『森鬼』『短距離TOBI-UO』

R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.3 「竹洞組」の冴えたやり方


ようやく『R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.3 「竹洞組」の冴えたやり方』に参加するが、と言っても後1回行けば終わりなので寂しい。
 とんでもなく盛況というのは本当だった。Vol.1から参加しているし、それ以前のポレポレでピンクをかける契機となった『花井さち子の華麗な生涯』や『ビタースィート』とそのオールナイトからココで観ているので、客層や雰囲気というのは観客の一人としてある程度は分かっているつもりだ。それがアカラサマに違う。東中野の駅に着いた時からポレポレ東中野ってどっち?というような会話が聞こえてくるわ、コンビニに入れば店員にポレポレ東中野ってどこにありますかと尋ねている一団もいるわで、何でこんなことになっているのか。
 自分は30分前にチケットを取ったが、既に30番台だった。月曜のレイトショーで終わるのが23時半近くになるというのに、何と満席直前の9割方埋まる盛況ぶりで、驚く。
 まあ、1日来ただけで客層の判断などできはしないが、帰りがけに知り合いとも話したが、客の雰囲気が違うねと。シネフィル系は見当たらず、始めてピンク映画を観るといった雰囲気の女性たちとか、物見遊山的な雰囲気のあるヒトもケッコー多かった気がする。比喩が適当ではないが、『たまもの』や『おじさん天国』って面白いでしょ?と言っても首を傾げそうなヒトと言うか。何せ、ピンク映画を観に来る女性を見かけるのは珍しくもないが、カラミになる度に俯いたり、上映中に性愛シーンになると仲間内でキャッキャ言っている女の子を見たのは珍しい。そこらへんに抵抗あったら今までなら観に来ないのではないか。それが来ているというのは、作家主義的ニオイとは無縁のプログラムピクチャーとしての敷居の低さがあったからだろうか。悪しき作家主義的な迷走や、カラミが大半を占める作品もピンク映画にはあるわけで、そういった中では竹洞組の作品は、カラミもしっかり見せつつハナシも描いて、ベタ過ぎると思うことも多いのだが、わかりやすい。これって、やっぱりスタンダードなピンク映画だということを、スタンダードなピンク映画を殆ど観ていなかった自分にとっては、教えられた上映だった。
 実は、正直に言ってしまうと、自分は今回の特集は厳しいのではないかと思っていた。こういった上映は女性観客の動員がその成否を握るであろうと思うのだが、知り合いのピンク方面をよく観る女性何人かに聞いたところ、答えは全く同じで、ピンク大賞で観た時にそれほどピンと来なかったけど、でも普段観れない種類の映画(新東宝・国映方面は上映の機会が比較的多い)だから通いたいと言う。女性でも観やすい上映であれば逃さず通うヒトたちが、“普段観れない種類の映画だから”という条件付きで言っているのが際どいではないか。相当好きなヒトが、観たいという積極性ではなく、観れるんだから観ておくか的な腰の引けた状態では、ちょっと好き程度なヒトは足を運ばないのでないか。それが全く自分の誤った認識であったことは、初日からの大盛況ぶりが物語っている。前述したような客層の広がりをも見せているのは全く予想もしていなかったことで、自身の不明を恥じた。
 7/13迄上映中。
 感想を書くのが追いつかないから先に書いておくと、現在上映中の『思い出がいっぱい -EIGHTEEN BLUES-』は素晴らしいので必見である。ちょっと竹洞作品はベタ過ぎると思っている自分のようなヒトも、青春ノスタルジイならその辺りが逆に効果的に作用し、ロケになると魅力を最大限発するといった竹洞作品の良い部分が凝縮されている。松浦祐也も別人の如き演技を見せ、吉沢明歩の出る竹洞作品にハズレなしと言いたくなる。
 

180)『森鬼』[成人映画館公開題:乱姦調教 牝犬たちの肉宴] (ポレポレ東中野) ☆☆★★

2006年 日本  カラー ビスタ 分
監督/竹洞哲也    脚本/小松公典    出演/吉岡睦雄 青山えりな 朝日かりん 倖田李梨 松浦祐也


181)『短距離TOBI-UO』[成人映画館公開題:ホテトル嬢 癒しの手ほどき] (ポレポレ東中野) ☆☆

2006年 日本  カラー ビスタ 分
監督/竹洞哲也    脚本/小松公典    出演/青山えりな 今野由愛 倖田李梨 萌みゆう サーモン鮭山 吉岡睦雄