『愛のむきだし』コメント/『SPOTTED701 VOL.8』

molmot2009-01-25


 園子温監督の最高傑作にして映画史を揺るがす大傑作『愛のむきだし』の公開が、いよいよ1月31日(土)に迫ってきましたが、コメントを書かせてもらいました。↓
http://aimuki.blog88.fc2.com/blog-entry-55.html
 他の方が錚々たる面々なので恐縮する感じですが、何せベルリン国際映画祭ディレクターと松江監督の間に挟まれているので、こういう時ほど自分の名前を何とかしておくべきだったと痛感する時は無いわけで、重みのカケラもない。横山パンチ上岡龍太郎に改名した時の気持ちが分かるような…。
 前号の『映画秘宝』でも書いたように、本当に素晴らしい映画経験を約束してくれる作品ですので、4時間に及ぶ上映時間(中盤で休憩あり)や、割高な料金に躊躇する方もいるでしょうが、無理してでも足を運ぶだけの作品になっていると思います。確かに家からの往復の時間も合わせれば1日がかりかと思いますし、それでハズレだったらどうしてくれるんだという話になるでしょうが、自分は2009年の日本映画ベスト1は『愛のむきだし』で既に間違いないなと思っていますし、ゼロ年代終盤に至って遂にゼロ年代を代表する作品が登場したなと思っています。
 『愛のむきだし』は1月31日(土)よりユーロスペース他にて公開。


愛のむきだし』予告篇

 
 その『愛のむきだし』公開記念に園子温監督インタビューを掲載しているのが『SPOTTED701 VOL.8』。『映画秘宝』にも掲載された田野辺さんが聞き手の特濃インタビューのアナザー・バージョンですので読み応えがあります。
 私は、『映画芸術』のベストテンでも6位に選出されていた濱口竜介監督の『PASSION』について書かせてもらっています。東京フィルメックス映画祭で上映された際には前半を見逃してしまい、それでも何かある作品だと察しがついたので、再見したいなあと思っていたところへ依頼を貰ったので、これ幸いとDVDで繰り返し観ましたが、味わい深い佳作で、映芸でベストテンに入ったことですし、一般公開の予定がないらしいので是非公開して欲しいなと思います。ようは、ユーロスペースのレイトショーで観るのにこれほど相応しい作品はないのではないかと。


 今回の『SPOTTED701』は増ページとなり、何と『ホームレスが中学生』のシナリオが掲載されているのが特筆すべきことで、これには一読者として喜びました。と言うのも、かつての映画雑誌に比べて現在、シナリオが定期的に読めるのは『シナリオ』誌だけになってしまい、その『シナリオ』に載る作品数も以前に比べれば減っています。80年代までは『キネマ旬報』にも特集される作品のシナリオが掲載され、『映画芸術』『映画評論』『映画批評』にも未映画化脚本も含めて掲載されていたものです。現在のキネ旬は城戸賞受賞作ぐらいしか載ることはなく、映芸も京急シナリオコンクールや追悼特集に合わせて掲載される程度です。勿論、ビデオ、DVDの無い時代だったからこそ各誌がシナリオを常態的に掲載していたのだということは分かっていますが、現在一般観客にとってシナリオは、意思的に『シナリオ』を手にしないと読めない時代になっています。脚本が悪い、あの脚本家が馬鹿だと罵倒する方もいますが、ではその作品のシナリオを読んだ上で批判しているかと言うとそうでもなく、脚本が悪いと言うからには、良い脚本をそれなりの数を読みこんだ上で言っているのか疑わしいような人もいます。かつては、映画雑誌を手にする人は、無意識にシナリオが目に入っていたのではないでしょうか。
 今回『SPOTTED701 VOL.8』でシナリオが掲載されるのは、こういう手軽に手に取れるジンでペラペラとめくりながらシナリオが読めるという意味で意義深いと思います。特に『ホームレスが中学生』に代表される規模の作品やピンク映画のシナリオを読む機会というのは、『シナリオ』誌も大半をスルーしてしまうので、『SPOTTED701』で掲載されれば良いなと思います。それに、単に『ホームレスが中学生』のシナリオを載せましたというだけでなく、今回は挿絵を渡辺ペコさんが描くという『SPOTTED701』でなければ不可能な並びも、シナリオへの敷居を下げていて、気楽な読み物にしてくれているのではないでしょうか。
 というわけで、増ページによって、新装刊号と呼びたいほどの変貌を遂げている『SPOTTED701 VOL.8』は、下記オンラインショップでも購入可能です。商品代引での購入が可能になったそうなので、手がかからずに購入できるかと思いますので、ぜひ手にとってみてください。
http://cart05.lolipop.jp/LA01324460/


SPOTTED701 VOL.8


★ページ増量オールカラー32P&豪華オマケCD-R付き新春特大号
2009.1.24(土)発売予定!予約受付中!

★SPOTTED701 presents LIVE
“スポポリリズム” vol.1
2009.2.22(日)三軒茶屋グレープフルーツ・ムーンにて開催決定!(出演:SHO-GUNG/前野健太DAVID BOWIEたち etc.)

◎MOVIE

片腕マシンガール』DVD発売記念グラビア:木嶋のりこ

愛のむきだし』公開記念 園子温監督インタビュー

『ホームレスが中学生』シナリオ採録 (作:城定秀夫/挿絵:渡辺ペコ

◎MUSIC

セカンドアルバム『さみしいだけ』発売記念
前野健太インタビュー
聞き手:深井朝子(映画『梅田優子の告白』監督)

◎PICK UP

どれい/テレクラキャノンボール2009/YOGA/PASSION/へばの
シャーリーの好色人生と転落人生/ドキュメント・メタル・シティ
SR サイタマノラッパーデメキング/PINK FILM FES. in KOREA 2008
ブリュレ/ススめる!ぴあ/埋火/相対性理論/イサク
WE ARE THE PINK SCHOOL!

◎EXTRA CD-R

前野健太『SPOTTED701のテーマ』『豆腐(Live)』『18の夏(Live)』収録



★CONTRIBUTORS
森直人/KaoRi/見汐麻衣/吉行由実/吉岡睦雄/冨永昌敬/梅澤嘉朗/田野辺尚人森下くるみ
三坂知絵子松江哲明古澤健モルモット吉田/創木希美/港岳彦/ いまおかしんじ

★STAFF

発行:SPOTTED PRODUCTIONS
編集:直井卓俊
デザイン:SAKiiiCHO、戸塚康雄(nu)
編集協力:向坪美保、青野小春、小林郁香
協力:佐藤正訓(ハヤシライスレコード)、九龍ジョー、綿野かおり(フォーラムオフィス)

http://www.spopro.net/spotted701.htm