『セキ☆ララ』

120)『セキ☆ララ』(松江哲明) 

セキ☆ララ [DVD]
 恐るべき価格破壊というべき今回の特集上映期間中、アップリンクの受付で購入すると2800円で買えてしまえる上に、毎回かどうかは知らないが、今日はオマケに『SPOTTED701 VOL.1』まで貰えた。安価で買えた喜びにひたりながら外に出ると、本作の監督とDVDのプロデューサーがいるので、買いましたで〜とひけらかすと、感謝してもらえる生特典もついてくるので、ピンク映画好き方面にはケッコー多い松江・直井ファンの方は是非この機会に。
というわけで、これで我が家には本作のオリジナル版である『Identity』と『セキ☆ララ』のDVDが並んだが、正直言って、本編だけのハナシなら『Identity』を持っているので改題短縮版である『セキ☆ララ』は買わなかったと思う。しかし、オーディオコメンタリーと特典映像の短編『セキ☆ララ日和』に惹かれて買わないわけにはいかなかった。でも、それがDVDの楽しさなので、今でもへヴィーローテーションとなっている『由美香』のコメンタリー同様、観るのを楽しみにしている。
 先にリーフレットだけ読んだが、相変わらず濃密且つ充実している。フィルモグラフィーも『裸々裸三昧』以降の作品も含めて簡略にまとめてあるし、何より嬉しいのは、『Identity』〜『セキ☆ララ』という流れを、詳細に多角的に記してある点で、映画の改題に不安を積もらせることが多いのは、オリジナルタイトルを敢えてかどうか知らないが無視されることがあるからで、後世から観ようとする者が混乱したり、誤認する可能性がある。その点『R18 LOVE CINEMA SHOWCASE』などでもそうだが、SPOTTED PRODUCTIONS関連の上映は、成人館公開題などもしっかり記入してあるので資料性としても申し分ない。
 自分は、『Identity』と『セキ☆ララ』という少しだけ異なるが同じ作品であるこの二作双方に愛着があるので、両方のタイトルを覚えて欲しいと思う。だから、と言うとアレだが、フライヤーと『SPOTTED701 VOL.1』に『セキ☆ララ』について書かせていただいた際、<アイデンティティ>又は『Identity』という言葉を無理矢理にでも文中に入れておいたのは、『セキ☆ララ』の成立過程を知っておいて欲しいという思いからだった。
 2004年の8月3日に、松江哲明<「アイデンティティ」という在日三世のAV女優と、中国の留学生でAV出演している女性を描いたドキュメンタリーAV>を撮ったらしいと書いて以来3年、ハマジムイベントで一部映像を観て興奮し、DVDを購入し、アテネ・フランセでの『アイデンティティ・特別編』上映へ行き、シネマアートン下北沢での『セキ☆ララ』上映を観に行き、この作品について他の媒体で書かせてもらって、再びDVDとなって目の前にあるという流れは、とても奇妙にも感じるが、ようはこの作品が面白いAVで、面白いドキュメンタリー映画だったから、ということに尽きる。又、2、3度観たぐらいでは飽きさせない面白さに満ちていたから、上映の度に足を運んだのだろう。『Identity』の隣に『セキ☆ララ』のDVDが並んだことで、一観客としては、ここで一段落の感が、と思っていたら、DVDにはオーディオコメンタリーから撮り卸の新作短編に未公開シーンまでついてきて、『Identity』または『セキ☆ララ』との付き合いは、まだまだ続きそうである。