角川映画をマタにかける男―森田芳光

 既にラインナップ発表段階から話題にしていたが、森田芳光の新作『椿三十郎』と『サウスバウンド』が夫々、角川春樹製作、角川映画なので、両者を行き来する森田の強かさを感じたが、『サウスバウンド』の公開が今年10月と聞いて、正に森田作品が新旧角川映画で連続公開するという運びになったのが面白い。
 一般的には、現在の角川春樹製作作品と、角川映画、往年の角川春樹製作の角川映画大映吸収後に旧大映作品が全て角川映画表記されている―ことの区別がついているとはとても思えない。現在の角川春樹製作作品でも角川映画でも配給はコロコロ東映、松竹、東宝と変わっていくので、その判別はよほど注意しているか、興味がないと難しいだろう。
 ともあれ、『間宮兄弟』で何度目かの復活を遂げた森田芳光だけに、量産体制に入っているのは嬉しく、新作が『椿三十郎』だけでは困ったものだが、『サウスバウンド』が控えているので、期待したい。