横山ノック死去

 中咽頭がんのため死去。75歳。
 物心ついた時から既に大物ベテランだったが、『ノックは無用』『花の新婚カンピューター作戦』辺りで、初めてタコを認識したのかと思う。
 パペポの新春特番の収録を観に行くと、知事になってからも出演していた。上岡龍太郎のかけ声に合わせて往年のタコの真似もやってた。
 当時も思ったが、やはり大阪府知事二期目に出たのが不味かったなと思う。青島同様、一期だけで止めてタレントに戻っておけば良かったのにと今更ながら思う。それなら、あんなことも起きなかったのにと。主役不在の『ノックは無用』も、ノックが次の知事選に出るらしいと分かってから打ち切りが決定したわけだし。
 セクハラ騒動は、報道が出る前から、被害者に近い人が同級生に居たので諸々聞いていたが、その背景を鑑みても、自分の思うところはあったが、それも今更どうこう言っても仕方ない。それは兎も角、基本的に芸人と本人自身は分けて考えるのがスジで、本人の問題と、芸を=で繋いで、芸を安易に否定してしまうのは問題だという考えは変わらない。
 法律上に触れる問題への批判は良いとしても、芸人としての批判をリアルタイムで見ている範囲でするなら兎も角、そこから延長的に漫画トリオの批判まで自分と同年齢、あるいは更に下の奴までがやるのは全く理解できなかった。何せ、全盛期の漫画トリオのビデオ自体が殆どと言っていいほど残っていないので、せいぜい現在見れるのは、70年代以降のものか、あるいは『てなもんや三度笠』に出演した時のものや、東映京都の時代劇に数本出演した時のものなど、ごく限られている。ノックが参院選に落選した際に上岡と二人で組んで漫才をやっていた時のものはビデオを観た事がある(ちなみにこの時に三代目フックとして候補にあがり、実際リハーサルまでやったのが西川のりお。だみ声でバランスが合わない為、取り止めに)が、上記のものを全て観たとしても、漫画トリオの良し悪しを判断できるほど十分ネタが見れるわけではない。これは、比較するのは問題あるかもしれないが、現在見られるコント55号のビデオの大半が70年代以降のものであるのと同様である。
 見れないものを批判するとはどういう了見かと思った。資料館で当時の漫才台本でも引っ張り出してきたのか。
 まあ、知事になる前から、上岡などが書いてある通り、戦後間もない頃に神戸でヤクザまがいの愚連隊を率いていたことや、愛人など手広くやっていたヒトであることは、周知の事実であったので、手癖の悪さが現在では大騒動になってしまったということなのだろうが。
 上岡龍太郎の引退もあって、執行猶予があけても復帰がままらなかったようだが、生まれた時からテレビ画面に常時座ってるタコだったので、この10年の不在は寂しかった。と、言うような感慨は、今や、ノックが参院議員だったことすら知らない、芸人としての横山ノックもロクに知らない関西以外の者にとっては、全く理解不能だろうが、番組内容もレギュラー出演するヒトも何十年と変わらない関西の芸人や番組風土を理解しておかないと、その辺りは分からない。