『ピクニック』(☆☆☆☆★)

 完璧な映画などこの世に存在しない。映画に百点満点はない。未完成で歪であるところに映画の魔力があり、完璧でないがゆえに映画を観続ける。完璧な映画に行き当たることなどないという安心感があるから。その意味で本作は完璧な映画になってしまう危うさを有した傑作である。これしかないというショットと表情が何の狂いもなく連ねられていながら息苦しさも堅苦しさもない。心底心地良く永遠に観ていたい思いに駆られる。危うく完璧な映画になってしまいそうになっているがゆえに、何かの意志が働き未完成に終わらせたのではないか、などと妄想してしまうほど、この作品には永遠の39分が詰まっている。

ピクニック [DVD]

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