『テレクラキャノンボール2009 賞品はまり子*Gカップ』(☆☆☆★★★)
2008年 日本 ハマジム スタンダード 240分
監督/カンパニー松尾 出演/まり子*G-Cup+名古屋&福岡の素人娘11人
テレクラキャノンボール2009 賞品はまり子*Gカップ [DVD]
- 出版社/メーカー: ハマジム
- 発売日: 2009/06/06
- メディア: DVD
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今月、たまたま自分は4時間の映像作品を2本観ることになった。1本は、園子温の大傑作『愛のむきだし』で、もう1本は本作。自分たちの世代はレンタルビデオ店の棚に並んでいる劇映画とAVを同時に借りるのを常にしていただけに、それを厳然と区分けする習慣は持ち合わせていない。だから、『愛のむきだし』も『テレクラキャノンボール2009』も同じ映像作品でしかなく、共通しているのは共に4時間を有する作品であるということだけだ。もうひとつ付け加えるならばその4時間を一瞬も退屈させない、体感時間がせいぜい1時間半程度に思えてしまうことだろう。両作が、共に人間をむきだしにしていることは言うまでもない。
今回の出場者は、おなじみカンパニー松尾、バクシーシ山下に加えて、松尾監督の弟アキヒト、そして家庭の事情(!)で不参加となった花岡じったに代わり盟友ミスターX(直ぐに素顔は明かされる)に加え、何故かドグマ所属のビーバップみのるが参加している。それにあろうことか、みのる監督は無免許である。テレクラキャノンボールなのに無免許で参加とは…。正直言ってこの時は、みのる監督の参加は邪魔なだけではないかと思っていた。
さて、東京から出発し、それぞれが自身の車、バイクで名古屋を経て福岡へと走る狂走セックス集団の熾烈な戦いを描いた本作は、全行程1週間の中で、ステージが設けられている。第1ステージは東京から名古屋の走り、第2ステージは名古屋での現地調達のセックス、第3ステージは名古屋から福岡の走り、第4・第5は福岡での現地調達のセックス、第6ステージで東京へ向かうフェリーへと至り、優勝者は賞金二百万円二十万円と、Gカップまり子とやりたい放題できる。各ステージで順位によってポイントが与えられるので、走りもセックスも均一に争われるようになっている。又、セックスにも細かくポイントが設定されており、10代だと+2だとか、50代だと−2だとか、顔出し、生入れ、セックスの内容が1番と口にさせることができればプラスになるなど、様々なポイントを稼ぐ設定がなされており、それだけに最後まで混戦模様となるので飽きさせない。何より、カラミに至るまでの走りのシーンですらレースなので緊張感を持って観ることができるのは、このシリーズならではの魅力だろう。何でもない単調な高速道路を走っているだけのカットに過ぎないのに一瞬たりとも目が離せないのは、それぞれの視点からの映像が錯綜し、観ている者も疾走感の只中に立つことができるからだろう。車組はまだしも、カンパニー松尾監督の片手でカメラを持ってヒョイと向きを変えながら凄い勢いで車を追いぬかしていったりするショットなど、やはり凄い。走るのも、ハメるのも同じように撮影されている。
いい歳こいて東京から名古屋まで車とバイクで競走し、着いた途端、ナンパ、テレクラと持ち位置について一斉に女の子を誘い始める男たちなんてと言ってしまえば簡単だが、この「男子」っぷりな感覚は素晴らしい。観ている者まで妙にテンションが上がってしまう。いざ女の子を誘い始めると、それぞれのキャラも全開になるが、特にみのる監督が良い。彼が出会うアミーゴと呼ばれる少女が可愛いのだが、行為の後に食事するシーンでの二人のまどろみなど、一瞬の内に関係性が出来上がり、しかしそれはその場限りでしかないAV特有の刹那的な関係性であるがゆえの油断が生む表情を捉える。
一方で、“ネンカク”つまりは年齢確認を確実に取らねばならない為、身分証に振り回される格好で名古屋近辺を移動させられた挙句に空振りになる人も出てきたりと、それぞれの悲喜交々が交錯する。更に年齢詐称も相次ぎ、40代はまだしも、50代のオバハンとか強者が登場してくる。それでもきっちり仕事をするエロ事師たちには感嘆させられるが、ポイントを稼ぐために単にセックスするだけでは終わらせない駆け引きも良い。
第3ステージの名古屋から福岡への道のりでは、その半分の距離を無免許のみのる監督はバイクの後に乗らねばならず、距離も距離だけに疲労困憊するわけだが、運転する側もスピードが落ちるわけで、又、道を間違える人も出てきたりと混戦が続く。そこにテロップで表示される「なぜ走る」「なぜ食べる」「なぜハメる」という文字が、この作品の在り方を象徴的に表す。食と性と疾走に満ちているのが『テレクラキャノンボール』だから。
