『愛欲の罠』


 何故か、フト思い立って購入した『愛欲の罠』のポスターが届く。二千円。

 10代後半じゃあるまいし、三十まであと一年しか猶予がないギリギリのオッサンが買うようなものではない気がするが、毎週上野まで大和屋を観に行くのが習慣づいてきたので、本来は初見の『愛欲の罠』と、再見で未ソフト化の『毛の生えた拳銃』を観てしまえば、『荒野のダッチワイフ』と『裏切りの季節』はソフト化されているので観に行く必要もないのだが、何せ500円であの大きなスクリーンで観れるという魅力の前では、シネスコをスタンダードにトリミングされた『荒野のダッチワイフ』のDVDなどは別物としか言い様がないし、ノートリミングとは言え、傑作『裏切りの季節』はやはり大きなスクリーンで観ておきたい。更に、『愛欲の罠』もやはりもう一度観たいという思いもあったので、浦沢義雄×大和屋暁対談の日に再見することにし、連れ立って行くのは、シネフィル方面やポルノ方面の知り合いは、もう見終わって言うことが予想がつき過ぎるので、浦沢義雄大和屋暁ならばと、最近はアニメ脚本家への研究も熱心なアニメーターの友人と行く予定。『ルパン三世』を挙げるまでもなく、大和屋竺浦沢義雄大和屋暁と並んでいることだし、アニメ側からの視点で『愛欲の罠』を観ることも必要な筈で、ロフトプラスワンでも浦沢義雄の出るイベントには何故か声優ファンが大挙して押し寄せて来たと言うし、一角座にもそういう連中が来て、絵沢萌子に萌えて帰っていくのではないかと予想するが如何に。ちなみに愛犬家のそのアニメーターの友人は、浦沢義雄だからと言う理由だけで『ゲルマニウムの夜』を一角座まで付き合わせたのだが、開巻の犬を蹴る描写でひどく不愉快な思いをしていたようだ。今度も誘うと直ぐに快諾してくれたが、「あの劇場は浦沢義雄関係しかやらないのか」とモットもな疑問を投げかけられた。
 
 で、そうこうしている間に買ってしまった『愛欲の罠』のポスターが届いたと言って無邪気に喜ぶワケでもなく、貼る場所もなければフレームに入れて置いておくにも、既に市川崑金田一初期五本と芳太郎の『八つ墓村』、『本陣殺人事件』、『ポルノの女王 ニッポンSEX旅行』『丑三つの村』などがあるので狭い部屋にそれ以上置く場所もなく、他のと共に丸めて奥にしまっておこうかと思うが、玄関にでも飾っておくか。もう少し女の子が安心して来れるような部屋にしたらどうかと、先日堅気の友人に久々に言われたが、毎回基本的に抵抗のない、むしろ喜ぶぐらいの子しか来ないから別に関係ないと答えていたのが、三十を前にして気が弱くなったのか、私生活でのゴタゴタや、関係を修復する為の小旅行の筈の鎌倉で飛び蹴りされたこともあって、そろそろそういう意見にも耳を傾けようと思いながら、結局『愛欲の罠』のポスターを広げてニヤニヤしている。