


http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2007-04-05/kaisetsu_2.html

 今村作品では、割合良く上映されているものの、ソフト化されていない『にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活』、CSでの放送を経てソフト化されたので、レア度は下がったが観る機会の少ない『未帰還兵を追って マレー篇』『未帰還兵を追って タイ篇』『からゆきさん』『無法松故郷に帰る』も必見。


 黒木和雄の作品では、岩波映画時代の作品は、割合上映されてはいるが、この機会に一気に観ておくのも良い。
 『東芝の電気車輌』『わが愛北海道』『あるマラソンランナーの記録』は既に観ているが、『海壁』『ルポルタージュ 炎』『恋の羊が海いっぱい』『日本発見シリーズ 群馬県』『日本10ドル旅行』『太陽の糸』などは未見だったのでこの機会に。
 更に、『ぼくのいる街』といった平和博物館用に撮った作品や、『椅子を探す男』という未知の作品も上映される模様なので気になる。 

04/28(土) 4:00pm  05/23(水) 3:00pm  06/08(金) 7:00pm


椅子を探す男
(11分・16mm・カラー)
ギター弾きの男が座っていた椅子がなぜか消滅してしまい、男はその椅子を求めて街や海辺を探し回る。コマ落としなども用いた遊び心のある短篇で、ポランスキーの『タンスと二人の男』(1958年)なども想起させる。黒木監督が所蔵していたプリントを特別に上映。

’68(科学映画製作所)(製)並木菊雄(脚)黒木和雄、保田宗晴(撮)大津幸四郎(美)平田逸郎(録)加藤一郎(出)松岡きっこ、植田峻


http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2007-04-05/kaisetsu_22.html