漫画家・赤塚不二夫死去

 悲しむ前に、伝説の『赤塚不二夫の激情NO.1』を見て、赤塚先生の偉業を称えましょう!!
 そしてDVD化を(上げてくれたサカサヨミの方ありがとう)。
 これが、ナンセンスの極み、実写で赤塚的世界を構築した奇跡的番組。

赤塚不二夫のまんがNo.1シングルズ・スペシャル・エディション

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ライヴ・イン・ハトヤ

ライヴ・イン・ハトヤ

私がつくった番組 『「赤塚不二夫の激情NO.1!』」 (ライズX) ☆☆☆☆
1973年 日本 カラー テレビマンユニオン東京12チャンネル スタンダード 
演出/佐藤輝    出演/赤塚不二夫 青山ミチ 佐々木守 中山千夏 三上寛 キャロル 西村小楽天 牛次郎 高信太郎 石川社中 佐藤允彦とシャドウマスク/


 自分の世代では、タレントとしての赤塚不二夫の全盛期は知らない。物心ついた時には、時折ヴァラエティに出る漫画家という認識だったし、むしろ小学校3年生の時に銀河テレビ小説で「まんが道」がドラマ化され、そこからトキワ荘関連に手を伸ばしたという感がある。
 70年代前半に赤塚不二夫が、TVのレギュラー5,6本を抱え、月に2,3本の特番が組まれるような、彼の珍芸が持てはやされた人気タレンント時代があったということを、半ば伝説的に聞かされているくらいで、彼のタレント時代の映像というのは観たことがなかった。
 今回の特集で実際に目にする機会が訪れ、最近でも有数の衝撃を受けた。はてなは、自分自身の記録のために書いているのであり、他人に何かを推奨したり、どうこう言う気は更々無いが、現在TV、映画、ま、インディーズ映画、自主映画なども含めて関わっている方で、自分はこんなにも過激なことをやっているとか、クダラナイことをやっていると自負する方、または観客としてそう思って観ている方に是非観て頂きたい。(水曜に再映される筈だが、当日券が残っているかどうか)いかに現在のテレビがつまらないか、又、過激だとか、ナンセンスなことをやっていると称している各種映像が上品な上辺だけのものかということが、物凄く良くわかる。
 1973年の「私がつくった番組」で赤塚不二夫がホストを務める回である本作は、赤塚不二夫のタレント全盛期を見る上での貴重な資料であるが、開巻でカメラは天井の照明を画面の1/3程入れつつ、俯瞰の画でスタジオを見せる。スタジオには既に笠を被った音頭系のオバハンが30数人と、バックにはオケが控える。司会の男が、前説をやっているのを、今度はカメラは煽りで、半円を描きつつその半円を忙しなく往来させながら捉える。司会の男が、『日本人の心、童謡を赤塚不二夫が唄います』と言った直後、ちょっとした台に小太りの丸縁サングラスをかけた赤塚が登場し、表情一つ変えずに♪きんきんきらきら夕陽が沈む〜と朗々と歌い上げるのである。曲が進むにつれてテンポは速くなり、バックのオバハン達も踊り狂うわけである。
 観ていて、これは一体何なのだろうと。旦那芸ではあるが、それだけで片付けるわけにはいかないモノがある。
続いてセーラー服を着た赤塚が、やはり丸縁サングラスで(以降ラストまでかけたままである。数年後にタモリが赤塚の居候となることを考えると原型みたいな感がある)外人の姉ちゃん達と騎馬戦やっている様が映し出され、当然というか、もうハナからポロリしている。実に良い時代だ。
 赤塚の友人達が赤塚について語るコーナーでは、はじめに登場するのは佐々木守で、大島渚ウルトラマンへ尋常ならざる思いを抱いているので、当然佐々木守が登場するだけで嬉しくなるが、驚くのがこの佐々木コメントをスタジオ一面にブルーバックを張って、大写しで映し出し、その手前で延々と赤塚が乳丸出しの姉ちゃん達を襲っているのである。
 この狂気っぷり&クロマキー大好きっぷりは、三上寛のコメントをセーラー服の赤塚がスカートを上げると股間にブルーを張り、三上の顔をそこに映すという凄さにも伺える。
 個人的に大好きだったのが、中山千夏が歌う「自衛隊賛歌」で、制服を着た赤塚達が微動だにせず敬礼したまま中山の傍に立ち続ける。しかし、重信房子とも関係を持つ、じゃりん子チエこと中山千夏が「自衛隊賛歌」とは実に素晴らしく、また1973年という時代とテレビでここまでやっても良いんだと感じさせられた。
 最大の驚愕はラストで、笠被ったオバハンとダンサーの数が異様に多いのは兎も角、舞う紙吹雪がまた異様に多く、どうなっているのかと思いきや唐突に入ってくるのがキャロルで、永ちゃんが赤塚やオバハンに抱きつかれながら「ルイジアンナ」を唄うのである。
 正にナンセンスの極みのような番組だった。何とかしてソフト化できないものだろうか。
 赤塚不二夫とキャロルのファンは必見である。未見の方は6/1(水)のライズXで当日券を狙ってほしい。


http://d.hatena.ne.jp/molmot/20050528/p1