『戦後の作家展関連上映 映画監督・大島渚』(川崎市民ミュージアム)

 恥を忍んで言ってしまえば、大島渚が好きだと言いながら、『忘れられた皇軍』を観たことがない。何故か悉く観る機会が無かったのだ。放送ライブラリーに行けば観ることはできるので、単に努力不足ということだが、それ以外にもテレビの大島渚のドキュメンタリー作品とは全く縁が無かった。大学生の頃は、大島大島と言いながら、『愛と希望の街』がようやくビデオ化されたような時期だったので、劇映画すら全作観ることは覚束なかった。朝日映画ベストテンの関連上映で『飼育』が上映されるというので目の色を変えて走って行っいったり、『御法度』公開に合わせてようやく『天草四郎時貞』『悦楽』『無理心中 日本の夏』を観れたぐらいのものだ。それ以外にはせいぜい『小さな冒険旅行』や『ユンボギの日記』『アジアの曙』『日本映画の百年』を観ているぐらいだろうか。DVDとビデオで大島の劇映画はコンプリートできたものの、テレビドキュメンタリーはポッカリと穴が開いている。大島渚ジェネオンからBOXが出ていればそれらが観れたのだろうかと、今村昌平吉田喜重の恵まれたDVD状況を目にするにつけ思うこともある。遅れに遅れた松竹でのDVD化、ポニーキャニオンからのDVD発売→廃盤→紀伊國屋の高いDVDでの再発売といった流れを見るにつけそう思ってしまう。
 と、ここで突然のちょっとした大島渚特集が川崎市民ミュージアムで開かれる。しかも関連上映としてテレビ作品も上映(しかも無料)されるのだから、ようやく観る機会がめぐってきたと喜ぶしかない。『ごぜ 盲目の女旅芸人』『伝記 毛沢東』『忘れられた皇軍』『ある国鉄乗務員−スト中止前夜』『反骨の砦』『青春の碑』、そして大島作品ではないが未知の『裸の時代 ポルノ映画・愛のコリーダ』といった未見の作品群が並ぶ。『これでもまだ君は大島渚が好きか!?』や『世界の映画作家6 大島渚』などで繰り返し読んできた作品とようやく対面を果たせる筈なので、何とか駆け付けたいものだ。

戦後の作家展関連上映 映画監督・大島渚

2月21日(土)
11:00- ごぜ 盲目の女旅芸人(25分)、 裸の時代 ポルノ映画・愛のコリーダ (25分)
13:30- 飼育(105分)
16:00- 新宿泥棒日記(96分)


2月22日(日)
11:00- 伝記 毛沢東 (66分)
13:30- 絞死刑(118分)
16:00- ユンボギの日記(25分)
16:35-トークショー四方田犬彦明治学院大学教授)×平沢剛(映画研究者)


2月28日(土)
11:00- 忘れられた皇軍(25分) 、 ある国鉄乗務員−スト中止前夜−(25分)
13:30- 少年(100分)
16:30- 東京戰争戦後秘話(95分)


3月1日(日)
11:00- 反骨の砦(25分)、 青春の碑(25分)
13:30- 儀式(123分)
16:00- 夏の妹(95分)



当館アートギャラリーでは1月20日(火)より常設展「戦後の作家たち」を開催しています。映像部門では希代の映画作家大島渚の映像作品を展示しました。映像ホールではこの常設展に合わせて映画監督・大島渚の特集上映を開催いたします。午前中のプログラムでは大島渚がドキュメンタリスト・牛山純一の薫陶を受けて製作した、日本映像センター時代のTVドキュメンタリー作品を無料で上映いたします。
*「映画監督・大島渚」は、11時からの上映はすべて入場無料となります。


http://www.kawasaki-museum.jp/display/cinema/#B001