『CREEP』『from DARK』

【藝大映画週間】東京芸術大学大学院映像研究科修了制作展

 3日にわたって東京芸術大学大学院映像研究科修了制作の6本を観たが、企業からスポンサーを集めて制作費を捻出してるとか、有名俳優の起用が云々とか、諸々方々で話題であったが、完成した作品を観る限りでは、可能性を感じさせる作品から凡作まで当然ながら幅はあった。
 とは言え、商業作品と比べても(本来自分は商業作品も自主映画も、ハリウッド大作もピンク映画も何もかも、周辺状況など一切考慮せずに全く同じ視線でしか観ない主義なので―映画は映画でしかないのだから当然だ)水準以上の作品が1本か2本は出るかと思ったがそうはならず、商売映画(伊丹十三の造語)として興行できるだけの役者が出ている作品だってあるのだから、勿体無いなとは思った。
 池田千尋の『兎のダンス』しか、マシなのが無いんじゃないかと焦ったが、最終日に、“映画”を2本観れたので良かった。酒井耕の『CREEP』と、大門未希生の『from DARK』がそうで、個人的好みから言えば、『CREEP』『兎のダンス』『from DARK』というところか。
 勿論、この3本も大きな欠点を持って作品の完成度にも影響しているが、ともあれ、次回作を見てみたいと思う映画作家だった。ちなみに、大門未希生の新作は、明日よりユーロスペースで公開の『新訳 今昔物語』で観ることができる。


126)『CREEP』 (ユーロスペース) ☆☆★★

2007年 日本 カラー 52分
監督/酒井耕     脚本/酒井耕    出演/広瀬斗史輝 初音映莉子 斉藤陽一郎 渡辺真起子 佐野和宏


127)『from DARK』 (ユーロスペース) ☆★★★

2007年 日本 カラー ビスタ 61分
監督/大門未希生     脚本/大門未希生    出演/大下源一郎 千代谷美穂 ミョンジュ 中原和宏 鬼界浩巳