『シナリオ 1976.05』『シナリオ 1979.11』『シナリオ 1998.05』

33)『シナリオ 1976.05』 (シナリオ作家協会)  
34)『シナリオ 1978.02』 (シナリオ作家協会)  
35)『シナリオ 1998.05』 (シナリオ作家協会)  

 33)『任侠外伝・玄海灘』(石堂淑朗唐十郎)、『寺島町奇譚』(中島丈博)、『凍河』(石森史郎)。
 34)『日本の黒幕』(高田宏治)、『集団暴力』(石井輝男/中島信明)、『天使の欲望』(中島丈博)。
 35)『SADA』(西澤裕子)、『リング』(高橋洋)。
 各100円。
 34)『日本の黒幕』は、当初大島渚が『天草四郎時貞』以来東映京都で撮るという企画で準備されていた。しかも、大島渚内藤誠側と、高田宏治側で夫々脚本を執筆し、ドッキングさせることで、東映色と大島色を混合させる意図があったようだが、当然ながらうまく行くわけはなく、大島が高田宏治の脚本を目の前で叩きつけるなど、色々あったようだ。結局、大島側が脚本を上げることができずに、時間切れとなり、降板となった。映画は、降旗康男によって引き継がれた。今から思うと、本作のプロデューサーに学生の頃、脚本指導を受けていたので、『日本の黒幕』の内幕を聞いておけば良かったという後悔がある。
 それにしても、もし大島で実現していれば、『夏の妹』を最後に現代日本を描くことを止めたと言われていた大島が描く現代劇、しかも『日本の夜と霧』以上に過激な政治テロ映画となっただけに残念である。因みに、少年テロリスト役には三上博史が決定していただけに、大島と少年という観点からも、実現してほしかった。
 35)ここらは買ったり、立ち読みして済ませていた時期なので持っていたような気がしていたが、無かったので買っておいた。『SADA』は、西澤裕子大林宣彦に大激怒したコメントが掲載されている。大林の脚本問題を考える上でも重要。ただし、阿部定という題材に関しては、マリー・アントワネット並に、映画向きに見えて実は極めて映画には不向きな題材だと思う。田中登大島渚石井輝男大林宣彦といった才人がよってたかってやる程魅力的な題材とは思えない。所詮阿部定調書を基にしているから、展開も当然同じだし。むしろ、実現しなかった若松孝二×足立正生で映画化される予定だった、足立の書いた阿部定みたいに、ラストで突如定が斬ったチンポを握って国立競技場を一周する、みたいな飛躍が入れば面白いなとは思うが。
 この時期に『リング』の脚本が掲載されるのは可笑しいのだが、今でも覚えていたが、『リング2』の脚本は、当初一般公募されていたので、それもあって1作目が掲載されたのである。学生だったので、友人と応募してみるかと言ったものの、当然ながら、あの巨大な恐怖世界の、しかも続編を易々と書けるわけもなかったが、結局高橋洋によって『リング2』は執筆されたが、高橋洋しかあの世界を描けるヒトがいないことを改めて思った。