2008年1月
1/1(火)
新年といえども、今年は三十路に突入することがどうやら決定的となり、諸々回避策を探るも不可のようなので憂欝である。
今年初めてのDVDは、田尻裕司の『姉妹OL 抱きしめたい』(☆☆☆★★)。劇中で何度も流れる「カノン」と共に心地よい涙を流す。
続いて特典映像の田尻の自主映画8mm『ガード下の匂い』。こちらは参考作というこころ。そのまま音声解説の田尻裕司と西田直子の喋りに聞き入る。
そういえば、田尻裕司の名を世間に知らしめた『OLの愛汁 ラブジュース』は、劇場で観ると椎名林檎の『ここでキスして』が使用されているのだが、DVDではそれは聞けないので、そのうちフィルムで観なければと思いつつ、未だ果たしていない。
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1/2(水)
大阪へ。天王寺で待ち合わせをしていたが、梅田に着いた段階で遅れそうなので、環状線ではなく御堂筋線で行くことにするも、梅田の地下街から御堂筋線改札に入ろうとするとSuicaが使えないのが分かり、切符を買うことに。梅田→天王寺を地下鉄で行くのは何年ぶりかと思いつつ幾らだったかと値段を見ると、270円。そんなにしたっけかと東京での生活が5年に及んだせいか一瞬呆気に取られていると、案内役のような女性が「分かりますか」と声をかけてきたので、逃げるように「分かります」と言ってその場を去る。大阪に5年も住んでいたのに切符の買い方を教わるなんてのは恥以外の何物でもない。
天王寺の歩道橋上で友人と合流。天王寺に来るのは4年ぶりか。天王寺公園を歩いて抜けて通天閣まで。目的の撮影を友人に頼んでいたからだが、学生の頃からの10年来の付き合いなので、あっという間に撮影は終わる。一応飛田まで足を運び、コソコソとあと数カット抑えて終了。
日本橋に出て、茶しばいて友人と別れて難波をぶらついてから、再び梅田へ。別の友人と合流して兎我野町の「お好み焼き ひろ」に案内される。結構美味かった。焼き上がるまでに友人の主催する同人誌に書いた文面のゲラチェックを慌ただしく行う。食後、茶を飲むのに、少し歩くがPLANETの下のカフェ、「太陽の塔」に行こうとするも、曲がる角を一つ間違え、とはいえ直ぐに修正できると思っていたら、中崎町の細い路地に迷い込み、一向にPLANETに着かない。やっと見つけるも、もう閉店時間を過ぎていたという奇麗なオチがつく。結局ホワイティ梅田のカフェへ。ただ注文を自販機でするせいか、どうも間違って押したようで、ただのミルクを持ってこられて閉口。今さらキャンセルもできまいと辛抱して飲む。丸ビル、茶屋町NUのタワレコを回って目当てのモノを探すが発見できず帰宅。
そう言えば、珍しく何も買わなかった。日本橋では「道楽」のDVD品揃えが普遍化してめぼしいのが無かったせいもある。今年は、これまで全て買っていた映画のパンフレットも、余りにもくだらないものや買ってもロクに読まないものも多く、そんなものに年間15万円ほど使うのは無駄と判断し、良い作品、良いパンフの時だけ買うことにする。これは、3歳の時以来変えてこなかっただけに一大決断である。三十を迎える年でなければ決断できなかったのではないかと自分を称えたるも、周りからは、どうせ決断するなら結婚すべきではないかと至極真っ当なことを言われる。
DVDで溝口健二の『愛怨峡』(☆☆☆★★★)を観る。傑作。女の毛細血管が如何に幾つもあって、それを溝口は丹念に描くことに長けているかを確信し、改めて感嘆する。
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1/3(木)
従兄弟と食事へ。つきあって、幹線道路沿いに幾つもある「古本市場」を車で次々とハシゴしていると、『童貞。をプロデュース』を地で行く感あり。
そのせいで今年は無駄な買い物はせずに溜りに溜ったDVDを観ていくことに腐心しようとする元旦の計、三日目にして終えて、結局DVD『ブロークン・フラワーズ』を二千円で、『松ヶ根乱射事件』を2900円で購入。
『ブロークン・フラワーズ』は、公開時にベストワンと惚れ込んだ。
『松ヶ根乱射事件』は、再見を重ねるほど面白くなる。噂の映像特典『松ヶ根乱射事件パート2』を観るのが楽しみだ。
DVDで、ハワード・ホークス『赤ちゃん教育』(☆☆☆☆)を観る。ひたすら抱腹絶倒。キャサリン・ヘップバーンはどう見ても精神異常者。
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1/4(金)
雑誌『シナリオ 2008.2』を購入。掲載作は、『茶々 天涯の貴妃』(高田宏治)、『子猫の涙』(森岡利行)、『風の外側』(奥田瑛二)。
DVDで、女池充の『まるで再出発(ぐしょぬれ女美容師 すけべな下半身)』(☆☆☆★★)を観る。ルビッチ、ワイルダーを思わせる艶笑劇になっていて、ひたすら楽しい。ピンクだから、ベースはその路線でもカラミがあると過剰さを増して元来やりたかったことが何だか分からなくなるということもあるが、そうはなっておらず、むしろラストシーンなどはどちらに転ぶか際どい描写だが、成功している。
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1/5(土)
再び大阪。梅田、南港、天王寺、難波と、次々と友人と会っては喋って別れてを繰り返しながら駆けずり回る。
DVD『新宿乱れ街 いくまで待って』を購入。3200円也。荒井晴彦のデビュー作。ポスターも持っているが、こよなく愛する秀作。遂に初ソフト化である。
阪急古書の町で、古本『ナギサ・オオシマ』900円と、『明治・大正・昭和 暗殺秘録』1000円を購入。
『ナギサ・オオシマ』は、ルイ・ダンヴェ-ルという人が書いたものだが、あまりにも日本に対して誤解も多いので、大島自身が注釈を加えているのが、らしくて笑うが、90年代前半に出た本なので図書館やらで、ざっと目を通してはいたが、そんな本だからして買うのは馬鹿らしいと思っていたが、900円だし、大島の筆が入っていることだし、日本の大島論では飽き足らないので買っておく。
『明治・大正・昭和 暗殺秘録』は鈴木正の書。タイトルからも分かる通り、中島貞夫の『日本暗殺秘録』の原作とされているもの。但し、笠原和夫はその存在を知らないと言っていたが。1968年6月20日に発行されているので、『日本暗殺秘録』が翌年10月15日に封切られたことを考えると辻褄は合う。内容は、映画の方ともある程度通じているので、笠原のオリジナルということもないのか。笠原の『昭和の劇』は無茶苦茶面白いが事実誤認が多いので名前を出された人で怒っている人も居るので注意が必要。そこらはマキノの本と同じく過剰なサービス精神の結果か。
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1/6(日)
