上映 『大阪芸術大学 映像学科 2005年度卒業制作展   V SPIRITS in Tokyo』 

molmot2006-06-22

大阪芸術大学 映像学科 2005年度卒業制作展   V SPIRITS in Tokyo  
 
日時 2006年7月21日(金)〜2006年7月23日(日) 
場所 ニッポン放送・イマジンスタジオ
(ファンタスティックシアター)
〒137-8686 東京都千代田区有楽町1-9-3 B2  
料金 無料 
主催 大阪芸術大学大阪芸術大学大学院

 ラインナップ等詳細はPDFでコチラ

 確か数年前ぐらいまでは、不定期に東京での上映をやってた記憶があるが、近年学校主催ではやってなかった筈。
 無料らしいので、お時間ある方は行かれると良いかと。大阪芸大と言うと、熊切監督以降の流れで捉えられるのは当然だが、あの系列のみで語られることには違和感を覚えるので、そういった期待に応える作品が出てくれば良いと思うが。
 ダイゲイワークショップと題して3本の作品がプレミア上映されるが、注目は2本。
 1本は、柴田剛監督の「おそいひと」。一昨年の東京フィルメックスで上映された後、昨年秋だかにナナゲイで封切られると聞いていたが、延期になったままだ。今回は無料で観られる上に、柴田剛×原一男×大森一樹の対談もあるらしいので、この歪な並びの三人の対話が興味深い。原一男は間違いなく「さようならCP」を持ち出して来る。井筒和幸が「おそいひと」の企画を聞いた際に内容に危惧を抱いて商業枠では通用しないと言ったとかいう噂を聞いたことがあるが、大森一樹は、この作品をどう言うのだろうか。
 それにしても驚いたのは大森一樹が映像学科学科長になっていたことで、初代学科長の依田義賢から佐々木侃司、鳥居元宏を経て、近年中島貞夫に交代したとは聞いていたが、早くも大森一樹へ受け継がれたとは。
 大体、数年前迄東映京都と映像京都からの講師で占められていたので、大森一樹や佐々木原志保、原一男が居るというだけで、随分風通しが良く且つ実践的な授業が行われる雰囲気が漂い、羨望の思いがあったが(実際、大森一樹が授業で「午前中の時間割り」を教材にして授業したなどと聞くと、その思いを強くする)、まあ、放任に近い状態のアナーキーさが、熊切和嘉以降の流れを生むこともあったので一概に否定はできないし、撮影の実習で、講師のカメラマンが東映京都と映像京都だったので、まるで異なるライティングをするものだから生徒が困惑していたのも苦笑できて悪くなかったが。
 「おそいひと」にハナシを戻すと、自分の感想はコチラを参照。個人的には、劇場公開されることで幅広く賛否両論が巻き起こるべき作品だと思っていただけに、未だ公開されていないのは残念だ。柴田剛というヒトは、「NN 八九一一零ニ」からしてそうだが、世間に顰蹙を買うような作品、賛否両論が毎回起こる作品を量産してくれるものだとばかり思っていたが、寡作な状況なのは個人的に作品をどう思っているかは別にして惜しい。渡辺文樹が一線を越えてしまったように思える現在、柴田剛には世間を挑発する作品を作ってくれる稀有な存在として期待しているのだが。後、どーでも良いことだが早く一般公開してくれないと、「おそいひと」でググると自分がボロ糞に書いた感想が公式サイトの次に上がってしまうのが気まずいので。
 もう1本は未知の作品だが「108」という作品で、東京での劇場公開が決まっているそうなので、早めに観ておくと良いんじゃないかと。
 因みにメインプログラムで上映される諸作に、○○賞とか学科内での受賞が書いてある作品もあるが、無視して観た方が良い。何せ「どんてん生活」と「NN 八九一一零ニ」が卒製展に同年に出たにも係わらず、どちらだったか忘れたが、締め切りに間に合わなかったか何かで学外上映はされなかった筈で、賞の対象からも外れていたような記憶がある。結局無難などうということのない作品が学長賞だの獲っていたような記憶もある。その為、後にナナゲイを借り切って「どんてん生活」と「NN 八九一一零ニ」を上映していたが、学校の評価なんてのはその程度で、優れた作品が歩む先は、山下敦弘の現在を見れば分かる。