『伊丹十三DVDコレクション・ガンバルみんなBOX』『民族の祭典』
『伊丹十三DVDコレクション・ガンバルみんなBOX 』(伊丹十三)
183)『お葬式』
184)『タンポポ』
185)『あげまん』
186)『大病人』
187)『静かな生活』
188)『伊丹十三のタンポポ撮影日記』
189)『「あげまん」可愛い女の演出術』
190)『「大病人」の大現場』
191)『民族の祭典 』(レニ・リーフェンシュタール )
伊丹十三DVDコレクション ガンバルみんなBOX (初回限定生産)
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伊丹十三DVDコレクション タンポポ コレクターズセット (初回限定生産)
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伊丹十三DVDコレクション 「あげまん」 コレクターズセット (初回限定生産)
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伊丹十三DVDコレクション 大病人 コレクターズセット (初回限定生産)
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それが今日見つけた『ガンバルみんなBOX』は、新品で50%OFF、もう一枚買えば70%OFFということで、実に9千円で買えてしまった。収録作は上記にあるように『お葬式』『タンポポ』『あげまん』『大病人』『静かな生活』『伊丹十三のタンポポ撮影日記』『「あげまん」可愛い女の演出術』『「大病人」の大現場』の8本だけに、1本アタマ1100円代である。
『お葬式』は、『マルサの女』に続いて観た伊丹映画で、同じくテレビ放送で初めて観た(最近はとんと伊丹映画が地上波でテレビ放送される機会が減ったが、嘗てはゴールデン洋画劇場で独占放送に近い形で放送されていた。尚、今年の年末にはNHK・BS2で女シリーズが放送される)。この2本で決定的に伊丹十三にハマった。後から思えば文句なしの傑作はこの2本だけだったのだが、最初の印象が余りに良すぎて、後期の作品へ不満は持ちつつも最後まで付き合うこととなった。
『タンポポ』は失敗作だが、魅力的失敗作だという思いがあったが、今、再見するとどうだろうか。池内万作の唯一の伊丹映画出演作だが、もし、現在伊丹十三が生きていれば、現在の池内万作を起用しただろうか。
『あげまん』は、『タンポポ』(撮影:田村正毅)と並び、前田米造が撮影をやっていない(『天と地と』の撮影の為不参加。『タンポポ』もロケハンまで前田は参加していた由)作品として記憶されるが、田村が伊丹とは巧く行かなかったのと対照的に、こちらは巧く行ったようだ。日活出身の山崎善弘が代打を担当している。
伊丹映画が日活・にっかつ系のメインスタッフによって支えられていたことは、日活撮影所を主に使用していたことだけでなく、伊丹映画お馴染みのセックスシーンの濃密さへの影響を考え併せても興味深い。『マルサの女』で行為終了後に女の股間にティッシュを挟んで歩くのを捉えたショットをテレビ放送ではじめて観た11歳の私は、あまりのエロさにカーっとなった。後年、曽根中生の『わたしのSEX白書 絶頂度』を観た際に、まったく同じ股間にティッシュを挟むショットを観た時にネタ元はこれだったのかと思ったが。
『あげまん』にハナシを戻せば、『マルサの女2』以降の路線を決定づけた作品で、初見時は、これまで何本も作られた芸者モノでしかなく、やはり目新しい題材でなければ伊丹映画は面白くないんだと思ったが、それは再見しても変わらないのではないだろうか。マルサという言葉が流行してしまった為に、次なるコトバは、という戦略しか感じない。
『大病人』は全く対応に困る作品で、『あげまん』初見時の印象に従って本作を語れば、病院ネタは珍しくもなんともないということになってしまうが、臨死体験シーンなど白組の凝ったVFXなど『大霊界』シリーズを超える出来だが、『ミンボーの女』以降ビスタサイズへの移行でアップがより強調されるようになり、全編に渡って三国連太郎と津川雅彦のドアップが続くという劇場で観ていると心底疲れる作品だった。
続く『静かな生活』は、伊丹映画最大の変転を迎えた作品で、初の原作もの(大江健三郎)であり、『マルサの女』以来となる山崎努の出演、『大病人』より更に宮本信子は脇回ったことからも、これまでの伊丹映画とは全く異なる方向を目指したことが伺えるだけに、製作時は、伊丹映画の再評価が起こるのではないかと期待したが、ローバジェットで興行規模も小さくして、伊丹が『ミンボーの女』公開時に今後は芸術映画も息抜きに作ってみたいと口にしていたのだから、そういった形で作られれば、或いは後期伊丹映画唯一の秀作になったかもしれないがそうはならず、回想シーンの作りこみなど瞠目させる個所もあっただけに、いつもの伊丹映画のパターンに陥り、失敗していた。そして記録的不入りとなり、伊丹は次回作『スーパーの女』で、『ミンボーの女』以降の低迷と模索から脱し、再び宮本信子を主演に据えたマーケティングと観客に媚に媚びた映画を作り、それがまた伊丹映画最大のヒットとなったことが伊丹の保守化と伊丹映画の動脈硬化を進展させた。そして、正にぞっとするような見せ場のみで形成しようとした映画の残骸があるという極点に達してしまった『マルタイの女』で伊丹映画は終わりを告げる。
といったことから、このBOXを買っても『お葬式』と『タンポポ』以外は観てもそう楽しいわけではない筈だが、それでも惹かれてしまうのが伊丹映画ではあるが、作品を一連で観ていくと、一人の映画作家の幸福と不幸を感じる。
あ、そー言えば、実は『お葬式』にはメイキングが存在するらしい。観たい。尚、前述の年末のBS2での伊丹映画特集について、12月24日(月)22:00〜22:55に『よみがえる伊丹十三〜没後10年、いま語られるヒットの秘密〜』という番組が放送されるので必見である。
伊丹十三記念館オープンを記念して、四国で先行放送されていた番組のようだ。http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/bansin/200707/c_shikok.htm
191)は、伊丹BOX購入時にもう一本買えば50%OFFから70%OFFになるというので、籠を一瞥して5秒で掴み取ったDVD。まあ、色々使える作品なので。千円。