『ハリウッドランド』『蜂の巣の子供たち』『桃の花咲く下で』『シークレット上映作品:復元版』『シークレット上映作品』
167)『ハリウッドランド』【HOLLYWOODLAND】 (シャンテ・シネ) ☆☆☆
2006年 アメリカ MIRAMAX カラー ビスタ 126分
監督/アレン・コールター 脚本/ポール・バーンバウム 出演/エイドリアン・ブロディ ダイアン・レイン ベン・アフレック ボブ・ホスキンス ロイス・スミス
『スーパーマン・リターンズ』に続くシリーズ最新作というわけではないが、スクリーン上にスーパーマンが登場するのだから、スーパーマンが好きなら観ておくべき作品だし、『スーパーガール』にはスチール出演しかしていないことを考えても本作の方が遥かに出演シーンが多い。
ただし、本作の場合は、TVシリーズで演じたジョージ・リーブス版の再現であり、彼の謎の死をめぐる物語ということになる。
50年代ハリウッドを舞台にスーパーヒーローを演じた男の闇や、ビリー・ワイルダーやフレッド・ジンネマンが登場したりと面白くなりそうな作りではあるが、フィルムノワールとしては『L.A.コンフィデンシャル』や『ブラック・ダリア』には遠く及ばず、凡作の感が強い。
ジョージ・リーブスを直接描くのではなく、エイドリアン・ブロディ演じる私立探偵を通してジョージ・リーブスが何故死んだのかを『羅生門』的に様々なシチュエーションで死ぬ瞬間を見せていく作りなのは良いにしても、エイドリアン・ブロディの家庭不和だとか不甲斐ない性格、自身の子どもとのエピソードが巧くジョージ・リーブスとの間で機能しているとは思わず、ある種のパターンに嵌ったキャラクターでしかないので退屈させられた。それに、ジョージ・リーブスをめぐるエピソードの方がベン・アフレックの好演もあって、やたらに面白く、そちらが際立ちすぎているのも災いした。
何せ、ちょっとTV映画で人気が出た俳優ではなく、相手はスーパーマンなのだから、そこに妙な神話性が根付くのは仕方ないとは言え、やはり面白い。番組開始当初はスポンサーが付かずモノクロだったからと、スーパーマンの衣装にも色が付いていなかったとか、『地上より永遠に』に出演するもスーパーマンのイメージが強すぎてカットされるエピソードだとかも悪くなかった。
ただし、スーパーマンの衣装で本番前に酒に溺れて酔いつぶれているといったものは、既に映画版の本家というか、『スーパーマンⅢ 電子の要塞』でやっていることなので、それぐらいでは新味が無く、もっと強調してアクどく描いても良かったのではないか。
ジョージ・リーブスの盛衰をストレートに描いた方が、巧く機能していないフィルムノワールを内包するより良かったのではないかと思う。
清水宏を再見する
168)『蜂の巣の子供たち』 (アテネ・フランセ文化センター) ☆☆☆★★★
1948年 日本 蜂の巣映画部 モノクロ スタンダード 86分
監督/清水宏 脚本/清水宏 出演/島村修作 夏木雅子 御庄正一 伊本紀洋史 多島元
169)『桃の花咲く下で』 (アテネ・フランセ文化センター) ☆☆☆☆
1951年 日本 新東宝 モノクロ スタンダード 74分
監督/清水宏 脚本/清水宏 岸松雄 出演/笠置シヅ子 大山健一 日守新一 鳥羽陽之助 花井蘭子
講演「清水宏新発見」 講師/木全公彦
170)『シークレット上映作品:復元版』【唐招提寺にて お婆さんと子供たち:復元版】 (アテネ・フランセ文化センター)
1954年 日本 蜂の巣映画 モノクロ スタンダード 31分(復元版3分)
監督/清水宏
171)『シークレット上映作品』【奈良には古き仏たち】 (アテネ・フランセ文化センター) ☆☆☆
1953年 日本 蜂の巣映画 モノクロ スタンダード 37分
監督/清水宏