『パルチザン前史』(☆☆☆☆)

 市川準監督の訃報に驚く。
 『大阪物語』のエキストラで何度か現場に行ったので、その時にチラリと姿を見たことがあるだけだが、量産型映画監督が好きな自分にとっては、毎年コンスタントに新作を撮る市川準は好きだった。
 感心したのは、『病院で死ぬということ』からロングショットのボソボソ喋りの手法に固執し、『トキワ荘の青春』なんか好きな作品ではあるが、そのスタイルに拘りすぎて失敗している箇所もあると思ったし、行き詰っているとも感じた。それが、『たどんとちくわ』でガラリとスタイルを壊し、『大阪物語』の普遍性のある描写へと移行し、以降に続いた。
 近年の作品にはノレない部分もあったが、量産型映画監督なんだから、また調子を戻すだろうと思っていた。それだけに残念だ。
 ベストは、やはり『大阪物語』だ。中古ビデオで持っているが、DVDが何故か出ない。『トキワ荘の青春』もLDで何度も観ているが、これもDVDが欲しい。


 ポレポレ東中野土本典昭の世界」で、土本典昭パルチザン前史』(☆☆☆☆)を観る。