『R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.2』ラインナップ発表

　今年の五月に行われたポレポレ東中野での『R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.1』は、ピンク映画を気にしつつも、怠慢こいて観に行けてない、又は行けない観客にとって、ピンク映画の質の高さ、幅の広さを教えてくれる幸福な一時になった。
　二本立ての４つのプログラムで、「団地の奥さん、同窓会へ行く」、「草叢」〔不倫団地　悲しいイロやねん〕、「悶絶!!電車男」〔痴漢電車　挑発する淫ら尻〕、「ヒモのひろし」〔SEXマシン　卑猥な季節〕、「ふ・た・ま・た」〔悶絶ふたまた　流れ出る愛液〕、「たまもの」〔熟女・発情・タマしゃぶり〕、「痙攣」〔淫らな唇　痙攣〕、「言い出しかねて」〔わいせつステージ　何度もつっこんで〕、といった作品が連日上映された。前売りを買えば千円で観れる気安さと、ポレポレなので環境も良いし落ち着いて観れるということもあって、都合上、「団地の奥さん、同窓会へ行く」と「草叢」の二本立てぐらいしか行けそうにないと思っていたら、居心地が良かったらしく、無理して「悶絶!!電車男」と「ヒモのひろし」も観に行ったら、「ヒモのひろし」が予想外に面白くて、完全にこの特集上映を気に入ってしまい、「たまもの」は以前観ているから良いにしても「ふ・た・ま・た」を観にいけなかったことを随分後悔した。だから、既に劇場で観ていたりDVDまで持っている「痙攣」と「言い出しかねて」の二本立てをまた観に行ってしまったのは、よほど夜にポレポレでピンク映画を千円で二本立てで観るというのが心地良かったからと思われる。そーいや、この期間中に東中野駅横で千円拾ってささやかな幸福感を味わえたし。
　年末にVOL.2を行うと予告が出ていたので楽しみにしていたが、ラインナップが発表された。今回は、12/9から上映される、いまおかしんじの「おじさん天国」（成人館公開題：絶倫絶女）公開に先駆けて、いまおかしんじの監督作７本と、脚本担当作１本が上映される。
　上映作品は下記の通りだが、既に一度観ている作品やら、何度も観返している作品、未見の作品と入り混じっているので、結局全部通うことになりそうだ。Dプロの何度も観ている傑作「手錠」と「かえるのうた」の２本立てですらも、この並びならまた観に行きたいと思ってしまう。

R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.2

12/2（土）〜12/8（金）　ポレポレ東中野

■Aプロ　＊いまおかしんじの「非日常な日常」12/2（土）・12/3（日）

『デメキング』
1998｜監督・脚本：いまおかしんぢ｜撮影：鈴木一博｜80分
出演：鈴木卓爾 長曽我部蓉子 児島なお 佐々木ユメカ 伊藤猛 岡田智宏 川瀬陽太
（成人館公開題：痴漢電車　弁天のお尻）
主人公・大黒は、ある日車に轢かれた直後に滅亡した世界と大怪獣に遭遇。妄想と現実ともつかぬ世界で、弁天の刺青の入った女・ぺン子を怪獣デメキングから救うために奔走する。現実と折り合いのつかないダメ人間達が圧倒的な存在の怪獣に立ち向かう、『グエムル』(06/ポン・ジュノ）の先駆けとも言える極めて「日常的」な幻想絵巻。

『にぎって』
2000｜監督：今岡信治｜脚本：今岡信治、上井勉｜撮影：鈴木一博｜音楽：gaou（ビト）｜58分
出演：黒田詩織 加茂大輔 本多菊雄 桜沢菜々子 鈴木敦子 佐藤宏 飯田孝男
（成人館公開題：OL性白書　くされ縁）
婚約者に捨てられ手に大火傷を負ったOL・ミドリの包帯に書かれていた謎の緋文字。両手の自由と引き換えに奇跡への片道切符を手に入れた彼女は元カレの金之助と青木ヶ原の樹海へ向かう…。あるカップルが共にすごしたひとつの時間が終わり、次の時間が始まるまでの不思議な一日。現実と虚構の狭間にある異界からの生還、という図式は『おじさん天国』にも通じる。



■Bプロ　＊いまおかしんじの「女優・林由美香」12/4（月）、12/5（火）

『イボイボ』
1996｜監督：今岡信治｜脚本：いまおかしんじ、星川隆宣｜撮影：鈴木一博｜音楽：gaou（ビト）｜63分
出演：川瀬陽太 水野麻亜子 林由美香 佐野和宏
（成人館公開題：痴漢電車　感じるイボイボ）
失ってしまった恋人への執着から妄想に取り憑かれた男の彷徨と絶望。彼を現実に着地させようとする天使のような少女との再生への希望、そして悲劇的な顛末。失われた女・いち子を演じる女優・林由美香自身がこの世にを去ったことでその憧憬とも言える幻想はリアリティを持ち、麻薬的な美しさを増した。虚実共に永遠となった不発弾ラブストーリー。