東京へ戻る。そのまま茗荷谷駅へ向かい、アカデミー茗台 レクリエーションホールBというホールでの「ソウル・チュンムロ国際映画祭凱旋公演」なる上映会へ。
斎藤寅次郎『モダン怪談100,000,000円[松竹グラフ版]』(☆☆☆★★)、製作年度監督不明の『霧隠才蔵[パテベビー版]』、伊藤大輔の『長恨』(☆☆☆☆)荻野明『独身寮の休日』、牛原虚彦の『海浜の女王[松竹グラフ版]』(☆☆☆★★)、伊藤大輔の『斬人斬馬剣』(☆☆☆☆)という順での上映となった。ピアノ伴奏は柳下美恵さん、弁士は坂本頼光さん。
涎の出そうな御馳走揃いだが、いずれもこれまで観る機会を逃していたので、いくらパソコンからの出力画面をプロジェクターで投影しての上映とは言え、一気にこれらの作品が観れるのだから贅沢は言っていられない。実際、夢中になって脇目もふらず観ていた。『モダン怪談100,000,000円』や『海浜の女王』の楽しさに幸福な気分になり、伊藤大輔の『長恨』と『斬人斬馬剣』は圧倒された。胸が熱くなり、興奮し、涙が出そうになった。夫々、11分と26分しかない断片に過ぎないが、『デス・プルーフ』のゾーイ・ベルが鉄パイプを持ってハコ乗りしてからを観てるかのよう。活劇とか映画とか、アクションとか、それらの完璧な形がここにあった。完全版で観たい。
柳下さんのピアノ演奏もこれで観るのはもう何度だろうかと思うが、相変わらず快調で、本篇以外でも予告編上映の際に音が出ないとなるや、さっとその場で画に合わせて弾く様なども観ていて心地良い。
弁士の坂本頼光さんという方は初めて聞いたが、澤登翠女史が後ろに控えるなかで『長恨』や『斬人斬馬剣』をやるのは気が重いと言っていたが、善戦していた。年齢が自分と同じとのことなので、一気に贔屓筋となる。
終了後、渋谷へ移動してル・シネマでサム・ガルバルスキの『やわらかい手』〔IRINA PALM〕(☆☆☆★)を観る。
ようは手コキババアの話だが、ル・シネマにかかる映画だから、当然オバサマが「まぁー」と言いながら観るような上品さでコーティングされているだろうと予想していたが、ほぼ当たりだと言って良いが、演出の実直さには好感よりも、後一歩も二歩も踏み込んで欲しいと思ってしまう。マリアンヌ・フェイスフルの好演が光るだけに、口当たり良く流れ過ぎの感あり。
HMVでDVD『黒い雨』『カポーティ』『チャーリーとチョコレート工場/コープスブライド』購入。
『黒い雨』は、『人間蒸発』共々廉価版発売されたもので、特に本作は伝説的に聞いていた幻のカラーシーンが特典で収録されている。田中好子が乞食のような格好でお遍路をするという20分に及ぶシーンであり、原作にはない映画オリジナルのシーンだ。車、衣装含めて手間暇かけて昭和40年代を再現して撮影したにも係わらず、そのシーンを丸々捨てて原作に沿ったラストシーンを撮り直したというのは、決して製作費集めに順調ではなかった本作の製作経過を思うと、その決断やスタッフ、キャストの心境を考えるとぞっとするようなものがあるが、ともあれ、それを観ることが出来るのは嬉しい。公開時製作されたメイキングも収録されている。2500円。
『カポーティ』は劇場で見逃したと言っている間にもう廉価版が出たので購入。1980円。
『チャーリーとチョコレート工場/コープスブライド』は2作をパックにして2000円という破格のDVD。両方買う予定だったので良かった。『コープスブライド』の方が好みではあるが、『チャーリーとチョコレート工場』も再見したい作品ではある。
青山真治『われ映画を発見せり』読了。ハスミ臭が鼻につき過ぎる箇所もあるが、それでも読み応えはあり、これで作品がどうにもならなかったらアレだが、『サッド・ヴァケイション』のような傑作を目にすると、理論と実践を思う。
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1/7(月)
イメージフォーラムで、大島新の『シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録』(☆☆☆★)を観る。
知らなかったが、上映前に大島新と毎日放送『情熱大陸』プロデューサーとのトークショーがあるとのことで、図らずも大島新の姿を眺めることとなったが、やはり大島渚に似ている。親子二代に渡って唐十郎を被写体に選んだというのが興味深い(大島渚は『新宿泥棒日記』で唐と組んでいる。あまり知られていないが、80年代に唐の原作『佐川君からの手紙』を寺山修司の脚本で大島が映画化する企画があった)が、虚実ないまぜに68年新宿を丸々映画に取り込んでしまった『新宿泥棒日記』と対抗する意識はご本人にはなさそうだ。
作品に関しては、実にストレートに唐を描いていて、あまりにもクセの強い人だけに切り口はいくらでもあるだろうから、物足りない感もあるが、正面から唐にぶつかっていこうとする気概は伝わる。ただし、真正面からぶつかると敵わないからと用意した対抗策が浮いてしまって全く面白くもないのが残念。
そう言えば、観ていて、唐組の劇団員に大学で同じ学科だった同期生が居たので驚く。学生の頃から劇団での活動をしていたが、今は唐組に居るのかと。前後の学年の先輩後輩は続々と世間に出て行っているが、不発と言われた我が学年は総倒れに近い状態だけに、スクリーンに向かって大成してくれと願う。
今年は気に入った作品か気に入ったパンフレットでなければ、パンフレットは買わないと決めていたが、一応大島渚との繋がりもあることだし、購入する。
渋谷TSUTAYAでDVD『ドレミファ娘の血は騒ぐ』をレンタルする。
雑誌『キネマ旬報 2008年1月下旬号』購入。
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1/10(木)
ラピュタ阿佐ヶ谷で坪島孝の『鬼輪番』(☆☆☆★★)を観る。
初見。坪島孝ってこんな面白い映画撮れたの?というぐらい快作になっていて驚く(この作品の次が『ルパン三世 念力珍作戦』だ)。
小山ゆうの師匠・小池一夫原作だけにモロ『あずみ』の元ネタだと思わせる(企画には山本又一郎も名を並べている)が、こちらの方が遙かに面白い。尺も86分しかないので実にテンポが良く、2時間半近くあった『あずみ』とはエライ違い且つ、残酷描写もエロもちゃんとやっているのが嬉しい。脚本がしっかりしているからか、坪島孝の演出も堅調で飽きさせない。出演者も、近藤正臣、峰岸隆之介(峰岸徹)、水谷豊と揃っているし、敵には佐藤慶が控えているのだから、安心して観ていられる。
国内ではソフト化されていない作品だが、輸入盤DVDを買おうかと思う快作だった。
徳川夢声の『夢声戦争日記 抄―敗戦の記』読了。
ひたすら面白い文化人の太平洋戦争日記。全巻読みたい。
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1/11(金)
