DVDの噂 大島渚『天草四郎時貞』2007/01/21発売

天草四郎時貞
監督:大島渚
出演:大川橋蔵丘さとみ三国連太郎平幹二朗/大友柳太朗
標準小売価格:4,500(税抜)

天草四郎時貞 [DVD]
■映像特典(予定):フォト・ギャラリー/予告編
■1962年,日本
■発売:東映ビデオ / 販売:東映
■JAN:4988101127481 ■101分/モノクロ
■16:9/4:3(LB)
■音声
【1】日本語/DD(モノラル)


 すっかりチェックし忘れていたが、年明けに出るようだ。
 相変わらず東映のDVD戦略はよくわからない。年末には「激突!殺人拳」「直撃!地獄拳」「必殺女拳士」とか出してきたりする割には、これ先に出しとけよ的作品は出る気配もなく。せめて中島貞夫BOXぐらいさっさと出して欲しい。こんな調子で「異常性愛記録 ハレンチ」は早々にDVD化されるのだろうか。
 で、そんな調子だから、もう当面は出ないに違いないと思っていた大島渚の「天草四郎時貞」が唐突に出る。大島の作品中でも知名度は低いし、興行的にも評価もかなり低い作品で、ビデオ時代末期に「御法度」公開にあわせてようやくビデオ化された作品。
 兎に角、これで長編劇映画では「マックス、モン・アムール」以外は全てDVD化されたことになる。そろそろ、次の段階として劇場公開された短篇「ユンボギの日記」やテレビ作品「忘れられた皇軍」他大量にあるので、そちらにも手をつけてもらいたい。連続ドラマでNECOでリピートされたきりの「アジアの曙」も。
 それにしても、大島DVDがポニーキャニオンではなく、ジェネオンが仕切っていれば吉田喜重BOXみたいに充実したものになったんではないか、などと思うこともある。
 「天草四郎時貞」にハナシを戻せば、全篇に渡って暗い中でグダグダ喋ってるだけなので、DVDの方がビデオみたいな黒の階調が潰れて何が何だかわからないという事態は避けられると思う。フト、思い出したが、大阪のPLANET+1は「御法度」公開に合わせて、本作をどこから持ってきたかわからないようなプリントで上映したので驚いた記憶がある。
 ついでに言えば、当初東映からハナシが来た際に大島が提案したのは柴田練三郎の「赤い影法師」で、権利も取得していたようだが、東映が譲ってくれと言ってきた為に仕方なく渡し、後に小沢茂弘が監督して完成している。又、「天草四郎時貞」の助監督に就いていたのが深尾道典で、この時の出会いが後に「絞死刑」に繋がり、更に「愛のコリーダ」の脚本初稿を依頼するに到る。又、この作品が成功していれば、続いて大映山本富士子主演で「尼と野武士」撮る予定だったが流れている。尚、脚本は「天草四郎時貞」「尼と野武士」共々当時の「映画評論」に載っているので読むことができる。前者は石堂淑朗、大島の共同、後者は田村孟単独で書いているのが、初期創造社らしさを感じさせる。結果的に早い段階で創造社は大島が監督し、石堂、田村(後には佐々木守も加わるが)が大島のための脚本を書く場と定義された(設立当初の理念は同人が夫々監督する、つまりは大島も撮れば、石堂も「チンコロ姐ちゃん」を撮る、田村も撮る、森川英太朗も撮るという場になる予定だった)ことから、資質の違う脚本家が二人居るということが不自然になっていったようだ。それでも石堂が同人を辞めた後も連続ドラマの「アジアの曙」には1回交代で石堂と田村が書いているが、露骨に資質の違いがでていて凄かった。