映画 「圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録」

molmot2006-06-07

128) 「圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録」 (アテネ・フランセ文化センター) ☆☆☆★★★

1967年 日本 記録映画「圧殺の森」製作実行委員会・自主上映組織の会  モノクロ  スタンダード 105分
監督/小川伸介
 
 2年前にも同じくアテネフランセで観ているのだが、その際は「青年の海ー四人の通信教育生たち」「圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録」「パルチザン前史」の3本立てで、最後に観た「パルチザン前史」があまりにも素晴らしく、深く感動してしまい、「圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録」を改めてじっくり再見したいと思っていた。
 印象は変わらない。青春映画の秀作だと思う。被写体の学生達の表情、プールで服を着たまま上半身裸で泳ぐシーンの素晴らしさを確認するための再見でもあったが、魅力は薄まるどころかより素晴らしく感じた。
 小川伸介の三里塚シリーズでも観られたリアルタイムでの現在進行形の現状を見せる手法は、40年近くたっていても、異様な緊張感に漲った画面にやはり吸い寄せられる。

 ところで、8mm版「犬猫」が今夏紀伊国屋書店より発売されるとのことで観たかっただけに期待しているが、その井口奈己監督の日記で書かれていた、映画館の妙なヒトのハナシ、ま、フィルムセンターやアテネフランセなど行っていると、毎回の様に居るなあというヒトが居る。フィルムセンターとかジジババが多いし、ちょっとしたことで言い争いになっているのを見かけたりするし、気楽に映画を観る場ではないので、どうしてもココでしか観られないもの以外は極力遠慮したいと思っているのだが、井口監督が書いている妙なヒトはどんなヒトだろうか、と。その筋では有名みたいだし、顔見ればわかるんじゃないかと。普段映画観ていて客を意識することは殆どないのだが、今日は偶々座った席の関係か、上映中視線が少し外れて、とあるモノが目に入った。井口監督が『周りを遮断する(省略)こめかみあたりにはめている器具』と書いてある、正にそういった器具を装着して映画を観ておられる方が居た。よくお見かけする方なので、嗚呼このヒトかと思ったが、こんなん付けて観ているとは知らなかった。この方は確か最前列でご覧になる方のようで、自分は最前列では観ないタチなので近くになることはなかったが、ハ〜と感心というか何と言うかどういう構造になっているんだ、あの器具は、と妙に気になった。恐らく最前列の右端に座ってスクリーンを観るから、自ずと余計なものが視界に入るからそれを遮蔽する為であろうが、いろんなヒトがいるもんだなと。ま、それを言い出せば映画館で座る場所もヒトによって好き好きで、早くから並んでるのに、開場したら慌てて右端やら左端の席を取ったりするヒトもいる。最前列の端とか、夫々好きな位置というのがあるんだなと思う。自分は真ん中の中心部でスクリーンが視角に丁度収まるぐらいが好みだが、ヒトによって観易い位置というのは違うのだろう。山田宏一氏も昨日フィルムセンターで(因みに話題の方も山田氏の極く近くに座っておわれた)最前列の右端に座っておわれたが、淀川長治、ハスミ氏等もそうだと聞いたことがあるが、やはり一線を越えた人達は前に行くのか。淀川長治曰く、最前列に座るのは前に他人の頭があるのを嫌がる癇症病みという言葉もあったが‥
 それにしても、井口監督の日記には、この方の伝説が色々書いてあるが、そんな場に居合わせたくない事例ばかりで、映画ってのはヒトを幸福にも不幸にもする恐ろしいものだな、などと思う。