久々に秋葉原に寄ったついでに石丸電気のソフト買取本舗を覗く。ここはとても石丸電気がやっているとは思えない外観で、実際店内も半分はエロDVDの安売りで占められているのだが、一般DVDが意外に安かったりするので偶に覗くと良い店ではある。ただし、回転が異常に早いので次に来た時に買うというのは不可である。
で、覗いてみると当たりが出た。DVD-BOX「今村昌平日活作品全集2」がそれで、普通で買っても19740円取られるので、長らく買い渋っていたのだ。 それが未開封新品で1万。もう店頭在庫ぐらいでしか入手できないし、安くもならないので、HMVのポイントが貯まっているので全てはたいてせめて2500円は安くして買おうかと悲壮な決意をしていただけに、ここに来て1万で買えたのは嬉しい。収録作は、『にっぽん昆虫記』『赤い殺意』『「エロ事師たち」より 人類学入門』『神々の深き欲望』の4作品に特典ディスクとして今村昌平×天願大介の対談が付いている。
ついでに石丸のソフト館に周り、何故か先月廉価版が発売された筈なのに店頭で見かけないエルンスト・ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』を購入。定価1500円で、さっきのイマヘイBOXを買ったポイントを早速使って千円で購入。
ラムタラの前を通ったら、ワゴンセールで例のレンタル落ちの980円DVDでミヒャエル・ハネケの『隠された記憶』があったので購入。公開時に一度観たきりなので、再見したいと思っていただけに980円で買えて幸い。
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1/12(土)
吉祥寺の古本屋で、松田政男の初の映画批評集『薔薇と無名者―松田政男映画論集』が千円であったので購入。前から読みたかった本だけに嬉しい。
知り合いの新年会に一瞬顔を出してから東中野に急ぎ、ポレポレ東中野「小林政広ピンク映画特集 オールナイト!! 酔いどれトークバトル!!」へ向かう。上映作は、『したがる兄嫁 [成人館公開題:白衣と人妻 したがる兄嫁/DVD発売題:兄嫁 禁断の誘い]』『愛欲温泉 [成人館公開題:愛欲温泉 美肌のぬめり]』『一週間 愛欲日記 [ビデオ題:女子社員 愛欲依存症]』『夢の後始末 [成人館公開題:赤い犯行 夢の後始末]』の4本。
トークは、小林政広×サトウトシキ×上野俊哉の各監督で。意外だったのは、普段劇場でお見かけするとクールで監督然とした佇まいのサトウトシキ監督が酔うとグニャグニャになっていたことで、又、上野俊哉監督の天然ぶりとウンコによって緒形拳が激怒するくだりは抱腹絶倒だった。葉月蛍が最初から客席に居た(諸事情で芸名を改名するとのことで、聞き間違いでなければ、字は不明だが、<ほたる>名義で活動する模様。諸事情も思いきり喋っていたが、明らかに酔った勢いで喋っていたので忍びないから書かない)り、川瀬陽太他、トーク時には、いまおかしんじ監督や、坂本礼監督、国映のお姉さん、松島出版さんなど、国映な人たちが後方にも揃っていて良い雰囲気だった。
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1/13(日)
DVDで若松孝二『裸の銃弾』(☆☆☆★★)と、田中登『牝猫たちの夜』(☆☆☆★★)を観る。
『裸の銃弾』、観るのはもう3回目だが、そのたびに魅力が増す。大和屋脚本の奇妙さは『愛欲の罠』を遂に観た後になるとより不可解さを増す。もうすぐ『愛欲の罠』のDVD化が果たされるので、並べて再見してみたい。
『牝猫たちの夜』は、やはりラストの新宿の朝に引き込まれる。
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1/14(月)
中野ブロードウェイで、DVD『恐怖の足跡/ナイト・タイド』の2 in 1と『インサイド・ディープ・スロート』『ばかのハコ船』『レイクサイド マーダーケース』を購入。総計7700円ほどなので、1本換算二千円割っているのでまあまあか。
『恐怖の足跡/ナイト・タイド』は、以前、『恐怖の足跡』のみPDで買ったものの、作品の面白さに比して画質も字幕も酷すぎるので正規版で買い直す。
『インサイド・ディープ・スロート』は公開時に観て傑作と思った。ポルノ業界の内幕モノは面白い作品が多いが、丹念に見返したい作品だった。
『ばかのハコ船』は、山下敦弘長編第二作。テアトル新宿で観たのがもう5年前か。『松ヶ根乱射事件』を経た今だからこそ見返したい。初見時は長すぎると感じたが。
『レイクサイド マーダーケース』は、普通にエンターテインメントしていて、青山真治の商業枠での活動を期待させたが、その後オファーが無いのか断っているのか知らないが、『こおろぎ』『サッド・ヴァケイション』を撮っているものの、『サッド・ヴァケイション』の傑作ぶりを観るにつけ、メジャー大作を薄味になろうともやって欲しいと思う。
DVDで、坂本礼『ふ・た・ま・た』、若松孝ニ『歪んだ関係』と『犯された白衣』を観る。
『ふ・た・ま・た』(☆☆☆)再見。長回し、くしゃみで中出しといった要素が巧く組み込まれていて、観ていて心地良いピンク映画。
『歪んだ関係』(☆☆☆★)は、流れとしては、これまで観ることが出来た若松の最初期作品『赤い犯行』『乾いた肌』『情事の履歴書』などと同じく正攻法で作られた作品で、足立・大和屋らの特異性が際立つ60年代中期以降の作品とは趣きを異にする。しかし、若松孝二の強さは、こういった正攻法で作られたドラマを過不足無くこなせる力量があるが故に、特異な題材を扱ってもテーマに飲み込まれることがない。沖島勲の言葉にあるように、真っ当に仕事をこなす監督であることを、確認する。
『犯された白衣』(☆☆★★)は、もう数えきれないほど再見しているが、魅力的な描写を幾つも持ちつつも、作品としての印象はいささかズレる。シナリオを細かく作り込まずに大まかな設定だけで撮影に入っているせいか、室内シーンでは間延びしがちで、若き唐十郎を持ってしても、引き伸ばしにかかっているのが見えてしまう。
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1/15(火)
再び秋葉原の石丸電気ソフト買取本舗で、DVD『悪魔の手毬唄 (下巻)』を購入。2500円。古谷一行のファーストシリーズ「横溝正史シリーズ」で放送された分。上巻を買ったのが5年以上前なので長らく間が空いてしまった。このシリーズの買い残しはまだまだあって、『悪魔が来りて笛を吹く』『不死蝶』『夜歩く』『仮面劇場』『八つ墓村』『仮面舞踏会』をまだ買ってない。今やトールサイズのリマスターが再発売されているぐらいなので、さっさと購入してしまいたい。
