スピルバーグは殺るに違いない


 新世紀以降のスピルバーグは、再びサスペンス演出を軸にした作品が増えてきて嬉しい。「海外特派員」のリメイク的ヴァリエーションである「マイノリティ・リポート」や、サスペンス演出の手本を改めて示した傑作「宇宙戦争」と来て、次回作「ミュンヘン」は黒い九月事件ネタだから期待するなという方が無理なのだが、ハスミの血統は良い形でコチラに受け継がれていると思う町山智浩氏も絶賛しているので、楽しみだ。既にヒッチコックの「サボタージュ」の引用が指摘されているが、初期の頃盛んに言われていたヒッチの後継者説は、やはり正しいと思う。又、本作の舞台は1972年であり、1972年はスピルバーグが「激突!」を製作した年である。彼は過去を描いたことはあっても自身の監督作で、既に自分がリアルタイムで描いた時代を再現したことはない。その点の興味からも「ミュンヘン」は気になる。
 ま、テロリスト映画には否応なく反応するので、また派手に惨殺シーンをやってるらしいから期待だ。そー言えば、日本人選手団が事件が起きても気にせず練習続けたり、批判されてからハナ持って黙祷した時も全員ジャージ姿でまた批判された面白エピソードは映像化されているのだろうか。来春公開。