2007年上半期 日本映画・外国映画 極私的BEST5/WORST5
慣例覚書の上半期のベストとワーストを列記しておく。
日本映画
■BEST5 1 『叫』 2 『PARIS,TEXAS,守口』 3 『童貞。をプロデュース2〜ビューティフル・ドリーマー』 4 『俺の流刑地(略称・俺ルケ)』 5 『垂乳女 Tarachime』
■WORST5 1 『A Bao A Qu』 2 『エイリアンズ』 3 『海でのはなし。』 4 『THE 焼肉 MOVIE プルコギ』 5 『心』
外国映画
■BEST5 1 『ドリームガールズ』 2 『ブラックブック』 3 『恋人たちの失われた革命』 4 『マジシャンズ』 5 『パラダイス・ナウ』
■WORST5 1 『ダフト・パンク エレクトロマ』 2 『エイブル・エドワーズ』 3 『女帝 エンペラー』 4 『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』 5 『ボビー』
いざ一覧にしてみると、新作を全くと言って良いほど観ておらず、話題作や評価の高い作品の見逃しも多く、ベストもワーストもあったものではないが、自身の上半期の覚書として。
日本映画が好調だと言うのは嘘にしか思えないのは、私見では近年稀に見る不作ぶりと思えたからで、突出した秀作や傑作には出会わなかった。メジャーは安易な漫画・アニメからの実写化と、泣きを主眼に置いた作品ばかりなので観に行く気がせず、観てもウンザリすることが多く、では単館系で優れた作品が出てきているかと言うと、むしろ状況はそちらの方が酷いことになっていて、ビデオ撮影、プロジェクター上映の作品が増えたせいもあり、やたらと公開される作品は増えたが、どこの誰だかわからないような下手糞な監督が作った映画が、劇場で金を取って上映できるレヴェルに全く到達していないにも係わらず平然とした顔で上映され、また観客が怒るどころか、まあ、良いかと思っているのかどうか、良くても悪くてもどちらでも良いというような顔をして劇場を後にしているという悪循環に、結果的にゴミのような映画が大量排出されている。
具体的に言えば、ワーストに挙げている『A Bao A Qu』『エイリアンズ』『海でのはなし。』『THE 焼肉 MOVIE プルコギ』『心』や、入りきらなかったので外したが、『無花果の顔』『愛憎弁当』『パチKILLジャポン』『世界はときどき美しい』『from DARK』『[新訳]今昔物語』『秒速5センチメートル』『どろろ』等、数え上げていけば、あっという間にワースト候補の作品が25本に及び、それも『さくらん』とか水準以下な出来のものをかなり除けても25本挙げることができた。
では、優れた作品がなかったのかと言うと、質の高い佳作には何本か出会うことが出来た。
『叫』は、黒沢清の近作の中で突出した作品とは思わないが、観ていてここまで映画を感じさせてくれたり、鳥肌を立たせてくれる作品はないので、上位に据えるしかなかった。
2〜5は、まるで『沙羅双樹』の監督や現場でメイキングを撮っていた人たちの作品を並べているようで、セクト的なニオイがしたら嫌なのだが、実際2〜4に挙げている作品は、『第2回ガンダーラ映画祭』の枠内で上映された作品なのだが、結局メジャーもミニシアター系列の作品もつまらなくなった日本映画で、唯一マトモに娯楽性に満ちたプログラムピクチャーを自主的に作り出してしまった機構が『第2回ガンダーラ映画祭』しかなかったということではないか。それは単に他の質が下がったから目立ったということではなく、前回よりも明らかに各作品の質が上がっている。擬似撮影所的な監督たちの相互の意識し合う姿が、作品の質への影響を与えているのではないかと思われるが、自分は自主映画だから良いとか、ミニシアター系だから、メジャー系だから良いというような発想は嫌いなので、ガンダーラ映画祭に山下敦弘や古澤健、村上賢司、いまおかしんじや女池充といった、メジャーからミニシアター系からピンクに至るまでの監督が参加している幅の広さが好きだ。