『悪魔の手毬唄』に話を戻せば、学生の頃、世話になった先生が本作の撮影を担当していた。だから、自分は現場の話をやたらと聞きたがったのだが、そう言えば、『悪霊島』やらTV版『病院坂の首縊りの家』のカメラマンやら、案外金田一方面に関わった方が近くにいたせいで、あの頃はやたらとその話を聞きたがり、その度に、何であんなもんの話を聞きたがるのかと言われた。ただ問題はやたらと先走って言ってしまうことで、講義中に「『悪霊島』の撮影をした島は実は…」「隠岐の島ですよね」「『悪魔の手毬唄』は監督が森一生さんだから凝ったせいで予算が途中で足らなくなって…」「5話分の予算で6話撮ったんですよね」など、言わなくても良いのに言ってしまうという悪癖を繰り返していた。今から思うと相当鬱陶しい。
DVDで、若松孝二『狂走情死考』(☆☆☆★★)を観る。これももう何度観ているか分からないほどだが、本作は再見を重ねる度に魅力が増す。雪の冷たさや寒さを感じさせるという点だけでも飛びぬけている。
撮影中に小樽で遭遇した別の撮影クルーと合同で忘年会をしたエピソードは有名だが、他ならぬ『少年』を撮影中の大島渚たちである。
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1/16(水)
新宿ジョイシネマでデヴィッド・リーフとジョン・シャインフェルドの『PEACE BED アメリカvsジョン・レノン』[THE U.S. VS. JOHN LENNON](☆☆☆★★)を観る。
佳作。個人的にビートルズ関係は好きが全面に出過ぎて、作品固有の評価はし辛い部分があるとは言え、本作は、ジョン・レノンを政治とアメリカとの関係に絞って見せているが成功の要因で、ビートルズ解散や、射殺、私生活の諸々などは省いているお陰で、情報過多にならず、又一面的視点からのみしか語っていないという偏りを偏りに見せない工夫が凝らしてあり、観応えがあった。
ビートルズの曲は、『All You Need Is Love』『Revolution』『The Ballad of John & Yoko 』が使用されたのみで、一応ビートルズの曲でもある『Real Love』がジョンのアコギ版で流れるぐらいで後はジョンのソロ。
オノ・ヨーコの全面協力の元で作っているので、余りにも奇麗に描かれ過ぎだとか、言い出せばあるのだろうが、幼稚な平和主義者と言われようが、ジョンが好きと子供の時に思った以上、今でもジョンの姿を観ているだけで満足している部分がある。
活動家がジョンを利用しようとする箇所に興味を抱きつつ、政府と延々と戦い続けたジョンのビザ申請が下りるくだりには涙する。
ジョンなので、パンフレットは購入しておく。
そういえば、入場の際に例の歌舞伎町シネシティ14館全てでいつでも千円で観れる、「歌舞伎町シネシティメンバーズカード」を入場の際に勝手に更新してくれたのでこれで5月31日(土)まで使えるという。
友人と落ち合い、DVD「INTOXICATING MUSIC CLIPS OF UKAWA NAOHIRO『MAD HAT LAUGHS!!!!!』」を千円で売ってもらう。映像やってる人なので、このDVDを買うのは不思議ではないのだが、タイプ的に宇川直宏の作品を好むようには思えなかったが、案の定、辻川幸一郎と間違えて購入したらしい。五千円もするのに。しかし、そのお陰で千円で売ってもらえたので、『追悼のざわめき』やらブレランのBOX買って物入りだったので助かる。
タワーレコードに寄って『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド スペシャルエディション』購入。1980円。
DVDで若松孝二『処女ゲバゲバ』を観る。これも十年近く何度も観ている割に、やっと最近面白さが分かってきた気がする。何度も観ているとクセになってしまう。殊に夜の荒野でキャンプしている一行に出会うところなど、真にゾクゾクしてくる。
INTOXICATING MUSIC CLIPS OF UKAWA NAOHIRO『MAD HAT LAUGHS!!!!!』 [DVD]
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スマイルBEST ナイト・オブ・ザ・リビングデッド スペシャルエディション [DVD]
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1/17(木)
新宿バルト9でロバート・ゼメキス『ベオウルフ 呪われし勇者・3D』〔BEOWULF〕(☆☆☆★★)を観る。平日の夜10時の回のせいか空いていて助かる。
メガネをかけて3D映画を観るのは『ドラえもん のび太と鉄人兵団』の併映だった『オバケのQ太郎 とびだせ!バケバケ大作戦』から始まり、『ドラえもん のび太と竜の騎士』の併映『新立体アニメ オバケのQ太郎 とびだせ!1/100大作戦』、『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』の併映『ウルトラB ブラック・ホールからの独裁者B.B.』などで観ていたぐらいだと思う。ということは、丸二十年ぶりに3Dメガネをかけて映画を観たことになる。基本的に集中して観れないのは嫌いだから以降の3D映画は避けていたが、ゼメキスの新作だし、アルフレッド・ヒッチコックの『ダイヤルMを廻せ!』のことも頭にあり、ヒッチコックとゼメキスの関係を…というわけでもなく単純に見世物として気になって観に行ったが、見世物映画として申し分ない出来に大いに満足した。最初こそ、3D映画特有のやたらと手前にモノを置くレイアウトや3Dを意識した演出のわざとらしさに、これはこういうものとして耐えねばならぬのかと思っていたが、やたらと股間を隠す見せ方に笑いつつ、怪物と勇者の単なる冒険譚にならない、憂いに満ちた契約と呪いの呪縛を内包させた展開に後半に進むに従って見入る。2時間以内に収まってくれているのも良かった。
近所のレンタル店で、自宅のDVDの山から見つからないので、本多猪四郎の『ゴジラ』を借りてくる。ついでに、インターフィルムから近年の国映系のピンクが纏めてDVDになっていたので、田尻裕司の『背徳の森』[成人館公開題:ふしだらな女 真昼に濡れる]も借りる。公開時に観て佳作だと思ったが、ピンク大賞でもR18 LOVE CINEMA SHOWCASEでもかかっていないので観ている人は少ない。
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1/18(金)
新文芸坐で、ジョン・フォードの『周遊する蒸気船』[STEAMBOAT 'ROUND THE BEND]と『若き日のリンカーン』[若き日のリンカン/YOUNG MR. LINCOLN]を観る。『若き日に輪姦』ではない。
『周遊する蒸気船』(☆☆☆☆★)は今更言うまでもないが大傑作。完璧に限りなく近い映画とはコレだと思う。終盤のレースの無茶っぷりに抱腹絶倒し涙する。映画を壊しにかかっているぞと言わんばかりの偉そうな自主映画など足下に及ばない。