そして、いよいよ福岡に上陸となり、第4ステージが幕を開く。電話、メール、ナンパといったそれぞれの方法で開始から2時間しか猶予がない短期戦となり、緊張感が高まる。笑ってしまうのは、カンパニー松尾監督が見つけた女が偶然半年前にロケした際の女だったことだ。流石というよりも恐ろしいばかりだ。みのる監督はストリートでのナンパに精を出すがその時の口説き方が、縁を持ちだして物語状に言いくるめていくのが面白い。アキヒト監督のがっついたセックスや、山下監督が何故か絶妙な女性が毎度来てしまう奇跡的展開と、行為の後におにぎりを全裸で食べる爆笑シーンなどで他の追随を許さない独自の世界を見せるしで、合間に各自食事をとりながら、第5ステージへなだれこみ、追いつ追われつ一気にラストスパートをかけるエロ事師たちの奮闘が兎に角面白い。
ここからは、ドキュメントならではの予想外な出来事の連発だ。インパクトの強い女性が良い塩梅で登場してくれるし、顔出し、生入れに至るまでもエンターテインメントに昇華されているだけに、一瞬も飽きさせない。そしてラストステージのフェリーへと至る。優勝者とまり子の17時間に及ぶ時間がどう使われ、どういった関係性が垣間見えるか。セックス自体も当然面白いが、時間がたっぷりあるだけに、二人の行為後のけだるい雰囲気や、時間を持て余している状態に何故か感動させられる。そしてもう本編も終わろうかという終盤数分でお互いから漏れる言葉が、ハッとさせるほど魅力を放っていて茫然とさせられた。
群像劇でありながら、それぞれの個と人と人との関係を、セックスと食によって描き、更にそれを疾走感で包み込むことで成立させた傑作だ。
実は、発売前にサンプルを頂いていたのだが、アップするのが遅れに遅れていた(スイマセン)。結果とっくにDVDも発売されてしまったが、発売と同時に本作のセルDVDも購入した。サンプル盤で観ている最中に、これは正規のジャケット付きで持っておかねばならない作品だと思ったからだ。今後もDVD棚から直ぐ取り出せる場所でこのDVDは待機するに違いない。
ところで、この作品はAVだから当然一人で観るのが相応しいが、一度観てしまうと、次は大勢で観たくなる。暗闇からスクリーンに映写され、それを大勢の観客と見つめたい気分になってしまう。と思っていたら、来年早々にそれが実現するらしい。それも、今や廃盤となって入手困難な『テレクラキャノンボール 東京・仙台・青森 爆走1500キロ』『東京・函館・札幌・釧路爆走1600キロ テレクラ&ナンパキャノンボール3 強チン激突昇天編』と合わせて本作も上映されるという。雨宮まみさんの「エクスタシーサミット」の番外編として行われる上映のようだが、このタイミングで上映が決まったことに喜ばずにはいられない。平野勝之や松江哲明のAVほどには劇場で観られるような作品になっているのかと言われることもあるカンパニー松尾監督の作品だが、個人的な経験で言えば『YUMIKA 1989-1990 REMIX』や『YOGA』は正に劇場で観るに相応しい作品となっていた。テレクラキャノンボールシリーズを一気に劇場で観ることができるという幸福を味わうことができるこの上映は絶対に見逃してはならない。
渋谷UPLINK FACTORY
雨宮まみの「エクスタシーサミット」番外編
オトナになった君たちへ贈る─
カンパニー松尾「テレクラキャノンボール2DAYS」上映会
1997年から2000年にかけてリリースされ、VHS/DVD共に廃盤になり幻の名作と化していたカンパニー松尾監督作品「テレクラキャノンボール」シリーズの最新作がなんと2008年冬に復活。これを記念し、旧作品を含む「テレクラキャノンボール」特別編集版の上映会を、成人の日の翌日より2日間に渡って開催。男たちがバイクや車を走らせ、そのタイムと素人娘ゲットの得点を競い合う熱いレースの記録をスクリーンに映写します。両日ともに監督とAVライター・雨宮まみさんの舞台あいさつあり。
(※上映作品はAVです)■1/13(火)18:30開場/19:00上映
「テレクラキャノンボール 東京・仙台・青森 爆走1500キロ」(1997年/特別編集版)
「東京・函館・札幌・釧路爆走1600キロ テレクラ&ナンパキャノンボール3 強チン激突昇天編」(2000年/特別編集版)
※上映後にカンパニー松尾監督×松江哲明監督のアフタートークあり
■1/14(水)18:30開場/19:00上映
「テレクラキャノンボール2009 賞品はまり子*Gカップ」(2008年/特別編集版)
※上映前にカンパニー松尾監督の舞台挨拶あり
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両日共に¥1,800(1ドリンク付き/予約できます)
※二日続けての参加者は、二日目に¥300割引いたします
※18歳未満の入場不可
※男の子席と女の子席の両方をご用意いたします(予約優先)
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