イベント 「Howling in the Night2006 押井守 戦争を語る」

molmot2006-02-26

1)「Howling in the Night2006 押井守 戦争を語る」 (アカデミーヒルズ)

出演/押井守 岡部いさく 西尾鉄也

 押井守が4時間以上延々と喋る物珍しさに惹かれて、昨年に引き続き参加することにした「Howling in the Night2006 押井守 戦争を語る」だが、会場は同じくアカデミーヒルズで、一年の早さを思うばかりだが、高い入場料を払い(3000円也)会場に入る際に何故か全員「立喰師列伝」の宣材をバックに写真を撮られ、あー、くれるのかと思いきや欲しい奴は千円払えという遊園地的悪行。んなもん、欲しけりゃ自分で映画館で撮れば良いし、無理なら自分で合成でもすれば良いので当然ながら買わず。
 今回は「立喰師列伝」のパブの一環とのことでヒルズアカデミーのカフェで立喰蕎麦屋を出して食わせるというヒルズのイメージ低下を狙う悪質な嫌がらせを行うとのことで、せっかくなので食す。蕎麦の汁をワザとこぼして絨毯を臭くしてやろうかと思うが大人なのでやらず。ま、普通の立喰蕎麦だった。気の毒なのは、日曜の午後をヒルズアカデミーで過ごす他の女性達で、アカラサマな方々に飲み込まれてカフェがアキバ化する光景を目の当たりにする。同日同時刻に他の会場で何をやっていたかと言うと、→コレだったようだ。青山真治と、とよた真帆による「夢を叶える」をテーマとしたトークショーだったそうで、何をしている青山真治、5,000円も盗って何が夢を叶えるだ、とカフェの惨状を肯定的に捉えることにする。そういえば、青山真治押井守が嫌いだった。自分はどっちもどっちな好き嫌い具合だが。
 内容に関しては、例によって詳細レポはするなということなので避けるが、前半は現代の戦争について、例によって押井守岡部いさくが長々と延々と語り続ける。寝ずに来たので途中ウツラウツラとしたが、軍事方面には興味が無いので時折例えられる映画制作との比較によってわかる部分もあった。基本的に自分はこの会は、机上の空論を半笑いしながら楽しむジョークの会の一種と捉えているので、保守拡大な時代になってくると、妄想と現実が混濁し、時には現実こそが妄想を凌駕する時が来るような気もしてー、その時この会も終わるのであろうと。押井守の左から右への振幅は何なのかと思うときがあるが、後半で語られていたように、やはり根には少年期、青年期を60年安保、オリンピック、連合赤軍と自身の体験も含めて過ごしたことが紛れも無く有り、だからこそ、戦争、民主主義について妙なことを言おうとも、それでも聞こうとする姿勢をこちらに取らせるだけの背景を持つ人物だとは思う。
 質疑応答は、昨年しか知らないが、今年も同じ様な質問が問われる。新作について、いさくにマニアックな質問、押井がこれまで言ってこなかった領域への質問というパターン。ま、それ以外聞きようがないのだが。去年はその内容を書いたので、今年も問題ないだろう。
 まずは新作について。例の以前から言われていた新作劇場用アニメはラブストーリーだという既報以上のものは聞き出せなかったが、来年いっぱいまで作業し、2008年公開予定とのこと。純愛ではなく悲劇的要素が加味されているらしく、岡部いさくに監修して欲しいという言葉から判断するに、作品の背景は自ずと想像がつくのではないか*1
 その他、今年の仕事として、ラジオドラマの脚本26話を担当とのことで、ケルベロスシリーズに属するとのこと。又、CGモノの短篇も予定があるが、これはやるかどうかは不明とのこと。そして3年後、あっと驚くようなことをやるという言葉もあった。それぐらいで終わりかなというような言葉も続いたが、ま、このヒトは延々と作り続けるだろうからそれは心配ないが、あっと驚くようなこととは何か。アニメの次は実写というペースの押井守なので、「ガルム」の復活だとか、或いは同行した友人とも言っていたが、IGから離れて別の極めて有名なスタジオでやるのではないかとか諸々想像するが、三年後を待つしかない。大体四月から入る新作のラブストーリーすら当面は詳細発表はないらしいので、押井守の作品が次々繰り出されることを期待して待ちたいというところだ。
 後半のアタマで愛知万博の「めざめの方舟」の、とあるヴァージョンが流され、興味深くは観た。その後「立喰師列伝」のメイキング、テレビスポット等。学生にCGパートやらせているのをナレーションで高らかに大義名分を持たせて謳い上げるのに苦笑。「CASSHERN」のCGパートにデジハリの学生がノーギャラで大量動員されてように、低予算でCGパートが多い際の常套手段だと思ったが違うのだろうか?
 後半のゲストは西尾鉄也。先頃まで今夏公開される極めて有名なスタジオの新作にかかっていたそうであるが、それが終わり今後は押井の新作に携わるとのこと。面白かったのは昨年のゲストでもある樋口真嗣の「ローレライ」を全員でボロ糞に言う欠席裁判ぶりで、と言いつつ押井守は気にはなる作品のようで、「ローレライ」批判がケッコー長く続いた。
 終盤は、「立喰師列伝」からサッカーを熱く語る押井守など、延々と喋り続けるオッサンを呆れて眺めつつイベント終了。やはり四時間は長いが、楽しめた。

 その他に関しては同行した友人のレポ参照→コチラ

*1:http://www.kyo-kan.net/archives/2005/10/post_362.htmlには既に『戦闘機も軍艦も銃も出てくる予定』とあるので、やはり「人狼」の系譜に属するラブストーリーになるのか