客席に、随分ノリの良いお姉さん達がいると思ったら、明日『人のセックスを笑うな』の公開を控える井口奈己監督達だった。手を叩いて喜んで観ていた。その気持ちはよくわかる。
続いて『若き日のリンカーン』(☆☆☆★)。演出が良いので観てはいられるが、教条的な内容と後半の、のらりくらりした裁判劇には退屈する。
仕事帰りに毎度寄る所でDVD『廿日鼠と人間』『幽霊西に行く』を購入。新品で二枚以上買えば70%OFFの筈が、どうも店員計算間違ったらしく、2枚買ってるのに1120円で済む。
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1/19(土)
DVDで、若松孝二『ゆけゆけ二度目の処女』、『現代性犯罪絶叫篇 理由なき暴行』、『腹貸し女』を観る。
『ゆけゆけ二度目の処女』(☆☆☆★)は、これも『処女ゲバゲバ』同様十年越しに繰り返し観ているが、最近ようやく面白く思い始めた。再見を繰り返す度に驚きを増している。初めて観た頃は物理的に屋上が密室には思えなかったのだ。しかし、空に向けて一見解放されていかに見える屋上が、その実、最も息苦しい密室であることがようやく分かると、途端にこの作品が恐ろしくなった。
『現代性犯罪絶叫篇 理由なき暴行』(☆☆☆★★)は、近年初めて観ることができた作品だが、こういった秀作がまだまだ残っているのではないかと思う。『日本春歌考』と並ぶ童貞映画の傑作。
『腹貸し女』(☆☆★★)は、イメージフォーラムからビデオが出た際に初めて観ることが出来たが、やはり失敗作だと思う。ジャックスの参加のみが話題か。とはいえ、サイケデリックな映像の見せ方、殊に新宿西口あたりなど観るべき個所は多い。DVD化されないのはジャックスの関係か?
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1/20(日)
中野ブロードウェイで中古DVD『スウィングガールズ スペシャル・エディション』1880円、『今村昌平傑作選 第三巻』1880円、『殺しのドレス』890円、お茶の水ユニオンで『ヒズ・ガール・フライデー』630円を購入。
『スウィングガールズ』は、矢口史靖の作品としては満足できなかったのでDVDは東宝で馬鹿みたいに高いし、と言って買うならサイドストーリーの入ってるスペシャル・エディションが良いとか思っていたら手頃な価格で入手できたのが今になってしまった。今年公開される『ハッピーフライト』はどうだろうか。
『今村昌平傑作選 第三巻』は、『続未帰還兵を追って/マレー編』『続未帰還兵を追って/タイ編』『からゆきさん』収録。これでDVD化されているイマヘイ作品は、『今村昌平傑作選 第一巻』と『うなぎ 劇場版』でコンプリート。
新宿模索舎で、『PG NO.91』を購入。<追悼・小林悟>目当て。実に詳細に小林悟を解体し、追悼している。関係者インタビュー、フィルモグラフィも充実している。
映画美学校第二試写室の万田邦敏上映会「まんだなんだまんだ」へ行く。
上映作は『医療ビデオ 骨折編』『Tai‐ji教育』『夫婦刑事』『続・夫婦刑事2』『新・新夫婦刑事 プロゴルファー・ナースの巻その2 PARTIII』『真・夫婦刑事外伝 逃げ去る不邪見』『DAMUDO・ファイル no.30』『大回転』『四つ数えろ』の9本。
『医療ビデオ 骨折編』は、本当に普通の医療ビデオで2007年製作なのが驚く。『接吻』と同じ時期に撮られていたわけだ。映画監督の食べる為の仕事というわけだろうが、30年後にはneoneo坐で上映されるだろう。しかし、この作品と『Tai‐ji教育』を続けて観ると、不気味な繋がりがあり、恐ろしい組み合わせだと思う。『Tai‐ji教育』もDVDで観るより遙かに楽しめた。
噂の『夫婦刑事』シリーズを一気に観ることができたが、如何にもな作品だったらどうしようかと思っていたが、過大に評価する気はないにしても楽しめた。吉本新喜劇並にベタなボケに丁寧に突っ込みを入れる様を入れているせいか、関西人としては居心地は悪くない。韓国語説明の三段オチ「〜ハスミダ」は、アテネか美学校でしか笑いは起きないのではないか。
『四つ数えろ』は昨年初めて観たが、再見してようやく魅力が掴めた感じか。黒沢清も画面で自由に跳ねまわり、映画賛歌やハスミを持ちだしてきても、今なら鼻もちならないだろうが、悪意のない無邪気さに許せてしまう。
トークショーは失礼して帰る。
ユナイテッドシネマとしまえんで、フランシス・ローレンス『アイ・アム・レジェンド』[I AM LEGEND](☆☆☆★★)を観る。
『地球最後の男』のリメイクとしては、という意見も聞いてはいたが、何も考えず一夕のエンターテインメントとしては申し分なく楽しめた。100分で語りきるのも良いし、不要な段取りや説明過多にならず、一人しかいない世界を存分に見せてくれるし、ゾンビも派手に動くし、夜がまた来る恐怖も忍ばせているし。
犬がナニしてからは散漫になるが、悪くない。
森達也『死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う』と、文庫でアーサー・コナン・ドイル『恐怖の谷』を購入。
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DRAMADAS 万田邦敏ちょっと恐怖劇場 極楽ゾンビ/胎児教育 [DVD]
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- 作者: アーサー・コナン・ドイル,日暮雅通
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1/21(日)
『キネマ旬報 2008年2月上旬号』と『映画秘宝 2008年3月号』購入。
駅構内の一角でDVD『モンスター・パニック 怪奇作戦』を購入。980円。
レンタルで、『空中レヴュー時代』と『17歳の風景』。
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1/22(日)
アップリンクの前を通ったついでに寄って、DVDの千円均一セール品から『Mr.ジレンマン 色情狂い』『美女濡れ酒場』『ブラックキス』。
ビデオが500円だったので、『広場』を購入。
レンタルで、『密戯 ひとには言えない…』(成人館公開題:姉妹 淫乱な密戯)のDVDをようやく借り出す。新宿・渋谷TSUTAYAでも常に借りられており、近所のレンタル店でもなかなか棚に帰ってこないので日参してようやく借り出す。
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1/23(水)
時間が空いてしまったので、シネマヴェーラ渋谷で深作欣二『資金源強奪』と『仁義の墓場』を観る。
