石坂浩二 トークショー

『「金田一です」出版記念 石坂浩二トークショー&サイン会』  (福柾書店所沢店・二階イベントホール)

 所沢に新しく出来た書店で石坂浩二トーク&サイン会。告知が殆どされていなかったせいか、客はかなり少なかった。それでも石坂浩二は不機嫌そうな顔も見せず、ちょいエラそうな言動をアシスタントの姉ちゃんに始めは見せつつ、それも含めて笑いに持っていくアタリは、やはり大したものだと思った。単なるお愛想を振りまくだけよりよほど良い。
 金田一を中心にして語られるので、既に聞いたことのあるハナシばかりとは言え、自分の年齢で石坂浩二金田一のハナシばかりしてくれるのをナマで聞けるなんてのは、絶対に叶うことのないことだと思っていたので、ひたすら嬉しい。
 先般の『犬神家の一族』については、「思ったほどお客さんに来て貰えなくて」と言いつつ、現在市川崑は『犬神家の一族』の新旧版をMIXさせたバージョンを製作しているそうで、石坂曰く「金田一がジジイになったり若返ったりする」そうだ。年内にミニシアター系で公開されるらしい。夏に出る犬神のBOXには新旧版を収録した盤が出て、マルチアングルで切り替えできるようにするらしいから、そう不思議でもないのかもしれない。大体市川崑は、ハナからそれを狙っていたのではないか。91歳の監督によるアヴァンギャルド過ぎる試みだ。
 更に新金田一シリーズ第二作として『本陣殺人事件』の準備に入っており、又、市川崑が監修に立って弟子筋の監督達による金田一映画を作る企画も進んでおり、岩井俊二が『悪魔が来りて笛を吹く』、手塚昌也が『三つ首塔』を映画化するそうだ。『本陣殺人事件』以外も石坂浩二が主演するかどうかは不明のようだが、今年から来年にかけて一気に三本製作されるそうなので、体力と髪の毛を大事にしつつ撮影に入りたいと冗談めかして言っていたが、まさか現在にこんなことが起きるなんて思ってもみなかったので期待したい。
 恐らく配給は再び東宝になる筈だが、森田芳光の『椿三十郎』に続いて、崔洋一の『用心棒』、樋口真嗣の『隠し砦の三悪人』、行定勲の『天国と地獄』、飯田譲司の『蜘蛛巣城』、滝田洋二郎の『酔いどれ天使』、北村龍平の『姿三四郎』と黒澤リメイクも続き、再生産ばかりである。