『たまもの』（インターナショナル・ヴァージョン）
2004｜監督・脚本：いまおかしんじ｜撮影：鈴木一博｜65分
出演：林由美香、吉岡睦雄、華沢レモン、栗原良、伊藤清美、伊藤猛、川瀬陽太、桜井一紀、佐藤宏
（成人館公開題：熟女・発情　タマしゃぶり）
2004年度ピンク大賞ベスト10・第１位、監督賞、女優賞（林由美香）、新人女優賞（華沢レモン）受賞
恋人を若い女にあっさり奪われてしまった愛子。毎日かかさず愛情弁当を作ってまちぶせする姿は男にとって次第に鬱陶しい女となってゆく。愛子の過剰なひたむきさは、彼女のしがみつくようなセックス同様、痛切さを越えてやがて圧倒的な聖性を帯びた存在として迫る。女優・林由美香がその狂気を希有な少女性を持ってしてファンタジーへと昇華させた傑作。



■Cプロ　＊いまおかしんじの「夫婦の処方箋」12/6（水）

『愛する』
1999｜監督・脚本：今岡信治｜撮影：鈴木一博｜63分
出演：諏訪光代 田中要次 永井健 麻丘珠里 吉沢一子
（成人館公開題：愛欲乱れ妻）
若者の閉塞感を描いてきた初期作品から視線を変え、夫婦愛をみつめるラブストーリーに挑戦した意欲作。子供ができない身体だと知らされた治子は、ある日「人造人間」に遭遇する。そして優しく真面目な夫の浮気に動揺し若い男との不倫を企むが…。追いつめられた人妻がすべての現実をのみこんだ時、奇蹟が起こり、その先にある夫婦の時間がやさしく照らされてゆく。

『それでも』
1999｜監督・脚本：今岡信治｜撮影：鈴木一博｜音楽：gaou（ビト）｜62分
出演：諏訪光代 伊藤猛 鈴木敦子 佐藤幹雄
（成人館公開題：ぐしょ濡れ人妻教師　制服で抱いて）
キャベツを切っていると死にたくなる女教師とその夫、教師に恋心を抱く女子高生の奇妙な三角関係はやがてそれぞれの人生をゆるやかに狂わせていく……。すべてを超越した伊藤猛の女装がバラバラになった心と体を強引に引き合わせる。何が正しいかはわからない。この先どうなるかもわからない。それでも人は生きていく。憂き世へのいびつな人生讃歌を謡った怪作。



■Dプロ　＊いまおかしんじの「おんなのみち」12/7（木）、12/8（金）

『手錠』
2002｜監督：サトウトシキ｜脚本：今岡信治｜撮影：広中康人｜音楽：山田勳生｜70分
出演：佐々木日記、松永大司、斉藤知香、佐倉麻美、向井新悟、田畑宏和、羅門ナカ
（成人館公開題：ロスト・ヴァージン　やみつき援助交際）
2002年度ピンク大賞ベスト10・第２位、新人女優賞（佐々木日記）受賞
手錠男とのロスト・ヴァージンに失敗し同級生に処女を捧げた女子高生が長くはかなく歩む十年前の夏、五年前の夏、今年の夏。今岡脚本×サトウトシキ監督の異色コンビが描く、見えない手錠でつながれたかのように何度も巡りあう男女の約20年にわたる友愛物語。いまおか作詞によるやけっぱちな劇中歌「プール」も印象的。

『かえるのうた』
2005｜監督・脚本：いまおかしんじ｜撮影：前井一作｜音楽：ビト｜65分
出演：向夏、平沢里菜子、吉岡睦雄、七瀬くるみ、佐藤宏、伊藤猛、川瀬陽太
（成人館公開題：援助交際物語　したがるオンナたち）
2005年度ピンク大賞ベスト10・第１位、女優賞（向夏）、新人女優賞（平沢里菜子）、男優賞（吉岡睦雄）受賞
浮気者の彼氏に愛想をつかした朱美と漫画家を目指すキョウコ。漫画喫茶で同じ本を取ったことから奇妙な友情関係が芽生えていく。援交オヤジのブキミな性行為に耐えたり、ゴスロリ女とフランスパンで殴りあいなど、無傷ではいられない「女の子として生きる日常」が独特のユーモアで描かれる。数年後再会した２人が突如踊りだすパーティー感あふれるフィナーレは必見！



［料金］当日一般：1400円｜女性割引：1200円｜前売鑑賞券：1000円
※期間中舞台挨拶＆来場者プレゼント有り。

http://blog.livedoor.jp/spotted701/archives/50812173.html