両作共何度も観ているが、繰り返し観ても些かも飽きることがない。時間潰しに観る映画としては最上の部類。客席には下のユーロスペースで『かぞくのひけつ』が上映中の小林聖太郎監督の姿もあった。
『資金源強奪』(☆☆☆☆)(クレジットは、ふかさくきんじ)は、昨年シネマアートン下北沢でも観たが、大きなスクリーンで観てこれほど気持ちの良い作品もない。
太地喜和子が素晴らしい。泣き、叫び、着物を裾を押さえて「あんたー!!」と言いながら走る。被虐的な女性像でありながら、湿ったところがなく、あっけらかんとしているのは、太地ゆえのものか。
本作のセルフリメイクを、深作がタランティー×千葉真一主演、脚本・原田眞人でやろうとしていたようだが、脚本に満足できなかったとかで延期のまま終わったのは残念だ。
『仁義の墓場』(☆☆☆☆)を初めて観たのは、十年前の今は無き大阪映画祭だった。映写機が途中で故障し、1台で強行上映を行ったので、ロールチェンジの度に中断しながら観たが、それでも全く魅力は落ちなかった。改めて観ても、破天荒な人間を描くに相応しい意図しない良い意味での破れが映画を覆っていて、飽きさせない。『仁義なき戦い』は、笠原和夫の完成度の高いシナリオがなければあれほどの傑作にはならなかっただろうが、本作は、シナリオに満足できなかった深作が現場でナニクソという勢いで撮り切ったゆえの熱気がフィルムに定着しており、決して他人が真似すべきことではないが、奇跡的な傑作になってしまったのだと思う。
終盤の飛び降りシーンで、あらかじめ血溜まりを用意しておいて、そこに上から渡を飛び込ませ、カメラは低く据えて地表に飛び降りると同時に血飛沫が飛び散るのは、黒沢清の飛び降り描写共々、映画発明史に残る。
渋谷TSUTAYAでやっと返却されてきたブニュエルの『昼顔』と、ビリー・ワイルダーの『少佐と少女』、『白昼の暴行魔』を借りる。
DVDで若松孝二『新宿マッド』(☆☆☆★)を観る。
これも観ている再見回数もの多い作品だが、新宿が多くの作品で描かれてきた若松作品中、新宿と最も向かい合った作品だろうが、肝心の新宿マッドが類型的な像にしかなっていないことを除けば、新宿映画として『新宿泥棒日記』と共に忘れがたい。
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1/24(木)
DVDで若松孝二『いろはにほへと 性賊 SEX JACK』(☆☆☆★★★)を観る。
初見時から、この時期の若松作品の最高傑作だという思う思いは、その後他の作品を観る機会があっても未だ変わらない。
製作時にとっての近未来1977年を舞台にしていることが中盤で明らかになるが、観ている者を包むその時の高揚感はなんだろうか。『鬼畜大宴会』公開時に元ネタとして観たのが最初だと思うが、遥かにこちらの方が面白い。
文庫で『封印作品の謎―ウルトラセブンからブラック・ジャックまで』を購入。
何故か気が向いて、買い逃していたムック本『女地獄・森は濡れた』を購入。
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
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封印作品の謎―ウルトラセブンからブラック・ジャックまで (だいわ文庫)
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- 作者: 筒井武文
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1/25(金)
シネクイントで、J・P・シェファー『チャプター27』[CHAPTER 27](☆☆☆)を観る。 やたらと暗殺映画が公開されているが、何故かジョン・レノン関連の映画も連続公開されているが、こちらはマーク・デイヴィッド・チャップマンを主人公にしたジョン・レノン暗殺に至る三日間を描いたもの。
ジャレッド・レトーが演じるオタクで身勝手で、狂ってて…という像を、ステレオタイプにならず、むしろ余りにもなりきり過ぎというぐらいの演技で見せるのは確かに凄いし、奇をてらわない演出も果敢だとは思いつつ、ただの気違いの身勝手な行動の再現の域を出ず、単なるソックリ演技の再現映画以上のものを感じなかった。ダコタ・ハウス前で出会う女性がもう少し物語に介入してくるかと思ったがそうでもなく、レノンを殺すんだ、殺さなければならないんだという強迫観念に支配される過程を観たかった。
又、レノンとヨーコを僅かとは言え登場させたのも良いとは思えず、直接見せない方法を探るべきだったのではないか。
自分がジョン・レノンが好きなので、コイツに憎しみ以外の何物も持っていないので、果たして作品として素直に観れているか覚束ないが、観終わっても実際にあった出来事以上のものを感じなかった。事実に束縛されていると言うべきか、敢えてもっと自由にやっていい題材だと思うのだが。
レノン関係なのでパンフレットは購入。
1/26(土)
DVDで榎本敏郎『密戯 ひとには言えない…』[成人館公開題:姉妹 淫乱な密戯]と、ルイス・ブニュエル『昼顔』を観る。
『密戯 ひとには言えない…』(☆☆☆★★)を観て、『ラザロ』だと思う。厳密に言えば『蒼ざめたる馬』のことで、脚本は共に井土紀州なのだから延長上にある作品だということは分かるが、『ラザロ』関連作としてもっと話題になって良いのではないか。オールナイトの同時上映とかで観たかった。
作品としても堅実に作られており、これまで自分が観た中では榎本敏郎のベストだと思う。
恋人の男を自宅の浴室で殺してしまった静香が、同じ勤務先で働く靖子に誘われ、靖子の姉光代が始めた移動ブティックの仕事を手伝い、三人で暮らす。靖子は静香を愛しており、死体の秘匿を行うが…
女三人、浴室の男の死体、死体を埋める、地方へ車で移動ブティックを行うといった『ラザロ』的世界がここでもあり、あの世界を35mmで手慣れた演出で描くとこうなるという意味でも観て損はない。観終わって即座に再見したいという思いに駆られた。今度じっくり見直す。
『昼顔』(☆☆☆☆)は、『夜顔』を観る前に観返そうと思って観たが、やはり大傑作だ。ドヌーヴの顔に泥をぶるけるシーンに代表されるフェチズム的要素に満ちていながら、抑制と静謐によって、エロティズムがより浮かび上がってきて、エロはここまで描けるのだと改めて感嘆する。
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1/27(日)
シネマライズでメアリー・ハロンの『ベティ・ペイジ』[THE NOTORIOUS BETTIE PAGE](☆☆★)を観る。
全くの凡作。ポルノ業界の裏側を描いた作品には秀作が多いので期待したが、単なる表面的な人物伝にしかなっておらず、宗教によって救済されたというオチが付くだけ。
50年代のピンナップ・ガールでボンデージ・モデルの草分け的存在という十分面白くなりうる人物なのに、エロもフェチズムの欠片も無い。こんな人がいましたというだけ。