この映画祭から生まれた『童貞。をプロデュース』は、8/25(土)〜9/7(金)池袋シネマ・ロサでレイトショー公開されるそうなので、1、2作目を合わせた形で観るとまた違った印象を持つであろうから、期待したい。
河瀬直美の『垂乳女 Tarachime』は、円熟のテクニックを駆使して、これ見よがしの嫌味な作品にしかならない筈なのにギリギリのところで反転させる高等技を繰り広げる河瀬直美の可能性を改めて感じさせる佳作だった。
外国映画は、新作を25本ほどしか観ていないのにベストもワーストも無いのだが、一応挙げておいた通り。
一覧
■日本映画新作 『海でのはなし。』★ 『幽閉者たち』☆☆☆★ 『暗いところで待ち合わせ』☆☆☆★★ 『シルバー假面 Die Silbermaske』 ☆☆☆ 『鉄コン筋クリート』☆☆☆ 『武士の一分』 ☆☆☆★★ 『気球クラブ、その後』 ☆☆☆★ 『無花果の顔』☆ 『刺青 堕ちた女郎蜘蛛』 ☆☆☆★★ 『聴かれた女』☆☆☆ 『パプリカ』 ☆☆☆★ 『幽閉者 テロリスト』☆☆☆ 『色情団地妻 ダブル失神』☆☆ 『ユメ十夜』 ☆☆★★ 『悪夢探偵』 ☆☆★★★ 『どろろ』 ☆☆★ 『蒼き狼 地果て海尽きるまで』☆☆☆★ 『映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い』☆☆☆ 『この作品のタイトルは『石仏』さんです』 ☆ 『PARIS,TEXAS,守口』 ☆☆☆★★ 『愛憎弁当』☆ 『誰もが知りたがってるくせにちょっと聞きにくいマルクスのすべてについて教えましょう』 ☆☆☆ 『パチKILLジャポン』☆ 『わが身を鴻毛の軽きに比すれども寝てばかり…』(Ver3.13)☆☆☆★ 『童貞。をプロデュース2〜ビューティフル・ドリーマー』 ☆☆☆★★ 『俺の流刑地(略称・俺ルケ)』☆☆☆★★ 『秒速5センチメートル』 ☆☆ 『会田誠のおたのしみ箱』☆☆★★ 『龍が如く 劇場版』 ☆☆★★ 『叫』☆☆☆★★ 『蟲師』 不完全鑑賞につき評点なし 『フラガール』 ☆☆☆ 『さくらん』☆☆★★★ 『悩殺若女将 色っぽい腰つき』☆☆☆★ 『昭和エロ浪漫 生娘の恥じらい』☆☆★★ 『裸の三姉妹 淫交』☆☆☆ 『ふしだら慕情 白肌を舐める舌』☆☆☆ 『不倫同窓会 しざかり熟女』☆☆★★ 『世界はときどき美しい』☆★★ 『性春金属バット』☆☆☆★ 『御巣鷹山』☆☆★ 『ゲゲゲの鬼太郎』 ☆☆★★ 『兎のダンス』☆☆ 『心』★★ 『THE 焼肉 MOVIE プルコギ』 ★★ 『赤い文化住宅の初子』 ☆☆☆★ 『あしたの私のつくり方』☆☆☆ 『エイリアンズ』 ★ 『A Bao A Qu』★ 『CREEP』☆☆★★ 『from DARK』☆★★★ 『犬神家の一族』不完全鑑賞につき評点なし 『星影のワルツ』 ☆☆★★★ 『奴隷』☆☆☆ 『[新訳]今昔物語』☆★ 『PARIS,TEXAS,守口』☆☆☆★★ 『童貞。をプロデュース2〜ビューティフル・ドリーマー』 ☆☆☆★★ 『俺の流刑地(略称・俺ルケ)』 ☆☆☆★★ 『大日本人』☆☆☆ 『女引越し屋 汗ばむ谷間』 ☆☆★★★ 『INAZUMA稲妻』 不完全鑑賞につき評点なし 『赤猫』 ☆☆☆ 『淫情 義母と三兄妹』 ☆☆★★ 『素晴らしき休日』 ☆☆★★ 『監督・ばんざい!』 ☆☆★★★ 『14歳』☆☆☆ 『垂乳女 Tarachime』 ☆☆☆★★ ■日本映画旧作 『鋪道の囁き』 ☆☆★★ 『ディア・ピョンヤン』 ☆☆☆★★★ 『オモニと少年』☆☆☆★ 『海を渡る友情』☆☆☆★ 『ポルノ時代劇 忘八武士道』☆☆☆★★ 『ラブソング』☆☆☆ 『俺は園子温だ!』 ☆☆☆★ 『愛』☆☆☆ 『男の花道』☆☆☆★ 『決戦! 