映画 

molmot2004-08-25

1)「キング・アーサー」〔KING ARTHUR〕
    (Tジョイ大泉) ☆☆☆★

2004年 アメリカ  カラー シネスコ 126分

監督/アントワーン・フークア 出演/クライヴ・オーウェン キーラ・ナイトレイ ステラン・スカルスガルド スティーヴン・ディレイン

 ジェリー・ブラッカイマー製作の歴史劇である本作は、アーサー王と円卓の騎士の物語に材を取っている。
 「トロイ」の時にも記したが、スペクタクル史劇が好きなので、この手のものは無邪気に楽しんでしまい、良し悪しは二の次になってしまう。とは言え、興味深い作品ではあった。所詮アーサー王伝説自体が寄せ集めエピソードで作られたものなので、それを映画化する際にどういじろうと、とやかく言う程了見は狭くないのでそれは良い。興味深いのは、ブラッカイマーだけにMTV的処理で史劇をやってしまっていることだ。まず映像。増感してコントラストの高まった映像は時代性と鑑みても悪くなく、ラストシークエンスの夕景など50年代の史劇を意識したテクニカラー調の発色に転がしており、「トロイ」の能天気な色と比べても遥かに良い。CG処理も慣れているプロダクションだけに、これみよがしにスペクタクルシーンでの群集CGへの使用はせず、節度のあるCG処理に徹していて好感を持った。しかし、ブラッカイマーの映画に共通する欠点でもあるのだが、アップが多用されすぎる上に、ほとんどのカットが5秒以上はなく、テンポを上げることに腐心した結果、ショットの不在が映画として決定的な弱さとなってしまっている。監督のアントワーン・フークアの経歴からして当然なのかも知れないが、映画としての余韻や緩急よりも、PV的発想の編集を信頼してしまっているのが問題。
 原住民の扱いや、氷を割るマヌケな一連のシークエンス等、大味感が出ていて笑ってしまうが、この程度の凡庸な物語を2時間程で纏めさせたプロデューサーの判断は正しい。
 しかし、それにしても役者が壊滅的である。(後日推敲)