渋谷TSUTAYAで中古DVD『ポーラX』を購入。1500円。
ロゴスで、阿部嘉昭の『僕はこんな日常や感情でできています―サブカルチャー日記』を購入。
雑誌『ユリイカ 2008年2月号』も購入。「特集*中島らも バッド・チューニングの作家」目当て。
レンタルDVDで『人が人を愛することのどうしようもなさ』『悪い男』『パリ、ジュテーム』。
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ユリイカ2008年2月号 特集=中島らも バッド・チューニングの作家
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1/28(月)
『映画芸術 422号』が届く。
映芸を買い始めて14年、初めてタダで貰う。しかし、映芸だけに申し訳ない気分になる。
ともあれ、映芸初登場にしてベストテン&ワーストテンに参加させてもらい恐縮ものだが、どうせ次に自分が参加することは無いに決まっているので、思うがままに好き勝手書いたが。『実録・連合赤軍』をめぐっての松田政男・沖島勲・平沢剛による鼎談が良い。正に絶妙の並びだ。後は足立正生がこの作品をどう捉えているかが気になる。2月に『若松孝二 実録・連合赤軍』という単行本が朝日新聞社から発売される由。
編集後記の荒井さんの文が重くのしかかってくる。
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1/29(火)
中野ブロードウェイで、DVD今村昌平『楢山節考』2300円と、『犬猫・8mm版』2500円を購入。
今村昌平版『楢山節考』は、ちっとも好きじゃないし、中古ビデオでも持っているが、安くなったのと、後僅かでイマヘイDVDがコンプできるので購入。
『犬猫・8mm版』は未見かつ最近上映される8mm版はプロジェクター上映なので、2500円程度なら買っても一緒だと購入。
古本『日活ロマンポルノシナリオ 四畳半襖の裏張り』を購入。1500円。『濡れた欲情・特出し21人』『かぶりつき人生』も収録している。
『映画評論 1962年5月号』と『映画評論 1969年1月号』も購入。各250円ほど。1962年5月号には、大島渚が大映京都で山本富士子主演で映画化する予定がその前に東映京都で撮った『天草四郎時貞』のあまりの不評、興行の惨敗によって中止になった『尼と野武士』のシナリオが掲載されている。ずっとこの脚本は田村孟単独執筆だと思っていたが、本書を開くと、田村と大島の名が並んでいる。
森達也の『死刑』読了。死刑廃止と10代半ばから思っているが、オウム事件でココロが揺れた。部分執行も有り、などと都合のいい折衷案を思ったりもしたが、毎回森達也の本を読む度に思う甘さや、そんなに人は優しくないという思いはもう毎度のことなので、そこを駄目というより、森達也は、自分で考えるということを、極めて率直に訴えかけてくる。だから自分も漠然と廃止派だったのが、何故廃止しなければいけないのかと、言葉を探し始めた。これまで使い古された言葉ではなくて。それだけでも森達也の揺さぶりは成功していると思う。
ちなみに本書では参考として最後にタイトルは挙げられているだけだが、現実に使われている刑場に入った映画人が二人いる。大島渚と戸田重昌がそうで、二人は弁護士の助手という形にして宮城刑務所の刑場にまんまと入って、しっかり見学してきている。今では考えられない話だが、当時は出来てしまったようだ。美術監督の戸田重昌は、見学後、近くの鰻屋に入って昼食をとろうとしていたが、記憶が新しい内にと早速刑場の図面を引き始めたが、その手はブルブル震えていたという。
大島は、ついでに法務省に、「死刑が失敗すると無罪放免になる」という俗説を確認しているのも凄い。確かにこの俗説は自分も聞いたことがあり、確か祖父あたりに聞いた記憶があるのだが、法務省の回答は、無罪放免はありえない。意識が戻るのを待って再執行する、というものだったという。そういった要素を入れて作られた映画が『絞死刑』である。正確には<絞首刑>であり、<絞死刑>という言葉は造語である。廃映画館を利用して作られた戸田重昌による刑場のセットが凄い作品だが、冒頭に正確に再現される死刑執行の様子が生々しい。その映像は↓で確認できる。
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- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
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1/30(水)
neoneo坐で、お馴染み短篇調査団を観る。今回は「発見の巻」と題して、意外な監督の意外な仕事、PR映画や教育映画の短編を観る趣旨で、上映作は『愛ほど素敵な料理はない』『被服を考える』『しあわせの王子』『発見への旅だち』の4本立て。
目玉は何といっても大和屋竺の『発見への旅だち』で、アテネフランセでの特集上映の際に上映されて以来、実に14年ぶりの上映だそうで、遂に観ることができるわけだ。大和屋の効果か、短篇調査団動員記録を更新したそうで、36人の入場記録を出したそうだ。確かに知った顔や、ムラケン監督やら、野村正昭氏を筆頭に映画評論家、映画研究者などの姿もあり、大和屋のみならず、山田洋次・藤田繁夫・富野喜幸という並びに寄せる期待が上映を待つ間からも感じられた。
上映順に書いておくと、『愛ほど素敵な料理はない』(☆☆★★)は、原作・監修:山田洋次で監督は立仙雅巳。味の素によるPR映画らしいが、松竹大船というか山田組総協力体制で作られているので実に豪華な作りで、撮影所を自由に使えるせいか、オールセットのシネミュージカルの小品になっていて、正に実際に観て意外な出来に驚いた。
出演は、上條恒彦、倍賞千恵子、三崎千恵子など。倍賞の役名が車さくら(!)というのも凄いが、舞台がまた葛飾柴又で、寅さんの世界のパラレルワールドが広がっていて、何せ食堂に電話を借りに行けば三崎千恵子がいるし、後ろに並んでいる顔もやたらと見覚えのある顔だし、アパートや食堂のセットが『男はつらいよ』のセットを流用しているように見えるし、観ていてクラクラしてくるような世界が広がっている。その世界でミュージカルをやってのけるのだから、それはもう面白くないわけはなく、それも上條恒彦と倍賞千恵子が歌うのだから歌唱力も申し分ないわけで、実に奇妙な世界が広がることになる。侘しい独身生活を送っている上條のアパートの襖が開いて、倍賞との理想な生活が向こうの部屋で広がっているとか、やたらと直接的な内容の歌詞だとか、電報局とのやりとりは笑えるものの、やたら長々と描いてしつこいとか、デートのシーンでビスケットのアルファベットをI LOVE YOUの順で渡して、それを両手の掌の上に乗せた上條が一気に口に入れるとか、ここまで徹底してベタベタにやれば泥臭いという前に成立してしまうものだと思った。