女子寮対男子寮』 ☆☆★★ 『目隠しプレイ 人妻性態調査』☆ 『ラブ&ポップ』 ☆☆☆★★★ 『その壁を砕け』 ☆☆☆☆ 『バウンス ko GALS』 ☆☆☆★★ 『雷魚』 ☆☆☆★★★ 『ワラッテイイトモ、』 ☆☆☆★★★ 『女教師 私生活』 ☆☆☆★★ 『安藤昇のわが逃亡とSEXの記録』☆☆☆★ 『現認報告書-羽田闘争の記録』☆☆☆★ 『日本解放戦線・三里塚の夏』☆☆☆★★ 『日本解放戦線 三里塚』 ☆☆☆★★ 『狂った一頁』 ☆☆☆★★ 『愛欲の標的』☆☆☆ 『丑三つの村』☆☆☆★ 『絶倫絶女』☆☆☆★★ 『愛の報い』☆☆☆ 『発禁本「美人乱舞」より 責める!』☆☆☆★ 『あほう』☆☆☆ 『凍りついた炎』☆☆☆★★ 『西銀座駅前』☆☆☆★★ 『人妻集団暴行致死事件』☆☆☆☆ 『(秘)色情めす市場』☆☆☆☆★★ 『緋牡丹博徒 一宿一飯』☆☆☆★★ 『徳川セックス禁止令 色情大名』☆☆☆★★★ 『ザザンボ』☆☆☆★ 『南の島にダイオウイカを釣りに行く』☆☆☆★ 『チーズとうじ虫』 ☆☆☆ 『吼えろ鉄拳』☆☆☆★★ 『多羅尾伴内』 ☆☆☆ 『女番長ブルース 牝蜂の逆襲』 ☆☆☆★ 『ドカベン』☆☆☆★★ 『エロ将軍と二十一人の愛妾』☆☆☆★★ 『ぼくのいる街』☆☆☆★★ 『TOMORROW 明日』☆☆☆★★ 『暴走パニック 大激突』☆☆☆★★★ 『腹腹時計』不完全鑑賞につき評点なし 『罵詈雑言』不完全鑑賞につき評点なし 『ジーンズブルース 明日なき無頼派』☆☆☆★★ 『資金源強奪』 ☆☆☆☆ 『オリオンの殺意より 情事の方程式』 ☆☆☆★ 『宇能鴻一郎の濡れて打つ』☆☆☆★ 『椅子を探す男』 ☆☆☆ 『わたしのSEX白書 絶頂度』☆☆☆★★★ 『怯える』 ☆☆☆★ 『稀人』 ☆☆☆ 『(秘)色情めす市場』☆☆☆☆★★ 『暴行切り裂きジャック』☆☆☆☆ 『博徒七人』☆☆☆★ 『蜂の巣の子供たち』 ☆☆☆★★★ 『桃の花咲く下で』 ☆☆☆☆ 『唐招提寺にて お婆さんと子供たち:復元版』 『奈良には古き仏たち』 ☆☆☆ 『ルック・オブ・ラブ』☆☆☆★★ ■外国映画新作 『キムチを売る女』☆☆☆★★ 『007 カジノ・ロワイヤル』☆☆☆★ 『エレクション』☆☆★★ 『恋人たちの失われた革命』☆☆☆★★★ 『硫黄島からの手紙』☆☆☆★★ 『ワサップ!』☆☆☆ 『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』☆☆★★ 『DOA デッド・オア・アライブ』☆☆☆ 『ドリームガールズ』☆☆☆★★★ 『マリー・アントワネット』☆☆★★★ 『エイブル・エドワーズ』☆★★ 『岸部のふたり』☆☆☆★ 『春のめざめ』☆☆☆★ 『ボビー』☆☆★★★ 『ブラックブック』☆☆☆★★★ 『ハンニバル・ライジング』☆☆☆★ 『バベル』☆☆☆ 『リトル・ミス・サンシャイン』☆☆☆★ 『イカとクジラ』☆☆☆★★ 『パラダイス・ナウ』☆☆☆★★ 『ダフト・パンク エレクトロマ』☆★ 『フランドル』☆☆☆ 『マジシャンズ』 ☆☆☆★★ 『クィーン』 ☆☆☆★ 『ハリウッドランド』☆☆☆ 『女帝 エンペラー』☆☆ 『インビジブル・ウェーブ』☆☆☆ ■外国映画旧作 『[覆面上映作品]』 『憂鬱な楽園』☆☆☆ 『ガルシアの首』 ☆☆☆☆★★ 『ザ・シャウト/さまよえる幻響』 ☆☆☆★ 『山の王者 (エターナル・ラブ)』☆☆☆★★★ 『鱒』☆☆☆★★★ 『ベルサイユのばら』☆☆★★★ 『1900年』☆☆☆☆★ 『唇からナイフ』☆☆☆ 『悪魔の沼』☆☆☆★★★ 『悪魔のいけにえ』☆☆☆☆ 『陽気な巴里っ子』☆☆☆☆ 『スージーの真心』☆☆☆★★★ 『パッション』 ☆☆☆★★ 『花嫁人形』 不完全鑑賞につき評点なし 『白黒姉妹』 ☆☆☆★★ 『下女』 不完全鑑賞につき評点なし 『死んでもいい経験』 ☆☆☆