『首相官邸の女』

)『首相官邸の女』(若松孝二) 

首相官邸の女 [DVD]
 95年の『エンドレス・ワルツ』を最後に、98年から始まる60年代の若松作品への再評価とは対照的に、リアルタイムでの若松作品は随分と地味と言うか、言ってしまえばVシネマのヴァリエーションに近い作品が多くなる。『標的 羊たちの悲しみ』『明日なき街角』『首相官邸の女』といった96年から2001年にかけての作品は正にそうで、間に『飛ぶは天国、もぐるが地獄』という往年の若松プロ的なローバジェットの作品を撮っているとは言え、80年代、90年代前半の活動に比べれば随分と仕事の幅が狭まっているように思えた。90年代前半の若松作品を支えた奥山和由の失脚により、シネマジャパネスクで準備していた田中陽造脚本による『痴人の愛』が頓挫したことも、そういった寂しさに拍車をかけているように思う。若松孝二の復活は、2000年の足立正生の帰還を経て、2004年の『完全なる飼育 赤い殺意』『17歳の風景 少年は何を見たのか』の連続撮影まで待たなければならない。勢いを取り戻したは若松孝二は、嘗て〈予感の映画〉として撮った『天使の恍惚』から35年後に、3時間を越える『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』を撮り、現在公開を待つばかりとなっている。
 そんな若松孝二の『首相官邸の女』がちょっと高いのでアレだったが500円で購入。