ただ、山田洋次が監督していれば、もっとテキパキと処理したであろうが、かなり間延びしている箇所も見られるし、アパートシーンの繋ぎもそう巧く行っているとは思えず、珍品を観た感の方が強い。
続いて藤田繁夫の『被服を考える』(☆☆)。
藤田繁夫と言えば藤田敏八のことだが、本作の藤田繁夫が藤田敏八なのかどうかは定かではない。時期的には、『にっぽん零年』と『非行少年 若者の砦』の間なので、こういう小さな仕事をしていてもおかしくないのだが。
被服について説明的に色々教えてくれる作品だが、駒沢公園でのポップな見せ方と、ラストのカメラがどんどん引いていくセットばらしが面白かった。
富野喜幸(富野由悠季)の『しあわせの王子』は、あー、この話知ってるなあという感しかなく、特に富野作品として特筆すべき個所も見つけられなかったが、今となっては偽善のニオイしかしない。
そして、大和屋竺の『発見への旅だち』(☆☆★★)を遂に観た。
『愛欲の罠』の翌年に製作された霊友会のPR映画だが、オクラ入りになっていたという。
面白いわけではない、あくまで大和屋監督作の参考として観るべきという既に観た人の声を聞いていたせいか、過度な期待をせずに観たが、奇妙な映画だった。しかし、つまらないということはない。次に何が映るか予想もつかない奇妙さに満ちていたので、観ていて飽きることはなかった。
まず、本篇のクレジットでは、タイトルは、『発見への旅だち』ではなく、『発見への出発』に<たびだち>というルビが振られているのが驚いた。
ファーストカットは、月面から見た地球の写真、続いて、クラゲ、蜘蛛の糸、蜘蛛の巣の蜘蛛の動き、新宿副都心を煽りで捉えたショット、ビルの極端な煽り、マネキン…という全く脈拍のない繋がりでショットが重ねられていくので、既にこの段階で頭がクラクラしてくる。現代文明や生命を表しているのではあろうが、などと思っていたら、新宿の街頭インタビューが始まる。「世の中が進歩したと思いますか」「心豊かな暮らしをしていると思いますか」といった質問を聞いて回る。個人的にはむしろインタビューしている後ろが新宿紀伊国屋書店なので、紀伊国屋ホールのポスターに書いてある小沢昭一の演目の方が気になったが。しかもまたそこに何の脈拍もなく結婚写真がインサートされたりして、驚かせる。
「世の中が進歩すると心の安らぎが得られると思いますか」のアンケートが表示された後、これまた唐突に、ブラックエンペラーの暴走シーンへと移る。真正面から走りを捉えたショット、後ろから、走っている足元に散る火花を捉えたショットと軽快に走りを見せるかと思いきや、ここでいきなり少年の遺影が大写しになる。これには悪いが笑ってしまったが、ブラックエンペラーのメンバーだった17歳の少年の母が、今は亡き息子を語るのだが、それにブラックエンペラーのメンバーが海で遊ぶ姿が重なる。
次に、他のメンバーの母と子の会話の一部始終が記録される。ヘルメットを削る息子を母が何とか会話しようとしている様が記録されていて、本作の助監督を務めた柳町光男が後に撮った『ゴッド・スピード・ユー!』の如何にも仕込みなわざとらしい会話より遙かに良い。
その息子の柔道着の姿が一瞬映り、スナックで働く姿が映し出され、母が息子を語る声が被る。
再びバイクの走りとなり、天象儀館の歌が、花、カエル、タンポポ、花畑、子供の画、子供のする花火、精霊流し、墓、岩、遺跡、森、川といったショットを挟みながら流れる。この歌声が何とも呪わしく、天象儀館繋がりで、『愛欲の罠』で流れてもちっとも不思議ではないようなものだった。しかし、この脈拍のあるような全くないようなカットの繋がりは何だろうかと思っていると、画面は山へハパンし、岩登りをする男二人を捉える。ここからまた唐突に画面は飛んで茶室が映し出され、裏千家が茶を立てる様子が捉えられる。そして再びバイクの走りへと戻る。バイクを介した旅は続き(ちなみにここで山中を走るバイクを後ろから捉えたショットは、松本人志の『大日本人』を想起させる)、寺、蓮の花、農家の老婆の姿を収めつつ、バイクは遺跡へとたどり着く。ここでのインタビューに続き、一人暮らしの老人を訪ねる男女の姿が描かれる。食事を持参するのだが、もう食べたと言っているのに強引に食わせるのが凄い。
バイクで次に向かうは、石仏を掘る人、そして最後に遂に登場、霊友会のお姉さんである。カンペ見まくりのやりとりに、窓から何やってるの?と話しかける男の登場や、ディスカッション、お経を唱えるシーンを経て、バイクの走りで終わる。
観る機会の少ない作品だから、とりあえず画面に映し出されたものを書き映してみたが、こうして列挙しても、分けが分からない作品だが、次に何が出てくるか分からないがゆえに、画面に緊張感が漲り、退屈せずに観ることができた。大和屋の興味は、明らかにブラックエンペラーにあるのだが、これが狂言回しとして巧く機能していれば、もっと分かりやすくなったのだろうが、それ以外との遊離が甚だしく、異物感が強烈に残る。しかし、天象儀館の歌声で包まれてしまうと、霊友会の教えは全く知らないが、桃源郷的な匂いやインド的な極楽浄土の世界が大和屋によって形成されているように思え、観入ってしまった。
本作品が大和屋の全監督作の中で単なる参考作品に止まらない奇妙な世界を作り出していることは間違いないが、この世界に触れるには一度観ただけでは無理だった。
お茶の水ディスクユニオンで中古DVD『ストロベリーショートケイクス』2900円と、ゴダールが纏めてあったので購入する。
ゴダールは、『メイド・イン・USA』『カルメンという名の女-ヘア解禁版-』『ゴダールの探偵』がセットで五千円、『ヒア&ゼア こことよそ』『うまくいってる?』『勝手に逃げろ/人生』『右側に気をつけろ』がセットで八千円で夫々購入。
初期のゴダールなら兎も角、『ヒア&ゼア こことよそ』やら『うまくいってる?』などをDVDで買うのは気が重かったが、オールナイトで一回観ただけでは分かりゃしないので、DVDで買うしかないが期間限定生産とかで、今や値は上がる一方で、こんなもんに1本五千円とか出すのは癪なので、今回は箱紛失の中古ということもあって、1本換算二千円に収まっているので、ここらで手を打とうと購入。
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1/31(水)
新宿紀伊国屋で、文庫『富士日記(上)』と『涙の射殺魔・永山則夫事件―六〇年代の少年犯罪』を購入。
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涙の射殺魔・永山則夫事件―六〇年代の少年犯罪 (新風舎文庫)
- 作者: 朝倉喬司
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