4/26〜4/29

4月26日(木)
 またまたギリで走りこんだ渡辺文樹で『ザザンボ』(☆☆☆★)。
 既に入った時には明かりが消えていたが、空いてる隅の席に座っただけで、目が慣れてくると、直ぐ前にanutpanna さんが居て、隣が松江監督、斜め前にも知り合いが居ることが判断できるぐらいで、終映後に振り返ると更にバラバラと知り合いが居たので、まったく平日の昼間とは思えない状況だった。俺も含めてあんたらみんな働けよ。それは兎も角、『ザザンボ』は、大島渚の『儀式』『少年』で始まったと思いきや、同じく大島の『飼育』『白昼の通り魔』の土俗性を経て『絞死刑』に到達し、終盤は『犬神の悪霊』と化す、現在の日本映画が失った強力な磁場を持った力作だった。明日の上映には行けないのが辛い。渡辺文樹、全部纏めて観たい。

 昨日同様、終映後は歩いて渋谷まで。その後の予定まで中途半端に空いていたので、TSUTAYAへ行くと言うanutpannaさんについていって、DVD棚を眺めながら雑談していたら時間過ぎる。
 書店で雑誌『Title』。柳下穀一郎の東京名画座対談目当てに購入。

 早めにアップリンクへ向かう道で、同じ目的で向かっている知り合いの某女に会えたので、お目当ての『おじさん天国』DVD発売記念イベント「まーイーカー」が始めるまで、茶飲みながら待つ。彼女、既に整理券を確保しているにも係わらず、20分前にはしきりと時間を気にし始めて、もう行こうと言う。そのまま従いアップリンクに行くと、やっぱり未だ誰も居ない…。気合入り過ぎだ。
 イベントは盛況で、席が丁度埋まるぐらいの良い入りだった。
 上映は、『性春金属バット』(今岡信治/☆☆☆★)。前半は特に秀作。後半の想像もつかない展開へと転がっていくのも面白い。
 続いて、『おじさん天国・予告篇』(松江哲明)4パターン上映後、『南の島にダイオウイカを釣りに行く』(いまおかしんじ)。これで三回目だが飽きない。いつものいまおか作品同様見返せば見返すほど面白い。
 最後は、藍山みなみ平沢里菜子らでピザステーションの歌を唄って、ビトさんが『おじさん天国』テーマ曲歌って綺麗に纏めて、心地良くイベント終了。

4月27日(金)
 講義2回目。大分慣れる。時間配分がやっと掴めて来た。
 夜、脚本の師匠のお供でゴールデン街。隣に居た照明屋のオヤジと喋っていたら、若い頃に渥美清に掛けられた言葉というのがエエ噺やったので、印象に残る。
 最近酒量が増えてきたので、休肝日を設けようと考える。とりあえず家で仕事している時には昼間は飲まないようにすると決める。

4月28日(土)
 友人誘って、渡辺文樹御巣鷹山』(☆☆★)。
 科白がズレてるとか、チープだとかというのは表面的な問題に過ぎない。むしろ『ザザンボ』から未見の『バリゾーゴン』『腹腹時計』を経て、どう『御巣鷹山』に行き着いたのかが気になる。それは、単に電波の度合いが高まって破綻しているというだけでは済まされない。映画に獲り憑かれて、行き着いた果てのフィルムの断片を観たような気がする。それは、新藤兼人大島渚吉田喜重でも、時代が違えばなっていたかもしれない姿だと思う。
 各ショットの大半は、技術的不備が幾つかあるとは言え、実直に撮られたもので、恐らく再編集してダビングして音が入れば、その辺りは明確になると思う。しかし、自分が気になるのは、例えば歩くシーンを撮るのに、何故煽りでその場で足踏みさせて、移動を表現しようとするのか、といった点にある。それは低予算といった問題ではなく、ある種の表現のつき抜けた先に行きついた見せ方なのだろうかと思ってしまう。映画撮影においては、中抜きなど撮影を迅速化させる手法がるが、煽りで撮影場所を不明確にして空バックで撮ってしまうということはあるにしても、その場足踏みだけで移動だと言い切るのは、ちょっと唖然としつつ、終盤のエンターテインメント魂溢れる展開共々、渡辺文樹という独自の映画技法を発展させていった監督への興味が尽きない。
 『バリゾーゴン』パンフ購入。600円。

4月29日(日)
 GWとは縁のない仕事なので、外に出ると混んでるだけなので、極力外出したくないのだが、新宿で用件あり出向く。
 出かける前に何故かビールを一缶空けている。

 途中書店で、小林信彦昭和が遠くなって 本音を申せば』購入。書店すらも激混みでウンザリする。何が腹が立つと言って、親に本をねだる小学生ぐらいのガキが狭い書店の通路で全身で買ってくれと表現するものだから、こっちが片手に持ってる本に思い切り体をぶつけてきやがって、本のカドが曲がる。自分で雑に扱って本が傷むのは平気だが、他人にされるのはムカつく。世間ではこれをワガママと言うらしい。

 新宿も混んでる。待ち合わせの喫茶店も混んでる。用件済ませて、ディスクユニオンが日本映画のDVDのセール日だったので、ロマンポルノ数本買おうとするが、やっぱり止めて、『カンゾー先生』だけ買う。2800円。
 模索舎に寄って、『PG』の買い逃しの華沢レモン特集号と、井土紀州特集号の『別冊PG 歌はうたえども、破れかぶれ』購入。後、流石編集部が近いせいか『映画芸術』最新号がもう置いてあったので購入。
 地下鉄で神保町へ移動するも、大半の店がもう閉まっているか休んでいるので、徒歩で秋葉原へ。今、自宅のHDレコーダーが、あまりの酷使に耐え切れず、遂にDVDドライブ部分が壊れて修理中なので、その間使用するHDレコーダーを探す。基本的にVHSの時代から、録画機器に5万以上出すのは嫌いなので、その枠での選択ということになる。S-VHS、D-VHSもそうしてきた。ただ、DVD業界で働いていた身としては、このタイミングでHDレコーダーを買うのは気が進まないし、新品で買っても酷使に耐え切れまいと思ったので、家電の消耗品は新品でしか買わないのだが、中古がかなり安いので、TOSHIBAの160GのHDレコーダーを購入。2万5千円也。まあ、1、2年使えれば良いだけだから。
 帰宅後、NHK教育ETV特集 ホワッツ・テラヤマ?』眺めるが、ここまで単純明快な作りにしなければならないのだろうか。